≫日本人に外国語の子音の発音が難しい理由≪
日本語と外国語とでは、「k」や「m」のように共通に存在している子音も決して少なくありません。
それなのにどうして日本語話者が外国語の子音を不得手とするかといえば、
「カ」「ガ」に |
「サ」「ザ」に |
「シャ」「チャ」 |
「タ」「ダ」「ツ」 |
「ナ」に似た |
「ハ」に似た |
「バ」「パ」に |
「マ」に似た |
「ヤ」に似た |
「ラ」に似た |
「ワ」に似た |
その他の |
¶「カ」「ガ」に似た子音 (K-1, 2)
K-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「カ」「キ」「ク」「ケ」「コ」 いわゆる「k」の発音です。ヨーロッパ言語では、日本語の「カ」行の子音の発音で事足ります。厳密には、日本語の「カ」行を発音する場合よりも、いくぶん口の後ろ側で調音します。 ついでですが、中国語の「カ」「ガ」行音の発音は、このヨーロッパ式の発音で行われます。更に加えて、「有声音」と「無声音」の区別が必要です。 そして、ヨーロッパ言語では、この発音が語尾に来たときや、他の子音の直前に置かれているときには要注意です!こういうときは、「カ」を発音する感覚で、舌を上顎につけ、息をそこで遮っておきます。そして、その状態から、声を出さずに息だけを吐き出してやれば、「k」の子音だけの発音ができます。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /kl/慣れないうちは、舌を「l」の位置につけてから、「k」を発音すると良いでしょう。 clean「クリーン」(英『清潔な』) oncle「オンクル」(仏『伯父・叔父』) /kn/ 「k」と「n」を連続で。母音を挟まないよう! Knospe「クノスペ」(独『つぼみ』) token「トウクン」(英『記念品』) /kr/ 「k」が口の奥を使う音、「r」は舌の先のほうを使う音と、住み分けがきちんとできています。それをきちんと生かしましょう。 across「アクロース」(英『〜を横切って』) Kragen「クラーゲン」(独『襟』) /ks/ 先に「s」を構えておいて、「k」を発音したら即座に「s」に乗り換えましょう。 taxis「タクスィス」(英『走性』) Lachs 「ラクス」(独『サケ』) /kt/ 母音を挟まないように気をつけて、「k」と「t」を連続発音します。 кто「クトー」(露『誰が』) picked「ピクト」(英『摘んだ』) /kv/ 母音を挟まないように気をつけて、「k」と「v」を連続発音します。 Qualität「クヴァリテーッ」(独『品質』) /kw/ 先に唇をすぼめておいてから、「k」を発音し、そのまま「w」に移ります。 pourquoi「プルクワ」(仏『なぜ』) quarrel「クウォーラル」(英『口げんか』) |
K-2 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ガ」「ギ」「グ」「ゲ」「ゴ」 いわゆる「g」の発音です。ヨーロッパ言語では、日本語の「ガ」行の子音を発音すれば事足ります。 「k」の有声音とされますが、「k」よりもいくらか柔らかい音の響きになります。比較的口の奥のほうで調音すると、よりヨーロッパ系の発音に近づくようです。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /gl/舌を「l」の位置につけてから「g」を発音すると楽です。 gleam「グリーム」(英『かすかな光』) wiggle「ウィグォ」(英『くねくね動かす』) /gr/ 子音を挟まないように気をつけながら、「g」と「r」を続ければ宜しい。 tigre「ティグル」(仏『トラ』) gross「グロス」(英『全体の』) /gz/ 舌を前もって「z」の位置に置いておいてから「g」を発音し、速やかに「z」に変更します。 legs「レグズ」(英『脚〔複数〕』) |
¶「サ」「ザ」に似た子音 (S-1, 2, 3, 4)
S-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「サ」「スィ」「ス」「セ」「ソ」 日本語の「サ」「ス」「セ」「ソ」の発音に類似しているので、日本語式の発音でも片付けられなくもないのですが、もう少しよく見てみましょう。 この発音は、日本語の「サ」「ス」「セ」「ソ」とは違い、舌先が歯に触れません。上の前歯の裏側ぎりぎりのところまで来ているのですが、息が噴き出るぶんの隙間だけわずかに空いています。 日本語なら、舌が歯に当たる・当たらないはさほど問題ではありません。ですが、ヨーロッパ系言語では、離したほうが「s」として良い発音になるようです。 そして、ここに更なる問題が。 それは、この音が、「シ」の子音ではないということです。「スィ」と「シ」を発音して、舌の位置をよく比べてください。 「シ」と発音するとき、「スィ」と比べて、舌はやや広がり、少し上のほうに位置しているのが分かるでしょうか。 更に申せば、日本語の「シ」の発音と、ほかの言語の「シ」では、かなりの違いが見られます。 たかが「サシスセソ」だと思って甘く見ないでください。 日本語でも、「s」の音が子音だけで出てくることがあります。 「ありますか?」と言ってみてください。このとき、「す」の音が、ほぼ子音だけになって発音されています。 同様の例として、「バースデー」「カスピ海」「ドストエフスキー」などの「ス」も、ほぼ子音だけになって発音されます。 このとき、舌が門歯の裏ぎりぎりのところに来ているものの、歯に触れていないことがお分かりになるでしょうか? ○この発音のある言語:ロシア語、ドイツ語、フランス語、英語ほか ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /sk/まず息だけの「s」を発音してから「k」に移動。「k」をやや強めに発音するのがコツです。 сколько「スコーリカ」(露『どれだけ』) task「タスク」(英『課業』) /skr/ まず息だけの「s」を出して「k」に移動したのち、舌を上顎から放して「r」の形に持っていきます。舌が口の奥へ引かれていく感覚で。 screw「スクルー」(英『ねじ』) scream「スクリーム」(英『悲鳴』) /sl/ まず息だけの「s」を発音してから、舌をすばやく前に滑らせて「l」に移動します。 sleigh「スレィ」(英『そり』) muscle「マスォ」(英『筋肉』) /sm/ 息だけの「s」を発音した後、「m」につなげます。この2つは調音法が全く違うので、逆にスムーズに発音できるはずです。 smell「スメォ」(英『においを嗅ぐ』) смех「スミェーフ」(露『笑い』) /sn/ 息だけの「s」を発音したあと、舌を前にずらして「n」を発音します。場合によっては、ほとんど舌を動かさなくとも発音できます。 snow「スノゥ」(英『雪』) listen「リスン」(英『聴く』) /sp/ 息だけの「s」を発音した後、「p」につなげます。さほど難しくはありません。 spike「スパィク」(英『大釘』) whisper「ウィスパ」(英『ささやく』) /spr/ 「s」のあとに、「p」と「r」を同時に発音するようにすると、それなりに良い発音が出来ます。 sprite「スプラィッ」(英『元気』) спросить「スプラスィーチ」(露『尋ねる』) /st/ 息だけの「s」を発音したあとで、舌を前に進めて「t」を発音します。「t」をやや強めにすると割と上手にできます。 station「ステイシャン」(英『駅、部署』) Kiste「キステ」(独『木箱』) /str/ 息だけの「s」のあとで、舌を前に進めて「t」を、さらに上顎に沿って舌を滑らせるようにして「r」を発音します。「r」の発音の仕方は、続く母音によって微妙に変わります。 strength「ストレングス」(英『強さ』) strict「ストリクト」(英『厳しい』) /sv/ 息だけの「s」を発音したあとで、スムーズに「v」の発音へ移行します。 svelte「スヴェルト」(仏『すらりとした』) /sw/ 「s」を発音するのと同時に唇をすぼめ、「s」の発音が終わると同時に「w」に移行できるようにしましょう。 swarm「スウォーム」(英『〔昆虫の〕群れ』) soir「スワル」(仏『夜』) |
