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NE PLEURE PAS JEANNETTE
泣かないで、ジャネット

恋人が牢屋に入っているジャネットは、王子様との結婚すら拒みます。

作詞:不詳  / 作曲:不詳  / 17世紀頃成立?

邦題
『泣かないで、ジャネット』など

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)



◆原歌詞:1〜8番  バリアントその1その2その3
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
ヌ プレゥル パ ジャネテ
Ne pleure pas Jeannette,

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

ヌ プレゥル パ ジャネテ
Ne pleure pas Jeannette,

ヌゥ トゥ マリィェロ
Nous te marierons,

ヌゥ トゥ マリィェロ
Nous te marierons.

1. 
泣いてはならぬ、ジャネットよ
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
泣いてはならぬ、ジャネットよ
我々がそなたを嫁がせよう
我々がそなたを嫁がせよう

marierons【動詞・一人称複数未来形】
<marier 結婚させる。


2.
アヴェク ル フィス ダ プラ
Avec le fils d'un prince,

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

アヴェク ル フィス ダ プラ
Avec le fils d'un prince,

ウゥ スルュィ ダ バロ
Ou celui d'un baron,

ウゥ スルュィ ダ バロ
Ou celui d'un baron.

2.
王子様とでも
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
王子様とでも
あるいは領主の息子とでも
あるいは領主の息子とでも

fils d'un prince
間に入っている「d'」(=de)は、前後の語が同格であることを表します。したがって、このフレーズの意味は「王子の息子」ではなく「王子様」となります。
baron (中世の)領主、地域の権力者。


3.
ジュ ヌ ヴゥ パ ダ プラ
Je ne veux pas d'un prince,

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

ジュ ヌ ヴゥ パ ダ プラ
Je ne veux pas d'un prince,

コーァ ムヮ ダ バロ
Encore moins d'un baron,

コーァ ムヮ ダ バロ
Encore moins d'un baron !

3.
私は王子様のものになんてなりたくありません
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
私は王子様のものになんてなりたくありません
ましてや領主のものにだなんて
ましてや領主のものにだなんて!

encore moins【熟語】まして〜でない。


4.
ジュ ヴゥ モ・ナミ ピエェレ
Je veux mon ami Pierre,

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

ジュ ヴゥ モ・ナミ ピエェレ
Je veux mon ami Pierre,

スルュィ キ エ・ト プリゾ
Celui qui est en prison,

スルュィ キ エ・ト プリゾ
Celui qui est en prison.

4.
私が求めるのは恋人のピエールです
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
私が求めるのは恋人のピエールです
牢獄に入っている
牢獄に入っている

5.
トュ ノーラ パ ト ピエェレ
Tu n'auras pas ton Pierre,

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

トュ ノーラ パ ト ピエェレ
Tu n'auras pas ton Pierre,

ヌゥ ル ポドゥィエロ
Nous le pendouillerons,

ヌゥ ル ポドゥィエロ
Nous le pendouillerons.

5.
そなたのピエールは渡さぬぞ
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
そなたのピエールは渡さぬぞ
我々はあやつを縛り首に処そう
我々はあやつを縛り首に処そう

pendouillerons【動詞・一人称複数未来形】
<pendouiller 絞首刑にする。


6.
スィ ヴゥ ポドゥィエ ピエェレ
Si vous pendouillez Pierre,

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

スィ ヴゥ ポドゥィエ ピエェレ
Si vous pendouillez Pierre,

ドゥィエ ムヮ ザヴェク
Pendouillez moi z'avec,

ドゥィエ ムヮ ザヴェク
Pendouillez moi z'avec.

6.
もし貴方がたがピエールを縛り首にするのなら
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
もし貴方がたがピエールを縛り首にするのなら
私も一緒に縛り首にしてください
私も一緒に縛り首にしてください

z'avec
直前の「moi」との母音の連続を避けるために、「z」の音が介されています。


7.
エ ロ ポドゥィヤ ピエェレ
Et l'on pendouilla Pierre,

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

エ ロ ポドゥィヤ ピエェレ
Et l'on pendouilla Pierre,

エ サ ジャネ・タヴェク
Et sa Jeannette avec,

エ サ ジャネ・タヴェク
Et sa Jeannette avec.

