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МЫ НА ЛОДОЧКЕ КАТАЛИСЬ
僕らはボートに乗っていた

青年が自分の恋心をのろける歌です。ちょっととぼけた民謡。

作詞:不詳  /  作曲:不詳  /  19世紀頃成立

邦題
この歌には、定まった邦題はまだ付いていないようです。

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)


◆原歌詞:1〜5番
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
ムィー ナ ローダチキィ カターリス
Мы на лодочке катались,

ザラティースタィ、ザラトーィ
Золотистой, золотой, -

ニィ グリィブリー、ア ツィラヴァーリス
Не гребли, а целовались,

ニィ カチャーィ、ブラーッ、ガラヴォーィ
Не качай, брат, головой.

ヴ・リェスー、ガヴァリャーッ、ヴ・バルー、ガヴァリャーッ
В лесу, говорят, в бору, говорят,

ラスチョーッ、ガヴァリャーッ、サショーンカ
Растёт, говорят, сосёнка,

パヌラーヴィラス ムニェー、マラッツゥー
Понравилась мне, молодцу,

ヴィショーラィヤ ヂィフチョーンカ
Весёлая девчонка.

1.
僕らはボートに乗っていた
金色をした、金色の
ボートを漕がずにキスしあっていた
頭を揺らさないで、きみ
森で語り合い、松林で語り合う
マツの木が育つのを語り合う
若い僕は惚れちゃったよ
陽気なあの娘に
целовались【動詞・複数過去形】
<целоваться キスしあう。
бору【単数前置格】<бор
 (マツ類の)針葉樹林。
растёт【動詞・三人称複数現在形】<расти
 育つ。
понравилась【動詞・女性過去形】
<понравиться 気に入る。
文法上の主語は次行の「девчонка(女の子)」です。

2.
ニィ ククーィ ゴールィカ、ククーシカ
Не кукуй горько, кукушка,

ナ アスィーニィ プラクリャトーィ
На осине проклятой,

スャーヂ ナ ビェールユ ビィリョーズゥ
Сядь на белую берёзу,

プラククーィ ナーッ スィラトーィ
Прокукуй над сиротой.

ヴ・リェスー、ガヴァリャーッ、ヴ・バルー、ガヴァリャーッ
В лесу, говорят, в бору, говорят,

ラスチョーッ、ガヴァリャーッ、サショーンカ
Растёт, говорят, сосёнка,

パヌラーヴィラス ムニェー、マラッツゥー
Понравилась мне, молодцу,

プリゴージャィヤ ヂィフチョーンカ
Пригожая девчонка.

2.
痛々しげに鳴かないでくれ、カッコウよ
呪わしいヤマナラシの木の上で
シラカバの木に止まって
みなしごを見下ろしてカッコーと歌え
森で語り合い、松林で語り合う
マツの木が育つのを語り合う
若い僕は惚れちゃったよ
みめうるわしきあの娘に
кукуй【動詞・命令形】<куковать
 (カッコウが)カッコーと鳴く。
осине【植物・前置格】<осина ヤマナラシ
 ヤナギ科ヤマナラシ属(ハコヤナギ属とも)の高木で、ポプラの近縁種です。ユーラシア大陸北部に広く分布し、北日本でも見られます。
 葉柄が長いため、葉がかすかな風にもよく震えます。ロシアの伝説では、新約聖書に登場するユダがこの木に首を吊って死んだためにそれを思い出して震えているとも、キリストの磔刑を見た恐ろしさに震えているとも言われ、「縁起の悪い木」とされています。
сиротой【造格】<сирота
 みなしご、孤児。

3.
ィヤ タグダー チィビェー パヴェーリュ
Я тогда тебе поверю,

シトー リュボーフ ヴィルナー ウ ナース
Что любовь верна у нас,

パツィルーィ ミニャー、プリヤートカ
Поцелуй меня, приятка,

ビィズ アトルィーヴゥ ソーラク ラース
Без отрыву сорок раз.

トィ、ガヴァリーッ、ハヂー、ガヴァリーッ
Ты, говорит, ходи, говорит,

カ ムニェー、ガヴァリーッ パチャーシィ
Ко мне, говорит, почаще.

チィ、ガヴァリーッ、ナスィー、ガヴァリーッ
Ты, говорит, носи, говорит.

プリャーニキ パスラーシィ
Пряники послаще.

3.
こうしたら僕は君を信じる
僕らの愛がどれほど変わらないかを
僕にキスしてよ、きみ
四十回は止めることなく
あなた、と彼女は言う、来てよ、と彼女は言う
あたしのところに、と彼女は言う、始めながら
あなた、と彼女は言う、持ってきてよ、と彼女は言う
甘いお菓子を送ってきてよ
верна【形容詞・短語尾形】<верный
 忠実な、変わらない。
пряники【複数対格形】<пряник
プリャーニク。スパイスの入った甘い蜜菓子の一種です。ここではキスの甘さをプリャーニクになぞらえていると思われます。

4.
グヂェー ムィ ス・ミーリィヌキム フストレチャーリス
Где мы с миленьким встречались,

ターム ズィリョーナィヤ トラヴァー
Там зелёная трава,

グヂェー ムィ ス・ミローィ ラススタヴァーリス
Где мы с милой расставались,

ターム パソーフリ ヂィリヴァー
Там посохли дерева.