S-2 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ザ」「ズィ」「ズ」「ゼ」「ゾ」 日本語の「ザ」「ズ」「ゼ」「ゾ」の発音で代用を利かせてしまってもよいのですが、もう少し細かく見てみましょう。 この発音では、日本語では舌の先が前歯にぶつかることが多いのに対し、ヨーロッパ系の言語では、まず舌先が歯にぶつかることがありません。と言うより、ぶつけません。 舌の先端を、前歯からわずかに浮かせて、「ザ」を発音してみましょう。舌の表面を、息が滑っていくと思います。 とりわけ、「ズ」には気を払いましょう。日本語では、多くの地方で「ズ」と「ヅ」の区別をしませんが、ヨーロッパ系の言語でははっきりと区別しています。つまり、この2つの発音の仕分けができないようでは、頓珍漢な内容を喋ることにもなりかねないわけです。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /zd/「z」の発音に続けて、舌を前にずらして「d」を発音します。 ceased「スィーズド」(英『終えた』) звезда「ズヴェズダー」(露『星』) /zdr/ 息だけの「z」のあとで、舌を前に進めて「d」を、さらに息をそのまま強く吹き付けるようにして「r」を発音します。すべて一つの息に乗せて発音してしまえるように心がけましょう。 здравствовать「ズドラストヴァヴァーチ」(露『健康でいる』) sdrucciolare「ズドルッチィォラーレ」(伊『つるつる滑る』) /zl/ 舌先を歯の裏に触れるぎりぎりの位置(ぶっちゃけ触れてもOK)に寄せて、「z」のあとに舌を歯に押し付けて「l」の発音に移行します。 measles「ミーズォズ」(英『はしか』) злой 「ズローィ」(露『邪悪な』) /zn/ 舌先を歯の裏に触れるぎりぎりの位置(こちらは触れないほうが良い)に寄せて、「z」のあとに舌を歯に押し付けて「n」の発音に移行します。 season「スィーズン」(英『季節』) знать「ズナーチ」(露『知っている』) /zv/ 息だけの「z」に続けて「v」を発音します。このとき下唇を持ち上げることを意識すると、スムーズに発音できます。 звонок「ズヴァノーク」(露『鈴、ベル』) sveglia「ズヴェッリ゜ャ」(伊『目覚め、目覚まし時計』) |
S-3 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「サ」「スィ」「ス」「セ」「ソ」 ふっふっふ。出ましたよ。なぜか日本人ができない発音が…。 歯と歯の間に舌先を挟んで息を噴き出す、という基礎知識は皆さん持ってらっしゃるのに、なんで出来ないんでしょうかねぇ? 私が思うに、歯と歯の間に舌を挟んでしまっているからこそ、この発音を厄介なものだと感じてしまっているのではないかと思うのです。というわけで、挟まないようにして発音すれば、すっきりうまくいくはずなのですが…挟まないのだとしたら、どうすればいいのでしょうか? 私は、「舌を歯の間に挟む」のではなく、「上の前歯と下の前歯とのあいだにできた隙間に舌先を当てがってやる」という発想を推奨します。更に言えば、「上の門歯の先と舌先とを合わせる。下の門歯は無視。」とすれば、より良い発音になることでしょう。 ○この発音のある言語:英語、スペイン語(特にスペイン) ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /θr/「θ」の音を出し、息を吐きつつ、舌を口の奥に引っ込めていきましょう(舌先が口のどこにも付かないよう注意)。自然とこの発音になります。 thread「スレッ」(英『糸』) throw「スロゥ」(英『投げる』) /θs/ 「θ」の音を出し、息を吐きつつ、舌をちょっとだけ引っ込めて「s」の発音に移行します。 myths「ミスス」(英『神話〔複数〕』) |
S-4 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ヅァ」「ヅィ」「ヅ」「ヅェ」「ヅォ」 またもや来ました。日本人にとって難しい発音ということになっている音です。 上のS-3と同様、歯と歯の間に舌先を挟んで息を噴き出す、という基礎知識は皆さん持ってらっしゃいますよね。 ならば、あとは、舌先を上の門歯と下の門歯との両方にいっぺんにあてがってやって(当然ながら上下の門歯の間の隙間は細くなります)、声と息を同時に出してやればよい。 まあ、言うは易く、おこなうは難しの典型のような代物ですがね。 多くの場合、直後に母音が続くので、上のように舌を構えたあと、声を出しながらすばやく舌を引いてやれば、そこそこまともな発音になります。 ○この発音のある言語:英語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /thz/「th(有声音のほう)」を出しながら、息を吐きつつ、舌をちょっとだけ引っ込めて「z」の発音に移行します。 bathes「ベィヅズ」 (英『水浴する〔三単現〕』) |
¶「シャ」「ジャ」「チャ」「ヂャ」に似た子音 (C-1, 2, 3, 4, 5, 6)
C-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「シャ」「シ」「シュ」「シェ」「ショ」 「なんだ、日本語にもあるから簡単じゃないか」と思わないでください。意外と曲者なんです。 唇をすぼめて、舌先を除いた舌の全体を上顎に近づけて息を噴き出す発音です。舌先はどこにあってもいいのですが、下の前歯の先にくっつくのが自然な成り行きとなるでしょう。 声は伴わせないようにして、呼気だけを「シュー」と吐き出すように、あるいは「シーシー」とささやくように発声すると、わりとうまくいきます。 まずはとりあえず書いてあるとおりに発音してみてください。どうでしょう。日本語にあると言えますか? 日本語の「シャ」行の音は、唇をすぼめませんよ。 なお、同じヨーロッパの言語といえども多少の差異があり、ドイツ語では、英語やフランス語よりもいくぶん唇のすぼめ具合が強くなります。 ○この発音のある言語:英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、イタリア語、ポルトガル語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
「∫」のあとに母音を挟むことのないようにして、「l」の発音に移行します。 Schlange「シュランゲ」(独『ヘビ』) schließen「シュリーセン」(独『閉める』) /∫p/ 「∫」のあとに母音を挟むことのないようにして、「p」の発音に移行します。唇が閉じることを考慮に入れて、「∫を発音している間に唇の準備をしておきましょう。 Spür「シュプーァ」(独『足跡』) gespannt「ゲシュパント」(独『わくわくしている』) /∫pr/ 「∫」のあとに母音を挟むことのないようにして、「p」の発音に移行します。さらに、舌の奥でのどを半分塞ぐようにして、「r」を発音します。 springen「シュプリンゲン」(独『跳ぶ』) Spruch「シュプルゥフ」(独『格言』) /∫r/ 「∫」のあとに母音を挟むことのないようにして、「r」の発音に移行します。「∫」を発音しているあいだに「r」の舌を用意しておくようにしましょう。 schreiben「シュライベン」(独『書く』) shriek「シュリーク」(英『悲鳴』) /∫t/ 「∫」のあとに母音を挟むことのないようにして、「t」の発音に移行します。 Stadt「シュタッ」(独『都市、町』) stehen「シュテーエン」(独『立っている』) /∫tr/ 「∫」と「tr」に分けて考えると良いでしょう。「t」が後に続くことを考えながら「∫」を発音します。そのあと一気に「tr」を発音します。 Strom「シュトローム」(独『流れ』) Strich「シュトリヒ」(独『線』) /∫v/ 「∫」のあとに母音を挟むことのないようにして、「v」の発音に移行します。前もって前歯の位置を意識しておきましょう。 schwartz「シュヴァァツ」(独『黒い』) Schwindel「シュヴィンデル」(独『めまい』) |
