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UND JETZT GANG I ANS PETERSBRÜNNELE
ペーターの泉に行って

酔っぱらいが戯言をユーモラスに歌う民謡です。

作詞:不詳  /  作曲:不詳  /  成立年代未詳

邦題
『山のごちそう』
『大工のきつつきさん』など

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)


◆原歌詞:1〜9番   バリアントバージョン(別ページ)
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
ウンッ イェツ ガン゜ イ アンス ペーテァスブルュンネレ
Und jetzt gang i ans Petersbrünnele

ウン ダ トリンク イ アン ヴァィン
Und da trink i an Wein

ウン ダ ヘーァ イ アン クックー
Und da hör i an Kucku

アォス デァ モースブーデン シュラィン
Aus der Moosbuden schrein

繰り返し

 ディリア ホーラレ ディリア ホーラレ、クックー
 Diria holare diria holare, Kucku

 ホーラレ ディリア ホーラレ、グッグー
 Holare diria holare, guggu

 ホーラレ ディリア ホーラレ、グッグー
 Holare diria holare, guggu

 ホーラレ ディリア ホー
 Holare diria ho

1.
さあ、俺はペーターの泉に行って
そこでワインを一杯飲もう
そしてカッコウが鳴くのを聞こう
モースブーデンからさえずるのを

繰り返し
 ディリア・ホーラレ・ディリア・ホーラレ、クックー
 ホーラレ・ディリア・ホーラレ、グッグー
 ホーラレ・ディリア・ホーラレ、グッグー
 ホーラレ・ディリア、ホー

Petersbrünnele【固有名詞】ペーターの泉。
おそらく酒場の屋号かと思われます。
Moosbuden
 モースブーデン。
不詳。直訳すると「沼地の小屋」となります。


2.
ウン デァ アーダム ハッ リァプ アォフブラハッ
Und der Adam hat Liab aufbracht

ウン デァ ノーエ デン ヴァイン
Und der Noah den Wein

ウン デァ ダーヴィツ ダス ツィテァンシュラーグン
Und der David das Zithernschlagn

ミアスン シュタイレァ グヴェン ザィン
Miaßn Steirer g'wen sein

繰り返し

2.
アーダムが恋愛を世に広め
ノアがワインをもたらし
ダヴィデはチターを弾くことを世に知らしめた
きっとシュタイアー人だったに違いない
繰り返し

Liab Liebe(愛)の方言形。
Zithernschlagn チターをかき鳴らすこと。
Steirer シュタイアーマルク州(オーストリア東南部)の出身の人。


3.
カォフツ マ・ラ マィン グレーァンス グヴァンヅル
Kauft's mar a mein greans Gwandl

カォフツ マ・ラ マィ シェーァン フゥァッ
Kauft's mar a mei schean Huat

カォフツ マ・ラ マィ リァプス ディァンヅル
Kauft's mar a mei liabs Dirndl

ヴァィル イ アィンルックン ムゥァス
Weil i einruckn muaß

繰り返し

3.
俺の緑の衣装は買い取られた
俺のすてきな帽子は買い取られた
俺の愛するあの娘も買い取られた
俺が軍隊に行かねばならないので
繰り返し

Gwandl (Gewandeの異型か?)衣装。
Huat (Hutの異型)縁のある帽子。
Dirndl 若い娘。(南ドイツやオーストリアの方言)



4.
ツヴィシェン カスル ウン ベブラ、ヤ
Zwischen Kassel und Bebra, Ja,

ダ リークト アィン トゥンネル
Da liegt ein Tunnel;

ヴェン マン ラィンフェアッ ヴィアヅ ドゥンケル
Wenn man 'reinfährt, wird's dunkel,

ヴェン マン ラォスコムッ ヴィアヅ ヘル
Wenn man 'rauskommt, wird's hell.

繰り返し

4.
カッセルとベブラの間に、さ、
トンネルがある
中に入れば暗くなるし
外に出てくると明るくなる
繰り返し

Kassel【地名】カッセル。
Bebra【地名】ベブラ。
 どちらもドイツ・ヘッセン州にある都市。カッセルはフランクフルトの北北東に150km、ベブラはカッセルの40kmほど南にあります。


5.
ウン イヒ シュタンッ アォフ デァ ブルュケ
Und ich stand auf der Brücke,

ウン イヒ シュプゥクツ イン デン カーン
Und ich spuckt in den Kahn;

ヤー、ダ フロィッ ズィヒ ディ シュプッケ
Ja, da freut sich die Spucke,

ダス ズィ カーン ファーレン カン
Daß sie Kahn fahren kann.

繰り返し

5.
俺は橋の上に立って
はしけに唾を吐いた
唾にとっては嬉しいこと
はしけに乗っていけるから
繰り返し

spuckt
【動詞・一人称単数過去形】唾を吐いた。
Kahn 小船、はしけ、ボート。


6.
ウン イヒ シュタンツ イン デム カーネ
Und ich stand in dem Kahne,

ウン イヒ シュプゥクッ アォフ ディ ブルュック
Und ich spuckt auf die Brück;

ヤー、ダ ムスツ イヒ シュネル ファーレン
Ja, da mußt ich schnell fahren,

デン ディ シュプゥク カム ツールュク
Denn die Spuck kam zurück.

