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フランス語を発音するときに心に留めておくと発音が上手になる、そんなキーポイントをまとめてあります。
文字や発音記号の一つ一つの発音は、発音の手引きの「母音」ないし「子音」にこれでもかと言うほど記述いたしましたので、そちらをご覧くださるようご案内いたします。
◆フランス語
○フランス語・発音の総括的説明
- フランス語の綴りと発音の関係は、かなり規則正しく作られているので、綴りから発音を類推するのはかなり易しいものとなっています。
ですが、語末の子音字の発音の省略や、同音異綴が多いことなどで、発音から綴りを再現するのは、ある程度の経験を積んでいないとまず難しいでしょう。
- フランス語のアクセントは、強弱アクセントです。アクセントの位置は、基本的に語尾にあります。アクセントのある母音は強くはっきりと発音します。
複数の単語が結びつき、ひとまとまりの意味のあるフレーズをなすとき、フレーズの最後の単語のアクセントだけが、強調して発音されるようになります。このひとまとまりのフレーズのことを「リズム・グループ」と呼び、フランス語独特のうねりのある響きを作り出す元となっています。
- フランス語では、語末の子音字は、多くの場合発音を省略します。詳しくは「子音のルール」をご覧ください。
- フランス語は、前後の単語どうしをつなげて発音する、独特の発音形態を持っています。
単語のつなげ方によって、「アンシェヌマン」、「リエゾン」、「エリズィオン」の3種類に分類されます。
- アンシェヌマン(enchaînement『連鎖』)は、前の単語で発音される最後の子音が、つぎの単語の語頭の母音と一緒になって、単語を超えてひとつの音節を作り出すものです。音節の切れ目と、単語の切れ目とがずれて聞こえるようになります。
当サイトでは、アンシェヌマンが形成されていることを示すために、カタカナ発音に、下の例のように「なかポチ(中点)」を入れています。
- avec une amie「アヴェ・クュ・ナミ」(『女友達といっしょに』。綴りどおりだと「アヴェク ユヌ アミ」)
- herbe aux chats「エル・ボ シャ」(『イヌハッカ、キャットニップ』。綴りどおりだと「エルブ オ シャ」)
- il habite「イ・ラビッ」(『彼は住んでいる』。綴りどおりだと「イル アビッ」。「h」は発音されないので、「l」は「a」とアンシェヌマンを形成します。)
- リエゾン(liaison『連絡』)は、以下の〔a〕〔b〕の2種類をさします。
〔a〕綴りは子音で終わっているが発音は母音で終わる単語と、母音の発音で始まる単語とがこの順で続くときに、先の単語の語末の発音されていない子音を、次の語の語頭の母音とつなげて発音すること。
〔b〕綴りも発音も母音で終わる単語と、母音の発音で始まる単語とがこの順で続くときに、ふたつの単語の間に適当な子音を補って発音すること。
つまり、単独では発音上に現れない子音が、リエゾンの発生によって発音されるようになるのです。
リエゾンするか否かは、文の格調や文法構造によって左右されます。一般に、格調高い文ほどリエゾンしやすいとされます。また、一部の前置詞は、後続の語と必ずリエゾンします。
当サイトでは、リエゾンが発生していることを示すために、カタカナ発音に、下の例のように「なかポチ(中点)」を入れています。
- les yeux「レ・ゼュ」(『その目』〔複数〕。綴りどおりだと「レ エュ」)
- grand homme「グロン・トム」(『偉人』。綴りどおりだと「グロン オム」。「d」が/t/と発音されます)
- Moyen Âge「ムワィエ・ナージ」(『中世』。綴りどおりだと「ムワィオン アージ」。enが非鼻母音化します。)
- neuf ans「ネゥ・ヴォン」(『9年、9歳』。綴りどおりだと「ネゥフ オン」。「f」が/v/と発音されます)
- なお、grand hunier「グロン ユニェ」(『メーントップスル』)のように、「h」や「y」で始まる語には、直前の語とリエゾンしないものもあります。
- エリズィオン(élision『母音省略』)は、母音で終わる語に、母音で始まる語が続くとき、先の語の最終母音が脱落して、次の語と一体化した音節を形成することです。綴りの上では、前の単語の最終母音のかわりにアポストロフィを置き、前後の語を連続して書きます。
当サイトでは、エリズィオンに対する特別な書き方はしていません。エリズィオンした語群は、一つの単語と同じようにして扱っています。