C-2 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「シャ」「シ」「シュ」「シェ」「ショ」 易しいんだか難しいんだか分からない発音です。日本語の「シャ」行子音でもありませんし、上のC-1とも違います。日本語にない音ですから、日本人にとっては難しいといえるかもしれません。 この発音は、よく、「反り舌音」と言われますが、その呼び名のとおり舌を反らして発音します。つまり、舌の真ん中あたりはいくぶん窪ませ、舌の先は、上の歯茎の後ろの、段になったところあたり(またはそれより後ろ)で、上顎につけないようにして、舌先と上顎の間にできた隙間から息を噴きだしてやります。C-1と違い、唇はほとんどすぼめません。 上で述べたのは中国語の発音です。厳密には、ロシア語では、舌全体をスプーンのように窪ませるということですが、舌の両側を持ち上げて巻ける「巻き舌」ができないと、実質上無理でしょう(日本人の25%ほどは、この「巻き舌」ができないそうです)。 ややくぐもった音になれば成功です。 ○この発音のある言語:ロシア語、中国語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /шk/「ш」の発音のあと、母音を挟まないように気をつけながら、スムーズに「k」に移行します。 школа「シコーラ」(露『学校』) /шt/ 「ш」の発音のあと、母音を挟まないように気をつけながら、スムーズに「t」に移行します。 что「シトォー」(露『何が』) |
C-3 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ジャ」「ジ」「ジュ」「ジェ」「ジョ」 舌先を上顎に一瞬たりともくっつけないように気を配りながら、柔らかく「ジ」と発音します。唇は、C-1と同様に、すぼめ気味にします。 …と、文章で書けば簡単なんですけれどね。現代の日本語では、多くの地域で、「ジ」と「ヂ」の発音を区別せず、いずれも「ヂ」の音になっています。 そういう意味で言えば、この発音は、日本人にとって意外と難関といえるかもしれません。 ○この発音のある言語:英語、フランス語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /3w/連子音というより、「ジ」+「w」なんですけれどね。 C-3の発音をしているとき、唇がすぼまっていますが、それを更にきつくすぼめてやればよいのです。 jouer「ジュェ」(仏『遊ぶ』) |
C-4 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「チャ」「チ」「チュ」「チェ」「チョ」 この発音は、日本語の「チャ」行に近いので、かなり楽です。(説明の文章を書くこちらも楽で済みます。)ただ、C-1やC-3と同様に、唇をすぼめ気味にして発音します。 ○この発音のある言語:英語、イタリア語、スペイン語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ 連子音は例が思いつきません。 |
C-5 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「チャ」「チ」「チュ」「チェ」「チョ」 この発音は、C-2と同様に、反り舌音です。すなわち、舌全体を窪ませるようにしたあと、舌先を上顎の歯茎の後ろの段になったところに一瞬だけ当てて、「チ」の音を発音します。唇はすぼめません。 あるいは、単に舌を反らせて、先を上顎(歯茎ではありません)に一瞬だけ叩きつけるかたちでもOKです。 ○この発音のある言語:ロシア語、中国語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /чl/左で述べた「チ」の発音のあと、速やかに「l」を発音します。 член「チリェーン」(露『項目、メンバー』) |
C-6 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ヂャ」「ヂ」「ヂュ」「ヂェ」「ヂョ」 C-4の有声子音なので、要領は同じです。唇をすぼめ気味にして、舌を上の歯茎の根元に叩きつけるようにしながら「ヂ」と言いましょう。 C-3との発音とは弁別してください。 ○この発音のある言語:英語、イタリア語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ 連子音は例が思いつきません。 |
¶「タ」「ダ」「ツ」に似た子音 (T-1, 2, 3, 4)
T-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「タ」「チ」「ツ」「テ」「ト」「ッ」 舌先を上の前歯ないし歯茎の裏に一瞬だけ接させて、即座に離してつくる子音です。つまり、日本語の「タ」「テ」「ト」の子音で何ら問題ありません。楽ですね。 但し問題がふたつあります。ひとつは、英語の/t/の発音は、日本語のものと異なっていることです。 英語では、/t/と/d/が他の子音の影響を受けずに発音されるときは、舌の先を上の歯茎よりもやや後ろ側に一瞬だけ接させて調音します。位置のずれは少しのように思えますが、この少しがかなりの差を生みます。なお、ほかの子音と続けて発音されるときは、必ずしもこの限りではありません。 もうひとつの問題は、この音が語尾に来たときの発音です。日本人は、どうしても母音を伴わせてしまいますよね。 そこで、「t」の音が語尾に現れたときの発音のコツの伝授です。舌を歯茎の裏につけたあと、勢いをつけて離します。同時に、ため息のような息を、強く吐き出してやります。 これで、語尾に「t」が現れたときでも、「t」の音をはっきり発音することができます。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /tl/あとから「l」が来ることを意識して、舌先を上の前歯の裏につけて「t」を発音します。そのまま舌を離さずに、舌の両脇を、左右の臼歯から離してやれば、自然と「l」の発音になります。 settle「セツォ」(英『据える』) тлеть「トリェーチ」(露『腐る、いぶる』) /tn/ 左の要領で「t」を発音します。一瞬舌が離れますが、すぐに戻して、「n」の発音をします。このとき、間に母音が入ることがありますが、気にしなくても大丈夫です。 アメリカ英語では、「t」と「n」が一体化して、ほとんど「n」になっている現象もよく見られます。 often「オーフトゥン/オーフン」(英『しばしば』) written「リトゥン」(英『書かれた』) /tr/ あらかじめ「r」の発音を意識して舌先を準備しておき、舌先を上の前歯の裏につけて「t」を発音したらそのまま「r」につなげます。 trouble「トラブォ」(英『問題、厄介事』) centre「ソントル」(仏『中心』) /tw/ 唇を「w」の形にすぼめて「t」を発音し、そのまま「w」につなげます。 twist「トゥィスト」(英『ねじる、よる』) twelve「トゥェォヴ」(英『十二』) |