ヴ・リェスー、ガヴァリャーッ、ヴ・バルー、ガヴァリャーッ
В лесу, говорят, в бору, говорят,

ロースラ、ガヴァリャーッ、サショーンカ
Росла, говорят, сосёнка,

ウージ ボーリナ ムニェー パヌラーヴィラス
Уж больно мне понравилась

スムィシリョーナィヤ ヂィフチョーンカ
Смышлёная девчонка.

4.
僕らが恋人どうしどこで会ったか
あの緑の草地だ
僕らが恋人どうし別れた場所では
木々がしおれきった
森で語り合い、松林で語り合う
背の高いマツの木のことを語り合う
もうつらいほどに僕は惚れてしまった
利発なあの娘に
трава 草、草地。
посохли【動詞・複数過去形】<посохнуть
 乾ききる、しおれきる。
росла 【形容詞・女性短語尾形】<рослый
 背の高い。
смышлёная【形容詞・女性主格形】
 <смышлёный 利発な、頭の回転の速い。

5.
ミニャー マーメヌカ ルガーィエッ
Меня маменька ругает,

テャーチカ ボーリェ ビェリジョーッ
Тятька боле бережёт:

カーク イドゥー ズ・グゥリャーンキィ ポーズナ
Как иду с гулянки поздно,

オン ス パリェーナム スチィリジョーッ
Он с поленом стережёт.

ィヤー、ガヴァリーッ、ティビャー、ガヴァリーッ
Я, говорит, тебя, говорит,

スィノーク、ガヴァリーッ、ウヴァージュ!
Сынок, говорит, уважу!

ィヤー、ガヴァリーッ、ティビェー、ガヴァリーッ
Я, говорит, тебе, говорит,

グゥリャーナチクゥ ナラージュ!
Гуляночку налажу!

5.
おふくろが僕を叱る
親父がいっそうかわいがる
僕が野外パーティーからどんなに遅く帰ってきたって
薪と一緒に待ってくれている
俺は、と彼は言う、お前の言うことを、と彼は言う
息子よ、と彼は言う、聞き入れてやっている
俺は、と彼は言う、お前を、と彼は言う
野外パーティーに行かせてやってるんだぞ!
ругает【動詞・三人称単数現在形】<ругать
 叱る。
бережёт【動詞・三人称単数現在形】
<беречь 大事にする、いたわる。
гулянки【単数生格】<гулянка
 野外での遊び。
 最終行のгуляночкуはこの指小形です。
налажу【動詞・一人称単数現在形】
<наладить 修理する、設ける、〔俗語〕差し向ける。


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 ガイド   この歌は19世紀ごろに生まれたとされるロシアの民謡のひとつですが、どの地方のものなのか、作者が推定・特定できるのかなどの細かな情報は入手できませんでした。
 А.マーシスタフ(А.Машистов)という人物が歌詞を書いているという情報もありましたが、この人物についての詳しい情報も見つかっていません。
 イタリアの国際童謡音楽祭「ゼッキーノ・ドーロ」第38回(1995年)では、この歌を『Il Sole Verrà(日が昇るだろう)』という題のイタリア語の歌として歌ったロシアからの出場者がいます。彼女はこの年の最優秀賞を受賞しました。 

ひとりごと
 この歌は、たぶん、当サイトでの紹介が日本での初紹介です。早い話が「おのろけの歌」です。はいはい、好きにやっててくださいね、と言ってあとはほうっておきましょうね。ボートがひっくり返りでもしたらそう見過ごしてもいられないんですけれど。
 ところで、ゼッキーノ・ドーロのほうの歌詞は、原曲とはだいぶ違うものになっています。原曲に無い「日が昇る」という言葉が触りの部分に入ってますし、歌詞の大意は「明るい明日がやってくるよ」という内容で、原曲の歌詞をことさらに変えていることが分かります。原曲そのままを直訳した歌詞では、子どもが歌うにはいささかアレだと判断されたのかもしれません。


◎各種参考URL
【歌詞・楽譜】
○http://a-pesni.golosa.info/rus/mynalod.htm
【歌詞と音源】
○http://pesni.kakras.ru/#26
【歌詞】
○http://pesni.retroportal.ru/np2/10.shtml
○http://www.karaoke.ru/catalog/song/1691
○http://ca.geocities.com/songsua/p0534.html
○http://ovella.ru/pesni182.html
○http://www.barynya.com/moscow/program.htm
○http://pesny-slavian.narod.ru/93.htm
○http://exelinker.ru/music/texts/Narodnye/My_na_lodochke_katalis-69.html
○http://www.folkmusic.ru/song.php?id=60
【音源】
○http://music.lib.ru/g/gruppa_ekz_rus/
【『Il Sole Verrà』の歌詞と音源】
○http://www.filastrocche.it/leggi.asp?idContent=7842&novita=&iniziale= ○http://jp.youtube.com/watch?v=NVQ331X5zkE
【その他】
○http://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%9E%D1%81%D0%B8%D0%BD%D0%B0
 (ヤマナラシについての解説)

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)
ページ最終更新:2010/07/22

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