- n'est-ce pa「ネスパ」(『ねえ、そうでしょう』。母音省略なしだと「ne est-ce pa」)
- s'il en fut「スィ・ロン フュ」(『稀代の』。母音省略なしだと「si il en fut」)
- quelqu'un「ケルカン」(『誰か』。母音省略なしだと「quelque un」)
- Je m'appelle Michel.「ジュ マペル ミシェル」(『私はミシェルという名です』。母音省略なしだと「Je me appelle Michel.」)
- 「h」の字は、感嘆詞以外では発音されません。「ch」のかたちで「シ」と発音されたりする例はありますが、単独では発音されず、せいぜい音の切れ目を示すのに用いられる程度です。
- フランス語を特徴付ける音は、リズムグループの後ろに集中するアクセント、鼻母音の多用、母音の連続を嫌うこと、二重母音をほとんど使用しないこと、語尾や音節末に子音が少ないことなどでしょう。
○フランス語・母音のルール
- フランス語の母音は、ウムラオト音、鼻母音、あいまい母音などと、たいへん多彩です。また、これらの母音の発音をつづり分けるのに、綴り方がかなり体系化されています。
- フランス語の母音はほとんどが単母音です。二重母音は間投詞などを除きかなり稀です。
- pays「ペイ」(『国』。「エ」と「イ」が一続きには発音されず、別々の音節として発音されます。英語「pay」が1音節で発音されるのと比較のこと。)
- フランス語では母音が連続することを避けます。ひとつの単語の中であれ、2語にわたる場合であれ、母音が連続することを防ぐために、たいてい何らかの措置を講じます。
したがって、エリズィオンが頻繁に使用されたり、意味とは関係なしに「l'」や「t'」といった子音が出現するリエゾンがしばしば見られます。
- フランス語では、語末の「e」は、ふつう発音しません。ただし、語末の「e」以外に母音がない単語や、アクサンが付いている場合は、発音します。
- ne「ヌ」(『〜ない』。語尾に曖昧母音の/ウ/がついて発音されます。)
- pré「プレ」(『牧場』)
- gaieté「ゲテ」(『陽気さ』)
- フランス語の母音字の表記は、4種類の補助記号を伴うことがあります。
「a」と補助記号 |
a á â |
「e」と補助記号 |
e é è ê ë |
「i」と補助記号 |
i î ï |
「o」と補助記号 |
o ô |
「u」と補助記号 |
u û |
複合母音字と補助記号 |
oî aî où oû |
右上がりの記号(「é」など)を「アクサン・テギュ(accent aigu)」、右下がりの記号(「è」など)を「アクサン・グラーヴ(accent grave)」、屋根型の記号(「î」など)を「アクサン・スィルコンフレックス(accent circonflexe)」、点が2つ並んだ記号(「ï」など)を「トレマ(tréma)」と呼びます。
上の表の中で、発音に留意すべきものは、「é」「è」「ë」「ï」の4個です。
- 「é」: 「発音の手引き・母音」のE-1の、口を横に引いた「エ」の音です。
なお、「エギュ(aigu)」は『音程が高い』の意味です。
- 「è」: 「発音の手引き・母音」のE-2の、口を大きく開けた「エ」の音です。
なお、「グラーヴ(grave)」は『音程が低い』の意味です。
- 「ë」: 上記のどちらにもなり得ます。「トレマ」は、「前後の母音とつなげず、別々に発音する」ことを表します。
- 「ï」: 直前に母音字を伴っていても/i/と発音されます。「トレマ」は、「前後の母音とつなげず、別々に発音する」ことを表します。たとえば、「ai」という綴りがあれば「エ」と発音しますが、「aï」という綴りがあれば「アイ」「アィ」と発音します。
- フランス語には長母音はありません。アクセントを置くことで、母音が長めに発音されることはあります。
- フランス語の母音は、鼻母音が大きな特徴となっています。現代フランス語にみられる鼻母音は、「発音の手引き」の鼻母音の部に載せてある4種類の音です。
鼻母音の綴りは、必ず「母音字 + 〔 n または m 〕」の形をとります。母音字は1〜2文字です。
(以下のリストでは、各種アクサンやトレマは省きました。)
- 母音字が「a」「e」のとき : 「発音の手引き・母音」のB-1の、「オン」の発音になります。
- 母音字が「i」「ai」「ei」「y」のとき : 「発音の手引き・母音」のB-2の、「アン」の発音になります。
- 母音字が「o」のとき : 「発音の手引き・母音」のB-3の、「オン」の発音になります。
- 母音字が「u」のとき : 「発音の手引き・母音」のB-4の、「エン」「オン」の発音になります。