T-2 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ダ」「ヂ」「ヅ」「デ」「ド」「ッ」 日本語の「ダ」「デ」「ド」の子音で何ら問題ありません。簡単ですね。 しかし、英語では、/t/と同様、/d/が他の子音の影響を受けずに発音されるときは、舌の先を上の歯茎よりもやや後ろ側に一瞬だけ接させて調音するので、ほかの言語の/d/とは異なる響きになって聞こえます。なお、ほかの子音と続けて発音されるときは、必ずしもこの限りではありません。 また、この音が語尾に来たときの発音ですが、日本人は、どうしても母音を伴わせてしまいますよね。 そこで、/d/の音が語尾に現れたときの発音のコツの伝授です。舌を歯茎の裏などの調音部位につけたあと、勢いをつけて離します。同時に、息を強く吐き出しながら、のどの奥から「ドゥ」という声を出してやります。 これで、語尾に/d/が現れたときでも、/d/の音をはっきり発音することができます。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /dl/あとから「l」が来ることを意識して、舌先を上の前歯の裏につけて「d」を発音します。そのまま舌を離さずに、舌の両脇を、左右の臼歯から離してやれば、自然と「l」の発音になります。 あるいは、歯茎の裏で舌が跳ねるように一瞬だけ離してから元に戻しても構いません。 middle「ミドォ」(英『中間』) adlescent「アドレッスント」(英『思春期の』) /dn/ 左の要領で「d」を発音したあと、一瞬だけ弾むように舌先を離し、すぐに戻して「n」を発音します。人によっては、ほとんど離さずに発音することもあります。 sudden「サドン」(英『突然の』) днём「ドニョーム」(露『昼間に』) /dr/ 「d」の発音に続けて、舌をすばやくやや後ろに引き、「r」の発音に持っていきます。「tr」の有声音です。 Dreiecke「ドラィエッケ」(独『三角形』) syndrome「スィンドロゥム」(英『症候群』) /dw/ 先に口をすぼめ気味にして「d」を発音しましょう。そのまま舌を離し、唇をすぼめて「w」を発音します。 dwarf「ドウォーフ」(英『小人』) dwindle「ドウィンドォ」(英『小さくなる』) |
T-3 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ツァ」「ツィ」「ツ」「ツェ」「ツォ」 日本語の「ツ」の子音と同じと見做してかまいません。 問題は、日本人は「ツ」は発音できても、「ツァ」「ツィ」「ツェ」「ツォ」が意外と発音できない、と言うことです。「チャ」行になってしまうのですね。 「ツァ」行は、舌先が上の前歯に付きますが、「チャ」行では、舌先よりいくぶん後ろの方が、上顎に付きます。ここに気をつけると良いでしょう。 ○この発音のある言語:ドイツ語、ロシア語、英語、イタリア語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /tsv/「ts」の音の直後に「v」をつなげます。発音する前に、「v」のために下唇を動かすことを意識しておきましょう。 цвет「ツヴェーッ」(露『花』) Zweig「ツヴァィク」(独『小枝』) |
T-4 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ヅ」 T-3と要領は同じで、舌の先を上の前歯につけて、離しながら「ヅ」と発音します。 ただし、くれぐれも「ズ」にはならないように。舌先が歯の裏に接しないと、柔らかな発音の「ズ」になってしまいます。 日本語話者はほとんど意識していませんが、日本語では多くの場合「ザジズゼゾ」と「ヅァヅィヅヅェヅォ」とが自在に入れ替わります。会話や長文内では前者ですが、丁寧に発音するときは後者の方式で発音されやすくなります。なお、方言によっては、単語によってこの二つの形式をはっきり区別しているものもあります。 ○この発音のある言語:英語、イタリア語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ この発音が頭に来る連子音は見たことがありません。 |
¶「ナ」に似た子音 (N-1, 2, 3)
N-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ナ」「ニ」「ヌ」「ネ」「ノ」 日本語の「ナ」行の子音とほぼ同じです。ただし、気をつけるところが二つあります。 〔1〕単独では音節を形成しません。つまり、日本語では「か・ん・て・ん(寒天)」や「は・る・ら・ん・ま・ん(春爛漫)」のように、「ン」を1拍として発音しますが、大部分の言語では「かん・てん」「は・る・らん・まん」のように、「ン」は直前の音と一体化して一音節を形成します。 他の例では、「♪ア・ル・プ・ス、いちまんじゃーくー」と日本語で歌う歌詞を、他の外国語では 「♪イチマー・ジャークゥー」 と歌ってしまうということです。音節のおしまいで、一瞬だけ舌を上顎につける要領です。日本語の感覚からすれば、ほとんど「ン」が消滅してしまっているのです! これは、N-1だけの問題ではなく、カナで「ン」と書き表されうるいずれの発音(N-2、M-1など)にも共通して言えることです。 もっとも、日本語でも「ン」が常に保存されているというわけではなく、方言によっては、元の語から「ン」が落ちて派生したとみられる語彙(津軽弁の『わがね』など)の例もあります。 〔2〕「ン」ではないことに、重々気を配ってください。日本語の「ン」は、前後に続く音によって、ぱたぱた発音が変化します。また、日本語の「ン」を単独で発音すると、舌の先から中ほどまでが上顎にくっつきますが、「n」はこのような発音をしません。 「n」をきちんと発音するには、舌の先近くだけを上顎に付けることです。市販の文法書などには「『ンヌ』『ヌ』と発音する要領で」などと書かれていることがありますが、なかなか的を射ている方法です。 また、中国語を学ぶと、「アンナイ(案内)」の「ン」として覚えます。この「ン」を発音するときの舌の位置に、よく気を配ってください。舌の前の部分が、歯茎の後ろあたりにべったりくっついていることがお分かりかと思います。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /nl/舌先を歯茎の裏につけて「n」。続けて舌を付けたまま、舌の角度と、舌先の幅を変えて、「l」を発音します。 tunnel「タヌォ」(英『トンネル』) /nt/ 舌先を歯茎の裏につけて「n」。この状態で、息を吐きながら舌を勢いよく離し「t」の発音とします。 aunt「アーント」(英『伯母・叔母』) Rind「リント」(独『樹皮』) /nr/ 「n」を発音したあと、舌先を上顎につけて滑らせて、「r」の位置へずらします。そこで巻き舌。 нравиться「ヌラーヴィツシャ」(露『〜が気に入る』) anrufen「アンルーフェン」(独『電話をかける』) |
N-2 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ン」「ン゜」 中国語を学んだことのある方なら、必ず聞くのが「n」と「ng」の発音の仕分けかたです。「n」は「アンナイ(案内)」の「ン」、「ng」は「アンガイ(案外)」の「ン」、というやつです。 別に間違っちゃいないわけですし、むしろ正しくてしょうがないのですが、なんかいまいち納得できないと思いませんか? それはおそらく、日本人が「ン」の発音をするときに、明確な発音の仕分けを意識していないからだと思います。なので、ここでなるべく分かりやすく書いてみることにしました。 舌の先のほうは下げたまま、奥のほうを上げ、上顎の奥の柔らかい部分(軟口蓋)にくっつけます。この状態を保ったまま、舌を動かさずに「ン〜」と言ってみましょう。鼻から息が抜けます。たぶん、簡単にできるはずです。 「え、これが難しい発音なのか!?」と思った方はいらっしゃいませんか?私はべつに「難しい」と言った覚えはありません。ただ、「仕分けを意識すべきだ」とほのめかしたまでです。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /ng/左の要領で発音したあと、息を鼻から抜き続けながら「g」を続ければOKです。日本語の「グ」あるいは鼻濁音の「ク゜」の直前に、弱く「ン」をつけたような感じです。 single「スィングォ」(英『独身の、唯一の』) angeln「アンゲルン」(独『釣りをする』) /nk/ 左の要領で発音し、「k」を続けます。日本語の「ク」の直前に、軽く「ン」を添える形です。 tinker「ティンカ」(英『鋳掛け屋』) bank「ベァンク」(英『岸、銀行』) |
