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ЛАНДЫШИ
スズラン

女性が恋人から贈られた花は、決して豪華ではなかったけれど…。

作詞:О.Я.ファジェーエヴァ
作曲:О.Б.フェリツマン(フェルツマン)
1959年著作・発表

邦題
『すずらん』など

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)


◆原歌詞:1〜3番
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
トィ スィヴォードニャ ムニェー プリニョース
Ты сегодня мне принёс

ニィ ブゥキェーッ イス プィーシヌィフ ロース
Не букет из пышных роз

ニィ テュルパーヌィ イ ニィ リーリィイ
Не тюльпаны и не лилии

プラチィヌール ムニェー ロープカ トィー
Протянул мне робко ты

オーチィヌ スクロームヌィエ ツヴィトィー
Очень скромные цветы

ナ アニー タキーィエ ミールィエ
Но они такие милые


繰り返し

 ラーンドィシィ ラーンドィシィ
 Ландыши ландыши

 スヴェートラヴァ マーィヤ プリヴェーッ
 Светлого мая привет

 ラーンドィシィ ラーンドィシィ
 Ландыши ландыши

 ビェールィィ ブゥキェーッ
 Белый букет

1.
あなたが今日わたしに持ってきたのは
豪華なバラの花束じゃなかったし
チューリップでもユリでもなかった
あなたがおずおずとわたしに差し出したのは
とっても地味な花
でもそれはとても可愛らしかったわ

繰り返し
 スズラン、スズラン
 明るい五月の挨拶
 スズラン、スズラン
 白い花束
принёс【動詞・男性過去形】<принести
 持ってくる。
пышных【形容詞・複数生格】
ふかふかした、豊満な、華やかな。
скромные【形容詞・複数対格】
地味な、控えめな。

2.
プースチ ニィヤーラク イフ ナリャーッ
Пусть неярок их наряд

ナ ターク ニェージン アラマーッ
Но так нежен аромат

ヴ・ニーフ ヴィスニィー アチャラヴァーニィエ
В них весны очарование

スローヴナ ピィスェーンカ ビィス スローフ
Словно песенка без слов

スローヴナ ピィルヴァーィヤ リュボーフ
Словно первая любовь

スローヴナ ピェールヴァェ プリズナーニィエ
Словно первое признание

繰り返し

2.
装いがぱっとしなくても
こんなに上品な香りがする
この中には春の魅力があるわ
歌詞のない歌のような
初恋のような
初めての告白のような
繰り返し
неярок【形容詞・男性短語尾形】
 <неяркий 地味な、さえない。
наряд 服装、(動植物の)華やかさ。
нежен【形容詞・男性主格形】
 <нежный 柔和な、上品な。
очарование 魅力。


3.
ヤー ニィ ヴェーリュ シトー ガダー
Я не верю что года

ガーシィッ チューストヴァ イナグダー
Гасят чувства иногда

ウ ミニャー ドリュゴーィ ムニェーニィェ
У меня другое мнение

ヴェーリュ ブージィシ カージドィ ゴーッ
Верю будешь каждый год

プースチ ホーチ ムノーガ リェーッ プラィヂョーッ
Пусть хоть много лет пройдёт

トィ ダリーチ ムニェー ヴ・ドニー ヴィスェーンニィェ
Ты дарить мне в дни весенние

繰り返し

3.
わたしは信じない、年月が
愛情を消すことがあるだなんて
わたしには違った意見があるの
信じてる、これからの毎年
たとえ何年たとうとも
あなたが春の日にわたしに贈ってくれることを
繰り返し
верю【動詞・一人称単数現在形】<верить
 信じる。
гасят【動詞・三人称複数現在形】<гасить
 消す、(感情を)抑える。
хоть【接続詞】たとえ〜しようとも。



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 ガイド   この歌は、1959年に発表された歌謡曲で、ロシアの詩人オリガ・ヤーコヴレヴナ・ファジェーエヴァ(Ольга Яковлевна Фадеева、1906〜1986)が歌詞を書き、ロシアの作曲家オスカル・ボリーソヴィチ・フェリツマン(Оскар Борисович Фельцман、1921〜2013)が曲を書いたものです。初演はゲレーナ・ヴェリカノーヴァ(Гелена Великанова、1922〜1998)の歌唱によります。
 この歌が当時のソヴィエト連邦で発表されたとき、「社会主義の清純さや賢明さを乱す歌だ」として、23年間の長きにわたりマスコミの弾圧に遭い、放送などで取り上げられることもほとんどなかったようです。ソ連の消滅した現在のロシアでは、この歌はフェリツマンの代表曲とみなされています。
 日本では、J-WIDで検索すると出てくるように「ロシア民謡」として紹介されてしまっています。男性四人組のコーラスグループ、ダークダックスが『すずらん』の邦題をつけ、日本語歌詞を書いています。

ひとりごと
 日本語版では、男性が森の中で出会った女性に恋をする歌になっていますが、ロシア語ではここに挙げたように女性が男性への恋心を歌う歌です。しかも、男性が花束を持っているところから察するに、どうやら場面は街なかのようですね。
 この歌のように、海外のポピュラーソングを日本の歌に翻案した歌曲では、内容がだいぶ入れ違っていることが往々にしてあります。
 有名どころとしては、

  • 西城秀樹の『ヤングマン』 < Village Peopleの『Y.M.C.A.』
  • サーカスの『Mr.サマータイム』 < Michel Fugainの『Une Belle Histoire』
  • 弘田三枝子ほかの『バケイション』 < Connie Francisの『Vacation』
  • 皆川おさむの『黒ねこのタンゴ』 < Zecchino d'Oro入賞曲の『Volevo un Gatto Nero』
  • 小林麻美の『雨音はショパンの調べ』 < Gazeboの『I Like Chopin』
  • ザ・ピーナッツの『キッスは目にして!』 < Caterina Valenteの『Passion Flower』

  • あたりでしょうか。
     なお、明治から戦前の唱歌で、「蛍の光」や「冬の星座」など、外国曲に日本語歌詞を施したものがたくさんありますが、これらは最初から原曲とは無関係の歌詞を作成しているので、ここで言う「翻案』からは除外されます。

     ところで、『Ландыши』は、本来、著作権がまだ生きている歌です。作詞者が亡くなってからまだ50年は経ていませんし、作曲者にいたってはいまだご存命です。なぜ日本では「著作権が消滅しています」扱いにされているのか知りませんが、日本で著作権消滅扱いになっていても原曲の著作権がいまだ生きている歌をウェブサイトに掲載しているばあい、何かの折にジャスラックさんか誰かがいきなり気付いたかのように著作権侵害を申し立ててくる可能性があります。その際にはこのページを引っ込めますのでご了承ください。

    ◎各種参考URL
    【歌詞】
    ○http://romance.ru/cgi-bin/index.cgi?page=d-6-4-11&item=716&sort=H1&pagenum=0
    ○http://www.karaoke.ru/song/187.htm
    ○http://www.1000plastinok.com/song1825.html9
    【解説】
    ○http://feltzman.narod.ru/  (フェリツマン公式サイト)
    ○http://www.russologia.ru/SlovaL.html

    MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)
    ページ最終更新:2008/09/08

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