この発音は、「in(アン)」などの発音である鼻母音B-2と同化する傾向にあります。
- 「母音字 + 〔 n または m 〕」の綴りがあっても、automne「オトン」(『秋』)や、homme「オム」(『男』)のように、鼻母音を生じさせない語もあります。
- フランス語は、複合母音字が発達しています。複合母音字とは、2〜3個の母音字を組み合わせて、元の字の発音とは異なる音を表記するものです。
(以下のリストでは、各種アクサンやトレマは省きました。)
- 「ai」「ei」 > 「エ」: quai「ケ」(『波止場、ホーム』)、seigneur「セニェゥル」(『領主』)
- 「au」「eau」 > 「オ」: fraude「フロォッ」(『不正行為』)、beaucoup「ボクゥ」(『非常に』)
- 「eu」「œ」「œu」 > 「エ」「ォエ」: neveu「ヌヴェュ」(『甥』)、sœur「セゥル」(『妹』)
- 「oi」「oy」 > 「ゥワ」: foie「フワ」(『肝臓』)、joyeux「ジュワェユ」(『陽気な』)
- 「ou」 > 「ウ」: tout「トゥ」(『すべて』)
- oignon(『タマネギ』)は、例外的に「オニョン」と発音します(「ワニョン」ではない)。
- 母音字どうしが続くことで、半母音が生成することがあります。また、母音字と「il」「ill」が続くことでも半母音が生成します。
- 「i 、y」+「母音字」 > /j/が生成 : biologie「ビヨロジ」(『生物学』)、ayant「エィヨン」(『持っている』〔現在分詞〕)
- 「ou」+「母音字」 > /w/が生成 : ouest「ウェスト」(『西』)、louange「ルワンジ」(『賛辞』)
- 「u」+「母音字」 > 半母音「J-2」が生成 : nuage「ヌュアージ」(『雲』)
- 「母音字」+「il 、ill」 > /j/が生成 : ail「アィュ」(『ニンニク』)、œillet「エゥィエ」(『カーネーション』)
- 「母音字」+「y」+「母音字」のとき、「y」は「ii」と同等であるとされます。
voyage「ヴヮヤージ」(『旅行』。「voi」が「ヴワ」、「iage」が「ィヤージ」と表せるので、この発音になります)
○フランス語・子音のルール
- フランス語の子音は、多くは文字通りに読めば大丈夫ですが、「c」「g」「s」は、後ろに続く文字によって発音が変わります。
- 「c」は、「e」「i」「y」の直前では/s/の音で、それ以外の字の直前や語尾では/k/の音で読みます。
- cendre「ソンドル」(『灰』)、ciseau「スィゾ」(『鋏』)、cygne「スィニュ」(『ハクチョウ』)
- recul「ルクュル」(『後退』)、pacte「パクト」(『条約』)、sac「サク」(『袋』)
- 「c」の字を、「e」「i」「y」以外の字の直前でも/s/と読むには、「ç」を用います。「a」「o」「u」の直前でのみ有効です。
reçu「ルスュ」(『領収書』)、façade「ファサーッ」(『〔建物の〕正面』)
- 「g」は、「e」「i」「y」の直前では「ジ」の音で、それ以外の字の直前では/g/の音で読みます。
- géométrie「ジェオメトリ」(『幾何学』)、agiter「アジテ」(『揺する』)、gym「ジム」(『体操』)
- guide「ギッ/ギド」(『案内役』)、égrener「エグルネ」(『脱穀する』)
- 「s」は、「母音字」+「s」+「母音字」では/z/と発音されますが、それ以外の環境では/s/と発音されます。
なお、「母音字」+「ss」+「母音字」は/s/と発音されます。
[例]"poison「プワゾン」(『毒』)" と "poisson「プワソン」(『魚』)" の違い。
- フランス語では、語末の子音字は、多くの場合発音を省略します。また、フランス語では「母音+mまたはn」のかたちで鼻母音を形成するので、語末の「m」や「n」が発音されないことも少なくありません。
ただし、語末の子音字のうち、「c」「f」「l」「r」は省略されずに発音されることが多いようです。この4つの文字を「まとめて"careful"として覚えよ」とは、フランス語の初学者の皆様がよく耳にされることだと思います(なぜ英語の単語?と首を傾げたくなる向きも無きにしも非ずなのですが)。
なお、「-er」で終わる動詞の語尾にある「r」は、発音されません。「-ir」で終わる動詞の語尾の「r」は発音されます。
- sec「セク」(『乾いた』)
- objectif「オブジェクティフ」(『目標、客観的な』)