N-3 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ニャ」「ニィ」「ニェ」「ニョ」 舌の前半分全体を上顎につけ、粘っこく「ニャ」行を発音します。 カタカナでやや大袈裟に書けば、「ニィァ」「ニィィ」「ニィェ」「ニィォ」といった感覚でしょう。 スペイン語にはこの発音の専用文字(エニェ、Ñ)があるので分かりやすいのですが、ロシア語のエヌ(Н)も、後ろに軟母音(Я、И、Ю、Е、Ё)や軟音記号(Ь)を伴ったときは、この発音になります。 ○この発音のある言語:スペイン語、ロシア語、イタリア語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ 連子音といえるものはたぶん無いでしょう…。 |
¶「ハ」「ヒ」に似た子音 (H-1, 2, 3, 4, 5)
H-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ハ」「ヒ」「フ」「ヘ」「ホ」 日本語の「ハ」「ホ」の子音とほぼ一致します。舌は口腔の最下部にまで下ろし、のどはやや開いた感じにしましょう。 この発音は、後ろに「a」「e」「o」を伴っているぶんにはまだ良いのですが、「i」や「u」を伴うと、日本人には発音できない音の代表格に変貌します。というのは、日本語の「ヒ」の子音は下のH-3、「フ」の子音はH-4の発音であるからです。 /hi/や/hu/の発音をするときでも、舌を口腔のいちばん下に下げておくことを意識してください。 ○この発音のある言語:英語、ドイツ語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /hw/唇をすぼめて/w/の形にしてから「h」を発音し、おもむろに「w」へ持っていきます。英語に見られますが、「h」は発音しないこともあります。 whistle「ホイッスォ」(英『口笛を吹く』) anywhere「エニホェァ」(英『どこかに、どこでも』) |
H-2 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ファ」「フィ」「フ」「フェ」「フォ」 いわゆる「f」の発音としておなじみです。上の前歯と、下の唇とを合わせ、息を噴き出します。P-4の「v」の無声子音です。 日本人は、やたらと強く唇をかみ締める傾向があるようですが、そこまでする必要は無く、ただ前歯と唇とがきちんと接し合っていることが大事だということです。 なお、英語の「f」は、ロシア語やフランス語などと比べて、前歯がやや前寄りになっていることが多いようですが、とりたててこだわる必要はありません。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /fk/息だけの「f」を発音してから「k」を続けます。 вкус「フクース」(露『味』) /fl/ 息だけの「f」を発音し、唇を引き下げると同時に、舌を上げて前歯の裏に付けて「l」を発音します。唇と舌とが同期していることに留意しましょう。 flore「フロル」(仏『植物誌』) affluent「アフルゥーエンッ」(英『潤沢な』) /fn/ 息だけの「f」を発音し、唇を引き下げると同時に、舌を上げ、歯茎の裏に付けて「n」を発音します。間に弱い母音が入ることもありますが、基本的には唇と舌とが同期していることに留意しましょう。 often「オーフン」(英『しばしば』) внести「フニィスチィー」(露『持ち込む』) /fr/ まず「r」の発音が続くことを意識して、舌を用意しておきましょう。そして、「f」を発音したら、速やかに舌を反らすなり巻くなりして「r」に移行します。 offrir「オフリル」(仏『贈る、呈する』) Frosch「フロシュ」(独『カエル』) /fs/ 息だけの「f」を発音し、「s」につなげます。 всё「フショー」(露『すべての』) laughs 「ラーフス」(英『笑い』〔複数〕) /ft/ 息だけの「f」を発音して、そのまま「t」に続けます。あらかじめ「t」の発音をするための舌の準備をしておくとよいでしょう。 Duft「ドゥフト」(独『香り』) soft「ソフト」(英『柔らかい』) |
H-3 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ヒ」「ヒェ」「ヘ」 舌の先以外の場所を、上顎に寄せ、わずかな隙間だけを開けて、息をその隙間から噴きだします。口は開いたままになっています。 こすれたような、鋭い「ヒ」の音になります。日本語の「ヒ」は、この音にごく近い発音です(強いて言えば、舌の上げ具合がやや弱いかも)。 あるいは、悲鳴を上げるときの「ヒイィィーーーッ!」という音を目安に発音してもよいかもしれません。なお、Y-1の無声音でもあるので、舌の形はH-3とY-1でほぼ同じです。 H-5の発音とは、いわばペアになっていて、直前の発音(ほぼ必ず母音です)によって、どちらを発音するかが決まります。 なお、日本語の「ヒ」の子音は、ヨーロッパ言語の/h/(つまりH-1の発音)とは本質的に異なります。H-1の発音では、舌は口腔の最下部に下がっていますが、このH-3の発音では、舌が口腔の天井すれすれにまで上がっているからです。そこんところ、きちんと注意してくださいませ。 ○この発音のある言語:ドイツ語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /cht/左の要領で、呼気だけの「ch」を発音したあと、速やかに「t」につなげます。 Gesicht「ゲズィヒト」(独『顔』) Recht「レヒト」(独『権利』) |
H-4 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ファ」「フィ」「フ」「フェ」「フォ」 何でこの発音がここにあがっているのか謎です…。 日本語の「フ」の子音の発音です。唇同士をごく近づけて、わずかな隙間を残し、そこから息を噴きだします。 同じ東アジアでも、韓国語にはあるようですが、中国語にはありません。アイヌ語にも無いようです。ヨーロッパ系言語でこの発音があるか否かは、筆者は存じません(←無責任…)。 ○この発音のある言語:日本語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ 日本語なら連子音は無いでしょう…。 |
H-5 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ハ」「フ」「ヘ」「ホ」 「英語に無いから」という訳の分からん理由で存在が見過ごされがちな発音ですが、じつは英語にもちゃーんとこの発音があるんです。 それはスコットランド方言。「ロッホ・ローモンド」という有名な歌(もちろんこのサイトにも収録しています)がありますが、この「ホ」の発音が、まさにここで取り上げている発音なのです。 舌の奥のほうで、のどを塞ぎ、少しだけ隙間が残るようにします。そして、その隙間から、息を強く噴き出しましょう。口は開いたままです。 H-3の発音とは、いわば兄弟のような関係になっていて、同一の綴りでも、直前の母音が/a/、/u/、/o/だとH-5の発音、/i/、/e/、/ε/、/y/、/φ/だとH-3の発音になるという仕組みがあります。ドイツ語では、単語が複数になったり、形容詞になったりすると、元の単語の母音が変化するという仕組みを持っているので、母音のあとにH-3やH-5の発音が続く単語だと、母音の変化につられて発音が変わります。 音節末に来たときや、直後に子音を伴うときのカタカナ表記は、ドイツ語では「ハ」または「フ」と書き表しますが、ロシア語では「フ」と書くのが一般的です。 ○この発音のある言語:ドイツ語、スペイン語、ロシア語、英語(スコットランド方言) ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /xt/左の要領で、呼気だけの/x/を発音したあと、速やかに「t」に続けます。 Nacht「ナハト」(独『夜』) Tochter「トホテァ」(独『娘』) |
