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SUSE LIEBE SUSE(EIA POPEIA)
ズーゼや、かわいいズーゼ(ねんねんころり)

自分たちの貧困をかこつ子守唄。でもどことなく前向きです。

作詞:A.ヴェッテ、但し原歌の作詞者は不詳 
作曲:不詳  / 1900年前後に成立?

邦題
『ねんねんころり』
『おほしがひかる』など

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)


◆原歌詞:1〜3番   バリアントバージョン
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
ズーゼ リーベ ズーゼ
Suse, liebe Suse,

ヴァス ラシェルト イム シュトロー?
Was raschelt im Stroh?

ダス ズィン ディ リーベン ガンスラィン
Das sind die lieben Ganslein,

ディ ハーベ カィン シュー
Die habe kein' Schuh.

デァ シューステァ ハッ レーデァ
Der Schuster hat Leder,

カィン ラィステン ダツー
Kein Leisten dazu,

ドルム カン エァ デン ガンスラィン
Drum kann er den Ganslein

アォホ マヘン カィン シュー!
Auch machen kein Schuh!

1.
ズーゼや、かわいいズーゼ、
藁の中でがさごそいってるのは何だろう?
あれはかわいいガチョウだよ、
靴を履いてないんだ
靴屋は革を持っているけれど、
それに合わせる木型がない
それでガチョウにも
靴を作ってやれないんだ!

raschelt【動詞・三人称単数現在形】
がさがさと音を立てる。
Leisten (靴の型をとるのに使う)木型。


2.
ズーゼ リーベ ズーゼ
Suse, liebe Suse,

シュラークツ クーヒェルヒェン トーッ!
Schlagt's Kuchelchen tot!

エス レークト ミァ カィネ アィエァ
Es legt mir keine Eier

ウン フリスト ミァ マィン ブローッ
Und frißt mir mein Brot.

ダー ループェン ヴィァ
Da rupfen wir

アッレ ディ フェーデァヒェン アォス
Alle die Federchen aus

ウン マヘン デム キントラィン
Und machen dem Kindlein

ザィン ベットヒェン ダーラォス
Sein Bettchen daraus.

2.
ズーゼや、かわいいズーゼ、
ニワトリを叩き殺しちゃったよ!
あれは卵を産んでくれずに、
私にパンをむさぼらせるんだ
我々は羽を
みんなむしって
それで子どもに
ベッドを作ってやろう

Kuchelchen 字義未詳。前後の意味や他のバージョンに基づき、「ニワトリ」と訳しておきました。
rupfen【動詞・一人称複数現在形】
〜の羽をむしる。


3.
ズーゼ リーベ ズーゼ
Suse, liebe Suse,

イス ダス アィネ ノーッ!
Ist das eine Not!

ヴェァ シェンクト ミァ アィネン ドラィァ
Wer schenkt mir einen Dreier

ツ ツッケァ ウンッ ブローッ?
Zu Zucker und Brot?

フェァカォフ イヒ マィン ベッヒェン
Verkauf ich mein Bettchen

ウン レーク ミヒ アォフ シュトロー
Und leg mich aufs Stroh,

ダ シュティヒト ミヒ カィネ フェーデァ
Da sticht mich keine Feder

ウン バィスト ミヒ カィン フロー
Und beißt mich kein Floh.

3.
ズーゼや、かわいいズーゼ、
つらい事になったね!
誰が私に、砂糖とパンを買うのに
3ペニヒ銅貨など送ってくれよう?
私は自分のベッドを売って、
藁の中で寝よう
そしたら、羽が私を刺すだの、
ノミが私を噛むだのということはないから

Not 貧困、苦境。
Dreier (昔の)3ペニヒ銅貨。
Floh【昆虫】ノミ。



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 ガイド   『Suse, liebe Suse』はもともとドイツ北部の民謡でしたが、ドイツのオペラ作曲家エンゲルバート・フンパーディンク(Engelbert Humperdinck、1854〜1921)が、代表作『Hänsel Und Gretel(ヘンゼルとグレーテル)』の中で用いて、人気曲になりました。
 オペラの台本を書いたのは、フンパーディンクの妹のアーデルハイト・ヴェッテ(Adelheid Wette、1858〜1916) で、このグリム童話をオペラにしようと発案したのも彼女です。ヴェッテは、もともと、自分の子供たちが自宅で鑑賞するために、オペラの製作を考えたらしいのですが、やがて1893年にクリスマスの芝居として劇場公演したところ、大人気を博しました。
 『ヘンゼルとグレーテル』には、『Suse, liebe Suse』のほかに、『Ein Männlein Steht im Walde(小人が森に立っている)』や『Schwesterlein, Hüt' Dich Fein!(妹よ、よく気をつけて!)』などのわらべ歌が使われていますが、いずれも、ヴェッテが童歌の歌詞を書き直して、オペラ用の歌詞に仕立てたものです。『Suse, liebe Suse』は、オペラの第1幕の最初の歌で、繕いものをするグレーテルと、箒を作るヘンゼルが歌います。

ひとりごと
 筆者はNHK教育テレビの授業用音楽番組でこの歌を聴いた記憶があります。年少者が海外民謡を知る窓口としてほとんどお約束の番組ですね。
 筆者の記憶が正しければ、「♪裸足のガチョウは夢を見た〜」などとかいう歌詞がついていました。原曲ではチョイ役のガチョウのほうに焦点を合わせた日本語歌詞であるというわけです。

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バリアント

 歌の出だしの部分だけが異なるバージョンがあります。このページのタイトルにもある「Eia popeia」で始まるものです。


◆原歌詞:1番のみ掲載

1.
アィア ポパィア、ヴァス ラシェルト イム シュトロー?
Eia, popeia, was raschelt im Stroh?

ダス ズィン ディ リーベン ガンスラィン、ディ ハーベ カィン シュー
Das sind die lieben Ganslein, die habe kein' Schuh.

デァ シューステァ ハッ レーデァ、カィン ラィステン ダツー
Der Schuster hat Leder, kein Leisten dazu,

ドルム カン エァ デン ガンスラィン アォホ マヘン カィン シュー!
Drum kann er den Ganslein auch machen kein Schuh!
 


◆和訳

1.
ねんねんころり、藁の中で
がさごそいってるのは何だろう?
あれはかわいいガチョウだよ、
靴を履いてないんだ
靴屋は革を持っているけれど、
それに合わせる木型がない
それで、ガチョウにも靴を作ってやれないんだ!




参考URL:
http://ingeb.org/Lieder/EjaPopaj.html(メイン歌詞)
http://kinderreimeseite.de/50185293500f01632/501852935012f0063/50185293f80388c0f.html
http://www.kinderlied.de/modules.php?name=News&page=10
http://www.reginaopera.org/hansel.htm
http://www.haensel-und-gretel.musik-theater.com/

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)

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