- vital「ヴィタル」(『生命の、生活に必要な』)
- malheur「マレゥル」(『不幸、不運』)
- deviner「ドヴィネ」(『見抜く、見分ける』。「r」は発音されません。)
- bouillir「ブゥイル」(『沸騰する』。「r」が発音されます。)
- 「h」は、感嘆詞以外では、常に無音でいっさい発音されることはありません。
ただし、アンシェヌマン、リエゾン、エリズィオンを許容する「h」(「無音の『h』」と呼びます)と、許容しない「h」(「有音の『h』」と呼びます)があります。これには、特にルールはなく、個々の単語について覚えなければならないので、ちょいと厄介です。
- 無音の「h」の例:sports d'hiver「スポル・ディヴェル」(『ウィンタースポーツ』。エリズィオンしています)
- 有音の「h」の例:le hasard「ル アザル」(『偶然のこと』。エリズィオンしていません)
- 「q」と「qu」は、どんな環境でも/k/と発音されます。英語の/kw/や、ドイツ語の/kv/と混同しないようにしましょう。
- 「ch」は「シ」、「gn」は「ニュ」と読みます。ただし、外来語では例外もあります。
- 「ch」: chance「ションス」(『機会』)、chercher「シェルシェ」(『探す』)
- 「ch」の例外 : orchestre「オルケストル」(『オーケストラ』)、chromozome「クロモゾム」(『染色体』)
- 「gn」: ignorer「イニョレ」(『知らずにいる』)、montagne「モンターニ」(『山』)
- 「gn」の例外 : stagnant「スタグノン」(『よどんだ』)、agnosticisme「アグノスティスィスム」(『不可知論』)
○フランス語のアルファベ一覧(左の列から縦に見ていってください。)
A a
|
ア
|
J j
|
ジ
|
S s
|
エス
|
B b
|
ベ
|
K k
|
カ
|
T t
|
テ
|
C c
|
セ
|
L l
|
エル
|
U u
|
ユ
|
D d
|
デ
|
M m
|
エム
|
V v
|
ヴェ
|
E e
|
ウ
|
N n
|
エンヌ
|
W w
|
ドブル・ヴェ
|
F f
|
エフ
|
O o
|
オ
|
X x
|
イクス
|
G g
|
ジェ
|
P p
|
ペ
|
Y y
|
イ・グレック
|
H h
|
アシュ
|
Q q
|
キュ
|
Z z
|
ゼド
|
I i
|
イ
|
R r
|
エル(エール)
|
|
- フランス語の字母は26組です。この中には、アクサン・トレマ・セディーユといった補助記号の付いた文字や、合字であるœは含まれません。
- 「e」は「ウ」と読まれます。この音は、日本語の「ウ」に比較的近く、口をあまり開けたりすぼめたりしないで出す音です。
- 「k」は外来語のみに使われる文字です。おもにドイツ語・ロシア語・英語・アラビア語・ヘブライ語あたりからの語彙が多いようです。
また、ギリシア語由来の学術用語などにも「k」が使われています。
- 「w」は外来語のみに適用される文字です。英語もしくはドイツ語由来のものが多いようです。発音は、/v/または/w/となります。
[例]wagon「ヴァゴン」(『〔鉄道の〕車両』)、week-end「ウィケヌド」(『週末』)
- 「Y」の読みである「イ・グレック」は、「ギリシアの"i"」という意味です。おそらくギリシア文字の「Υ(ウプシロン)」に由来するものと思われます。
○フランス語とその一般的なカタカナ表記の関係
- フランス語には明確な長母音がありませんが、カナ表記をするときに、アクセントのある母音に対して長音記号を振ることがあります。
[例]rouge「ルゥジ」(『赤い、口紅』。日本語では一般に「ルージュ」と表記)
naïve「ナイヴ」(『うぶな』〔女性形〕。日本語では一般に「ナイーブ」と表記)
enquête「オンケッ」(『調査、アンケート』。日本語では一般に「アンケート」と表記)
- 鼻母音は、「発音の手引き・母音」のB-1(an、en、am、emの綴り)に対しては「アン」、B-2(in、im、ain、aimなどの綴り)に対しては「アン」、B-3(on、omの綴り)に対しては「オン」、B-4(un、umの綴り)に対しては「アン」または「エン」が、それぞれ表記に適用されます。
[例]anglaise「オングレズ」(『英国風の』。日本語では一般に「アングレーズ」と表記)
mannequin「マヌカン」(『ファッションモデル』。日本語では一般に「マヌカン」と表記。なお「マネキン」は英語経由で日本語に入って来た語)