¶「バ」「パ」に似た子音 (P-1, 2, 3, 4, 5)
P-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「バ」「ビ」「ブ」「ベ」「ボ」 日本語にもあるから簡単だろう…と思いきや、意外とそうでもないんですよね。 ここで挙げる「b」の発音は、唇を強く合わせ、勢いよく開いて発音するのです。 日本語の「バ」行の子音は、唇の合わせ方が弱く、とくに「ブ」の発音は、唇の間に隙間ができていることすらあります。 まあ、この点に留意すれば、全然難しい発音ではありますまい。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /bl/左の要領で「b」を発音したあと、速やかに「l」につなげます。あらかじめ、前歯の裏に付かない程度の位置に、舌先を用意しておきましょう。 bleu「ブレゥ」(仏『青い』) double「ダブォ」(英『二重の』) /br/ あらかじめ「r」の発音の準備をしておきましょう。「b」の音で唇が開くと同時に、「r」の舌の形をつくり、「r」を発音します。 abrir「アブリール」(西『開く』) broad「ブローッ」(英『幅広い』) /bw/ 唇をすぼめ気味にして「b」を発音します。唇をしっかり合わせるという要領は同じですよ。開くと同時に、唇をすぼめて「w」に持っていきます。 boire「ブワル」(仏『飲む』) |
P-2 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「パ」「ピ」「プ」「ペ」「ポ」 唇をしっかり合わせ、息をためて、その息で唇の塞ぎ目を破るようにして、強めの「パピプペポ」の子音を発音します。 これだけです。はい。易しいでしょう? あと気をつけるべきことは、「要りもしないところに母音をくっつけるな!」ということです。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /pl/あらかじめ舌を上の前歯の裏すれすれに持ってきて(場合によっては付けてもOK)、「p」を発音したあと、速やかに「l」に持っていきます。 plötzlich「プレツリヒ」(独『突然』) apple「アプォ」(英『リンゴ』) /pn/ 「p」のあとに、速やかに舌を上の歯茎にくっつけて、「n」を発音します。綴りによっては、間に弱い母音が入ることもあります。 pneu「プネュ」(仏『タイヤ』) open「オゥプン」(英『開く』) /pr/ あらかじめ「r」が続くことを意識して「p」を発音します。唇が開くのと同時に、舌を巻くなり震わすなりして、「r」を発音します。 primavera「プリマベーラ/プリマヴェーラ」(西/伊『春』) capricious「カプリシァス」(英『気まぐれな』) /ps/ 息だけの「p」のあと、息だけの「s」を続けます。息だけで発音する子音がふたつ続くことに留意しましょう。 psychisch「プスューヒシュ」(独『精神的な』) pops「ポプス」(英『ポップスの』) /pw/ あらかじめ唇をすぼめ気味にしてから「p」を発音し、唇が開くと同時にさらにすぼめて「w」を発音します。 poil「プワル」(仏『体毛』) |
P-3 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「プァ」「プィ」「プ」「プェ」「プォ」 あまり見かけない発音です。ドイツ語以外にあるのでしょうか? H-2の要領で「f」を発音する構えを取りましょう。ただし、唇のなるべく後ろにに前歯を載せます。そしてそのまま上下の唇を合わせます。 息を強く噴き出しながら、唇と歯を一気に開きましょう。「プフ」とならずに、こすれたような「プ」の音になれば、ばっち・ぐー(←死語だなあ…)です。 語中にある場合(下のempfehlenなど)は、「p」と「f」とが分離されぎみで発音されることもあるようです。 カタカナ表記は、一般に「プフ」とされますが、この記号はあくまでこれでひとつの子音を表しているので、このカナ表記は不適切です。C-4(「チ」の子音)を「トシュ」、T-4(「ヅ」の子音)を「ドズ」と表記するくらいちゃらんぽらんな表記であると思ってください。 ゆめゆめ勘違いして「pとfを大急ぎで続けて発音するんだな」などと思わぬように! ○この発音のある言語:ドイツ語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /pfl/あらかじめ「l」の発音をするための準備をしておきましょう。舌先を上の前歯近くに寄せます。「pf」を発音したら、速やかに「l」に移行します。 pflücken「プルュッケン」(独『摘む』) pflegen「プレーゲン」(独『世話をする』) /pfr/ あらかじめ「r」が続くことを意識して、舌先を上の歯茎近くに持って行きます。「pf」を発音したら、速やかに「r」に移行します。 Pfropf「プロプ」(独『血栓』) |
P-4 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ヴァ」「ヴィ」「ヴ」「ヴェ」「ヴォ」 いわゆる「ヴイ」の発音。なぜか日本人には難しいものと思い込まれていますが、そんな事はありません。日本語に無い発音だから不慣れなだけです。 下唇と上の門歯とを合わせましょう。合わさりさえすれば十分です。そのまま、息を吐きながら「ヴ〜」と言ってみましょう。はい、できましたね。簡単でしょう。 繰り返して申し上げますが、日本人がこの発音を増えてとする理由は、ただの「不慣れ」によるものです。発音のしかたが分かれば、全く難しいことはありません。 あと、この発音のときに「唇を噛む」とかいうのは、大袈裟すぎる表現です。お間違えの無いよう。 ○この発音のある言語:ロシア語、英語、ドイツ語、フランス語ほか ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /vn/単に「v」と「n」を続けただけです。間に弱い母音が入っても問題ありません。 oven「アヴン」(英『かまど、オーブン』) raven「レィヴン/レァヴン」(英『ワタリガラス/略奪』) /vr/ まえもって「r」を発音するための舌の形を作っておいてから「v」を発音します。唇を開くと同時に「r」の発音に移行できるようにしましょう。 lievre「リエヴル」(仏『野ウサギ』) время「ヴリェーミャ」(露『時間』) /vw/ まず唇をすぼめ気味にしてから「v」を発音します。それから「w」へとスムーズに動いてください。 savoir「サヴワル」(仏『知る』) voiture「ヴワチュル」(仏『自動車』) /vz/ まず「v」を発音してから「z」を続けましょう。母音は入らないように気をつけて。 leaves「リーヴズ」(英『木の葉』〔複数〕) |
¶「マ」に似た子音 (M-1)