繰り返し

6.
俺ははしけの中に立って
橋へ向かって唾を吐いた
俺は急いで漕がなきゃならなかった
なぜなら唾が跳ね返ってきたから
繰り返し



7.
ウン デァ フリィツ イン デァ シューレ
Und der Fritz in der Schule

シュリープ イム アォフザツ ネ フィーア
Schrieb im Aufsatz 'ne "Vier";

ウン ダ シュピールテ ザィン ファーテァ
Und da spielte sein Vater

アォフ デム ズュッポール クラヴィーア
Auf dem Südpol Klavier.

繰り返し

7.
学校にいるフリッツは
作文に「四」と書いた
彼の父親は
南極のピアノでそれを弾いた
繰り返し

Aufsatz   (学校の授業の)作文。
Südpol   南極。


8.
ウン ヴァイル フランクフゥァト ゾー グロース イス
Und weil Frankfurt so groß ist,

ダールム タィルッ マン エス アィン
Darum teilt man es ein,

ヴォール イン フランクフゥァト アン デァ オーデァ
Wohl in Frankfurt an der Oder

ウンッ イン フランクフゥァト アム マイン
Und in Frankfurt am Main.

繰り返し

8.
フランクフルトがとても大きいので
だから分けたのだ
フランクフルト・アン・デア・オーデルと
フランクフルト・アム・マインとに
繰り返し

Frankfurt an der Oder
【地名】「フランクフルト・アン・デア・オーデル」
Frankfurt am Main
【地名】「フランクフルト・アム・マイン」

いずれもドイツに実在の都市名。
前者はベルリン東方の、ポーランドとの国境を流れるオーデル川沿いに立地する都市で、後者はドイツ中西部のマイン川流域に立地する、ドイツ経済の中心都市です。
両都市間の距離は、およそ450kmです。


9.
フィー エァケンッ マン アム ブルュレン
Vieh erkennt man am Brüllen

ウンッ ディ ユンゲン アム リーッ
Und die Jungen am Lied;

ゾル マン ディヒ ニヒッ フェァヴェクセルン
Soll man dich nicht verwechseln,

ゾー ズィング クラー ウンッ シェーン ミッ
So sing klar und schön mit:

繰り返し

9.
人は家畜を鳴き声で聞き分け
若人を歌で聞き分ける
他人と間違えられないようにするには
明るい声で上手に歌うんだ
繰り返し

Vieh  家畜。
Brüllen   (動物の)鳴き声。



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 ガイド   『Und jetzt gang i ans Petersbrünnele』は、オーストリア・チロル地方の民謡です。別ページのバリアント歌詞をご覧になれば分かりますが、歌詞のバリアントが豊富です。
 とぼけて滑稽な内容の歌詞ですが、オーストリアで歌われていたのはもともと3番までで、それ以降は後からドイツで付け足されたもののようです。「フランクフルト」や「カッセル」といったドイツ中部から北部にかけての街が出てくることからも推測できます。
 詳しいことは分かりませんでしたが、ドイツで作られた歌詞もかなり多いようです。

ひとりごと
 どうしても好きになれない歌というものが、たいていの人に、ひとつふたつはあるものと思います。私の場合は、この歌の日本語版、すなわち『山のごちそう』の題名で知られる歌が、どうにも嫌で嫌で仕方がないのです。
 なにが嫌なのかって?それはほかならぬ歌詞です。歌詞を思い起こすだけでもあまりにいらいらするので(それに著作権にも引っかかりますし)歌詞は書きませんが、風景を食事になぞらえているのが不可解、繰り返しのスキャット部分が気持ち悪い、「♪あさごーはーんーは〜」の部分で、言葉のアクセントと曲調がずれているのが苦手、という具合で、とにかく生理的に受け付けられません(書いているだけで気分が悪くなってしまいました)。
 日本語歌詞を書いたのは、『サッちゃん』の作詞や、海外曲に詞をつけた『ともだち讃歌』『ねこふんじゃった』などで知られる阪田寛夫(さかた・ひろお)さんです。しかし、阪田さんの作詞力をもってしても、この歌に適切な日本語詞を当てはめるのは不可能だったとみえます。
 こうして原歌詞を手に入れることができた以上、日本語の歌詞なんて忘れてしまってもいいのですが、小さい頃に覚えてしまった以上、忘れるというのは、非常に難しいものです。


参考URL:
http://www.musicanet.org/robokopp/Lieder/petersbr.html(メイン歌詞)
http://www.mkv.at/test/service/gaudeamus.php?nummer=213(バリアントその1歌詞)
http://home.t-online.de/home/pheld/1alpen2.htm(バリアントその2歌詞)
http://www.cazoo.org/music/folksongs/petersbruennele.html

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)



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