mouton「ムゥトン」(『ヒツジ』。日本語では一般に「ムートン」と表記)
Dunkerque「ダンケルク」(フランス北部の都市。日本語では一般に「ダンケルク」と表記)
- 「oi」「oy」は「オワ」または「オア」と表記されます。
[例]Lavoisier「ラヴワズェ」(フランスの物理学者。日本語では「ラボアジェ」「ラボワジエ」などと表記)
noir「ヌワル」(『黒い』。日本語では一般に「ノワール」と表記)
- 発音記号/φ/や/œ/で表される音(eu、œ、œuの綴り)は、「ウ」で表記されます。
また、発音記号/y/で表される音(u、û)は、「ユ」と表記します。
[例]monsieur「ムセゥ」(『〜氏』。日本語では一般に「ムッシュー」と表記)
musette「ムュゼッ」(『ミュゼット〔楽器の一種〕』。日本語では一般に「ミュゼット」と表記)
- 「〔母音〕+〔il または ill〕」で/j/と発音されるものは、「母音+ユ」または「母音+イユ」で表記されます。
[例]Versailles「ヴェルサィユ」(フランス北部の都市。日本語では一般に「ベルサイユ」「ヴェルサイユ」と表記)
millefeuille「ミルフェィユ」(パイ菓子の一種。日本語では一般に「ミルフィーユ」と表記)
- 語尾以外の音節末にあって補助記号の無い「e」や、語尾で「e +〔子音1字〕」のかたちをとる「e」は「ウ」と表記されます。ただし、「e」の直前が「t」「d」だと「ト」「ド」と表記されます。
また、冠詞の「le」は「ル」と表記されます。
[例]Le Havre「ル アヴル」(フランス北部の都市。日本語では一般に「ルアーブル」「ルアーヴル」と表記)
Nantes「ノント」(フランス西部の都市。日本語では一般に「ナント」と表記)
petit「プティ」(『小さな』。日本語では一般に「プチ」と表記)
- 「e」は、「語末の音節で語尾以外の位置にある」「補助記号が付いている」「語末以外の音節で閉音節にある」の条件のいずれかひとつを満たすとき、「エ」と表記されます。ただし、鼻母音を形成していてはいけません。
冠詞の「les」も「レ」と表記されます。
[例]mémoire「メムワル」(『記憶』。日本語では一般に「メモワール」と表記)
chef「シェフ」(『長、上司』。日本語では一般に「シェフ」と表記)
- アンシェヌマン、リエゾン、エリズィオンは、いずれも新たに形成された音節が正式に成り立っているものとして扱います。
[例]prêt-à-porter「プレ・タ・ポルテ」(『高級既製服』。日本語では一般に「プレタポルテ」と表記)
Champs-Élysées「ションゼリゼ」(パリの通りの名称。日本語では一般に「シャンゼリゼ」と表記)
- フランス語の「l」と「r」は、いずれも「ラ」行のカナで表記されます。直後に母音を伴わないときは、いずれも「ル」で表記されます。
[例]royal「ルワィヤル」(『王の』。日本語では一般に「ロワイヤル」と表記)
reportage「ルポルタージ」(『現地報道』。日本語では一般に「ルポルタージュ」と表記)
- 「v」は伝統的に「バ」行のカナで表記しますが、最近では「ヴ」を使用して表記することもあります。
[例]Louvre「ルゥヴル」(パリにある宮殿・美術館。日本語では一般に「ルーブル」「ルーヴル」と表記)
- 語尾が/n/の発音で終わる語の表記には、「ヌ」を用います。
[例]Seine「セヌ」(フランス北部の河川。日本語では一般に「セーヌ」と表記)
Cannes「カヌ」(フランス南東部の都市。日本語では一般に「カンヌ」と表記)
- 「d」は「ダ」行のカナで表記されますが、「di」は「ジ」と表記されることがあります。
[例]Côte-d'Ivoire「コォッディヴワル」(アフリカ・ギニア湾岸の国。「象牙海岸共和国」とも。日本語では一般に「コートジボアール」と表記)
Dijon「ディジョン」(フランス東部の都市。日本語では「ディジョン」「ジジョン」と表記)
- 「gn」は「ニャ」行のカナで表記されます。
[例]rossignol「ロスィニョル」(『ナイチンゲール』。日本語では一般に「ロシニョール」と表記)
Bretagne「ブルタニュ」(フランス北西部の地方。日本語では一般に「ブルターニュ」と表記)
- 語尾の「〔母音〕+ g」の「g」は、「ジュ」と表記されます。
[例]montage「モンタジ」(『組み立て、編集』。日本語では一般に「モンタージュ」と表記)
hommage「オマジ」(『尊敬の念』。日本語では一般に「オマージュ」と表記)
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