M-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「マ」「ミ」「ム」「メ」「モ」「ン」 日本語の「マ」行の発音とほぼ同じです。唇を閉じて、口の中に息を溜めるようにし、いっぽうで鼻から息を吐いて発音します。 また、日本語で「パ」行、「バ」行、「マ」行の直前に「ン」の字が来ると、この発音になります。 外国語でも、「p」「b」「m」の発音の直前に「n」が来ることはまず無く(合成語などで例外はあります)、「ン」で表される音としては「m」を使います。 ただし、この発音、日本人にはどうしても難しいところがあります。この発音、単独で音節を形成することは、ふつうありません。例外的に、間投詞の「mm」などはありますが…。 これについて、細かいところはN-1を読んでください。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /mb/「m」のあとに、溜めていた息を口から吐き出して「b」を続けます。くれぐれも、「m」が一音節にならないように。 amber「ェアンバ」(英『琥珀』) tambor「タンボール」(西『太鼓』) /mp/ 「m」のあとに、溜めていた息を口から吐き出して「p」を続けます。「m」が一音節を形成しないように気をつけてください。 hump「ハンプ」(英『肉こぶ』) imply「インプラィ」(英『〜をほのめかす』) /ms/ 「m」のあとに「s」を発音します。間に母音が入らないようにすればOK。 hamster「ヘァムスタ」(英『ハムスター』) /mt/ 舌を上の歯茎の裏に付けておいてから、「m」を発音します。口を開いて「t」に移行します。 Hemd「ヘムト」(独『シャツ』) Fremd「フレムト」(独『見知らぬ人』) |
¶「ヤ」に似た子音 (Y-1, 2)
Y-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ヤ」「ィイ」「ユ」「ィエ」「イェ」「ヨ」 半母音のほうにも挙げてありますが、いちおうこちらでも取り扱います。 舌の先を除いた全体を上顎に寄せて、「ヒ」ではなく「イ」を発声します。H-3を有声にした音です。 日本語の「ヤ」行の子音と見ても差し支えないので、日本人にもわりと楽でしょう(発音そのものも、「発音できるかどうか?」というプレッシャーが無くて済むという点においても)。 ただ、フランス語では、しばしば語尾に来ることがあります。このとき「ユ」と明快に発音してしまっては駄目です。舌を上顎に寄せたまま動かさずに、子音だけを発音するようにしてください。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ とくにこれといった連子音はありません。 |
Y-2 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「リ゛ャ」「リ゛」「リ゛ュ」「リ゛ェ」「リ゛ョ」、 「ヤ」「ィイ」「ユ」「ィエ」「イェ」「ヨ」、 「リ゜ャ」「リ゜ィ」「リ゜ュ」「リ゜ェ」「リ゜ョ」 スペイン語やイタリア語に顕著に現れる子音です。「スペイン語は発音が易しい」と聞いてやってきた初学者が苦労する発音です。しかも、スペインと中南米で、発音が違っていたりします。 まず、中南米のほうを見てみましょう。中南米では、上のY-1と同じ「ヤ行の子音」で済みます。日本人にも楽です。 いっぽう、スペインでは、舌の先を下の前歯の裏に付けて、舌先以外の舌全体を上顎に寄せ、舌の両脇から息を噴きださせるという発音です。 なんだか書き方がややこしいので、別の見方をしてみましょう。Y-1の発音をしているとき、舌先は下の前歯の近くに来ていますが、これをちょっとずらして、下の前歯の裏にくっつけてしまうのです。 いずれにしても、日本人にはあまり聞き慣れないし、ましてや発音し慣れているはずのない音です。練習しましょう。あるいは、「中南米式で発音する!」と割り切ってしまうのも良いかもしれません。 ○この発音のある言語:スペイン語、イタリア語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ とくにこれといった連子音はありません。 |
¶「ラ」に似た子音 (R-1, 2, 3, 4)
R-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ラ」「リ」「ル」「レ」「ロ」「ォ」 舌をややとがらせ気味にして、上の前歯の裏側に舌先を当てます。そのまま、はじいたり弾ませたりせずに、止めておいたまま、舌の両脇から息とともに声を出しましょう。 「前歯の裏側」と書きましたが、厳密な位置は、前後の発音に関連し、前歯の先近くから歯茎のあたりまでの範囲で、微妙に変わります。もっとも、舌の厚みは、一般に前歯の長さと同じくらいありますから、ちょっと力加減さえ変えてやれば、簡単にどの位置へでもずらせますけれどね。 ここで舌をはじいたり弾ませたりすると、日本語の「ラ」行になってしまいます。ご注意あれ。 英語では、語尾や音節末、あるいは他の子音の直前に来た場合、ややこもった発音(左の発音記号のうち下側のもので表される音)になります。音の響きからのイメージか、「湿音(しつおん)」とも呼びます。舌をいくらか寝かせぎみにし、唇に少し丸みを帯びさせると、英語らしい発音になります。 ロシア語では、英語由来の外来語で、「l」の音を書き表すのに、лの後ろに軟音記号をくっつけて表します(фильм「フィルム」など)。英語の「l」とロシア語の「л」の発音が異なることをロシア語話者が意識していることが、はっきりと見て取れます。 なお、「l」と「r」では「l」の方が難しいような言い方がしばしばされがちですが、実質はその逆で、日本人にとっては「r」のほうが格段に難易度の高い発音となっています。 「l」の発音は舌先が歯茎の裏に付き、「r」はどこにも付かない。こんな天と地ほどの違いがあるのに、なぜか日本人には発音の仕分けができない人が大勢います。 「付く」と「付かない」じゃ大違い。こんな明らかな区別が分からない日本人って、すごくへんてこな民族だと思いませんか?いや、私も大和民族の一員ではありますが・・・「付く」と「付かない」の区別くらいきちんとできますとも。 ○この発音のある言語:諸言語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /lb/単に「l」のあとに「b」を続ければ済みます。このとき、「l」の舌先を離さずに「b」に移行するとうまくいきます。 elbow「エォボゥ」(英『ひじ』) albumin「アォビューミン」(英『アルブミン』) /lk/ 「l」を発音し、その舌先をくっつけたまま、舌の奥で「k」の発音準備をします。舌先を離すと同時に「k」を発音します。 balcony「ベァォコニ」(英『バルコニー』) silk「スィォク」(英『絹』) /ld/ 舌先を「d」を発音する位置(歯茎の裏)につけて「l」を発音し、そのまま舌をはじいて「d」の音を出します。 cold「コゥォッ」(英『冷たい、寒い』) bilden「ビルデン」(独『形作る』) /lf/ 「l」の発音のあと、舌を歯にくっつけたまま、下唇を動かして「f」の発音に持っていきます。 twelfth「トゥエォフス」(英『12番目の』) Hilfe「ヒルフェ」(独『助け』) /ld3/ 舌先を「ヂ」を発音する位置(歯茎の裏)から歯の裏にわたる位置に付けて「l」を発音し、そのまま舌をはじいて「ヂ」の音を出します。 bulge「バォヂ」(英『膨らみ』) indulge「インダォヂ」(英『甘やかす』) /lm/ 「l」のあとに「m」を続けます。このとき、「l」の舌先を離さずに「m」に移行するとうまくいきます。 realm「レォム」(英『領域』) calmer「カルメ」(仏『なだめる』) /ln/ 「l」を発音し、その舌先をわずかにずらして「n」の位置まで持って行きます。そのまま「n」を発音します。 полный「ポールニィ」(露『満ちた』) Kellner「ケルネァ」(独『ウェイター』) /lp/ 「l」のあとに「p」を続けます。このとき、「l」の舌先を離さずに「p」に移行するとうまくいきます。 yelp「イェォプ」(英『〔犬が〕きゃんきゃん鳴く』) sculpture「スカォプチャ」(英『彫刻』) /ls/ 「l」を発音し、舌をわずかに(それこそ紙1枚程度)歯から離して「s」に移行します。 else「エォス」(英『ほかの』) als「アルス」(独『〜するとき』) /lt/ 舌先を「t」を発音する位置(すなわち歯茎の裏)につけて「l」を発音し、そのまま舌をはじいて「t」の音を出します。 halten「ハルテン」(独『保つ、止まる』) Eltern「エルテァン」(独『親』) /lθ/ 前歯の先近くに舌先をつけて「l」、そのまま下の歯で舌を支えるようにして「θ」の発音へ移行します。 health「ヘォス」(英『健康』) filthy「フィォスィ」(英『不潔な』) /lts/ 「l」を発音したあとに、舌先をくっつけたまま「ts」の舌の角度に移行し、舌を離して「ts」を発音します。 waltz「ウォォツ」(英『ワルツ』) Pilz「ピルツ」(独『きのこ』) /lv/ 「l」のあとに、舌先を離さないまま下唇を動かして「v」を発音します。 salvage「サォヴェィヂ」(英『救助する、回収する』) bivalve「バィヴァォヴ」(英『二枚貝』) /lw/ 唇をややすぼめてから「l」を発音。続けて、舌を離すと同時に素早く唇をすぼめて「w」を発音します。 loi「ルヮ」(仏『法律、法則』) always「オーォウェィズ」(英『常に』) |
R-2 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ラ」「リ」「ル」「レ」「ロ」 英語に特有の「r」の音です。じつは、R-1(いわゆる「L」の音)よりも、こっちのほうがずっと難しかったりします。なんでかと申しますれば、 [1]前後に母音のみを伴って発音されるときは、舌先も舌の半ばも舌の奥も、つまり舌全体が、口の中のどこにも当たったりくっついたりしないで、宙ぶらりんになった状態で発音される子音だからです。 正直なところ、これでどうして「ラ」行の子音に聞こえるのか不思議なくらいです。日本語の「ラ」行の子音は、上顎の歯茎の裏近くを舌先で打って出す音ですから。 とにかく、舌の先を、口腔内で宙に浮かべたまんま発音してください。あえて言えば、舌先にわずかに力をこめてみましょう。 [2]この子音は、直前に別の子音を伴うことがよくあります。このときは、舌は上顎に付けてしまいます(とくに「k」「g」「d」「t」の直後だとそうならざるを得ません)が、そういうときでも、舌先は必ず上顎から離して発音します。舌の中ほどは上顎に付いていても問題ないのですが、舌先が付いていると、日本語の「ラ」行になってしまい、全く異なった発音をしていることになってしまいます。 ○この発音のある言語:英語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ この発音が頭に来る連子音は知りません。 |
R-3 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ラ」「リ」「ル」「レ」「ロ」 いわゆる「巻き舌のR」というやつです。舌の先を、上の歯茎かその後ろの段になっているあたりで、強く震わせるか、素早く何度も上顎に打ちつけるかして発音します。 と書いただけでは、まず無理ですね。筆者もこの発音にはわりと苦労しています。 それで筆者が編み出した方法は、「息を強く噴き出しながら発声する」「舌の先はやや立て気味にする(イメージとしては水平面より仰角30°くらい?)」の2点を意識してみることです。 これで、巻き舌発音は、かなり容易になりました。 ○この発音のある言語:ドイツ語、ロシア語、スペイン語、イタリア語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ この発音が頭に来る連子音は、たぶん無いでしょう。 |
R-4 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ァ」「ラ」「リ」「ル」「レ」「ロ」 R-3とは逆に、舌の先ではなく、「舌の奥のほうを立てて震わせる」という発音方式です。 舌の奥のほうを、K-2(「g」の発音)のように持ち上げますが、そこで軟口蓋に舌を付けてしまうのではなく、ごく狭い隙間を残しておき、そこから息を強く噴き出すのです。 なんだか「ラ」行なのか「ガ」行なのか「ハ」行なのか分からない音が出ると思います。そんな感じの発音です。場合によっては、H-5の発音に酷似することもあります。 また、このとき、軟口蓋垂(いわゆるのどちんこ)を震わせることもあります。「水無しでうがいをする」とも言われる発音の仕方です。 これはなかなか大変なので、あまり無理して練習する必要もありません。まあ、できたらできたでもちろん結構なことなのですが。 ○この発音のある言語:フランス語、ドイツ語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ /rw/唇を軽くすぼめて、左の要領で「r」を発音し、そのまま唇を突き出して「w」に移行します。 royaume「ルワィヨム」(仏『王国』) droit「ドロワ」(仏『まっすぐ/右に』) |
¶「ワ」に似た子音 (W-1)
W-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: 「ワ」「ウィ」「ゥウ」「ウェ」「ウォ」「ヮ」 半母音の項にもいれてある発音ですが、子音とも取れるのでここにも載せています。 唇をひたすらすぼめて突き出し、一気に開いて母音へと移行する発音です。舌は、口の奥のほうに引っ込んでいます。 日本語の「ワ」行の子音は、唇をほとんどすぼめずに発音するので、響きがだいぶ異なります。 直前にほかの子音がやってくることも多いのですが、そういうときは先に唇をやや突き出しておいてから、「w」の直前の子音を発音し、それからすみやかに「w」へ移ると発音しやすいでしょう。 ○この発音のある言語:英語、フランス語 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ この子音が頭にやってくる連子音はたぶん無いでしょう。 |
¶その他の子音 (X-1)
X-1 |
◎当サイトでのカタカナ表記法: とくに表記なし、あるいは「ッ」 日本語の文字で書き表すのはほとんど無理である発音です。あえて表記すれば「ッ」と書けないこともありません。 のどの途中に2枚ある声帯を合わせ、息の通り道(声門)をふさぐ発音です。したがって、この発音を言い表すのに「声門閉鎖音」という呼称が使われます。もちろん、塞ぐ時間はほんの一瞬で、即座に声門を開いて次の音(たいていは母音)へ移行します。 発音の仕方を説明するのに、しばしば「『アッ』と驚いて叫んだときの『ッ』の発音である」「咳払いをするときのように、のどを締める」とされています。ですが、これらの表記では「分かりにくい」とおっしゃる方もいるでしょう。 筆者の方式では、この発音は「ッ+母音」の発音を練習することで会得できるものと考えています。「ナッアム」「テッイ」「ミッウ」のようなデタラメ単語をこしらえて発音練習をおこない、要領が分かったら、「ッ」が1音節を占めないよう一瞬だけ声門を閉じてすぐに母音に移行する練習をします。あくまで、この発音は「子音のひとつであり、母音が伴ってはじめて発音として成り立つものである」ことに留意してください。 この発音は、アラビア語など一部の言語を除いて文字表記されることがありませんが、単語が母音で始まるとき、しばしば語の先頭にこの音をつけて発音する現象が見られます。この現象は、ドイツ語やロシア語で頻繁に聞かれますが、日本語でも、語調や個人によっては使用されることもあります。 アラビア語の発音をローマ字で代替表記するときは、しばしば、大文字の「A」や「?」マーク、また「'(アポストロフィ)」などが用いられるようです。 ○この発音のある言語:アラビア語。 ○この発音を含んだ代表的な単語 |
§主な連子音の発音のコツ この子音が頭にやってくる連子音は知りません。 |