7.
それでピエールは縛り首になった
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
それでピエールは縛り首になった
そして彼のジャネットも共に
そして彼のジャネットも共に

8.
ア セ・ティストヮ スィ トリステ
A cett' histoire si triste,

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

ア セ・ティストヮ スィ トリステ
A cett' histoire si triste,

トゥ レ ジョ プレゥルロ
Tous les gens pleureront,

トゥ レ ジョ プレゥルロ
Tous les gens pleureront.

8.
このまことに悲しい物語に
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
このまことに悲しい物語に
すべての人々が泣くことでしょう
すべての人々が泣くことでしょう

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 ガイド   『Ne Pleure Pas Jeannette』そのものは17世紀頃にできた歌であると想定されていますが、もともとこの歌は『La Pernette(若き娘)』という古いフランス民謡のバリアントとして発達したものです。『Ne Pleure Pas Jeannette』の歌詞は『La Pernette』の歌詞の中ほどより後の部分が独立した歌となったもので、そのため『Ne Pleure Pas Jeannette』の出だしがやや唐突な印象を与えるものになっています。
 この歌の終わりかたには、いくつかのバリアントがあります。現在最もよく歌われているものは、上に挙げたメイン歌詞の7番までを歌って終わらせてしまうものですが、このほかメイン歌詞として挙げたような8番まであるバージョンや、9番ないし10番までのバリアントもあります。
 この歌のパロディー版として、『Ne Pleure Pas Chaussette(泣かないで、靴下ちゃん)』という歌もあります。原曲のジャネットとピエールを、破れた靴下と縫い糸とに置き換えたもので、ラストでは靴下も糸もゴミ箱に捨てられてしまいます。

ひとりごと
 この歌を訳するとき、「権力者」と「若い娘ジャネット」とのやり取りという図式で訳しましたが、この「権力者」がどんな人物なんだか全く不明なんです。とりあえず男性であると設定して訳しましたが、男かも女かも定かではありません。ひとを処刑する権限があるから、権力のある人物というのはほぼ確実ではありますが。
 そこで、もしこの権力者が女性だったらどんな歌になっていたのでしょう。想像してみました。
      ・・・・・・
 女王様ないし公爵夫人(以下女王様にしておきます)が若い男をかこっている。ところがその男、つまりピエール青年は小間使いのジャネットと恋に落ちてしまった。腹の立った女王様はピエールを牢にぶち込んでしまう。そこでジャネットが嘆き悲しむところへ、女王様「泣くのではないぞ、ジャネットよ…」と声を掛けるところがこの歌の始まりである。
 女王「わらわが良き相手を紹介してやるというに、そなたはあの男が諦めきれぬと申すか!」
 ジャネット「申し訳ございませんが女王様、わたくしはあのかたに身も心も捧げております。」
 女王「ええい、そこまで言うか!ならばわらわはあのピエールを縛り首にしてくれようぞ。」
 ジャネット「あのかたが死ぬのなら、私もともにあの世に行きとうございます。」
 つまりこの歌は、女同士の嫉妬と恋の駆け引きを揶揄した昼メロばりのテーマの歌なのである。
      ・・・・・・
 なに書いてるんだろ…正直ごめんなさい。妄想もいいところです。人物設定だってもちろんいいかげんにしていますし。
 なお、『La Pernette』のほうでは、主人公の若い娘に「泣いてはならぬ」と声を掛けるのは彼女の母親になっています。こちらはこちらで「母親が娘の恋人に処刑宣言を下すのか?」と驚いてしまうのですが。


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バリアント その1

 歌詞のうちスキャット部分が異なっているバリアントがあります。異なっている部分に色をつけました。
 参照:http://fr.wikisource.org/wiki/Ne_pleure_pas_Jeannette

◆原歌詞:1番のみ挙げました。2番以降も同様に続きます。 ◆和訳と語句

1.
ヌ プレゥル パ ジャネテ
Ne pleure pas Jeannette,

アラザ、ブゥム ブゥム、アラザ、ブゥム ブゥム
Alazim, boum boum, alazim boum boum,

ヌ プレゥル パ ジャネテ
Ne pleure pas Jeannette,

ヌゥ トゥ マリィェロ
Nous te marierons,

ヌゥ トゥ マリィェロ
Nous te marierons.

1. 
泣いてはならぬ、ジャネットよ
アラザン、ブン、ブン、アラザン、ブン、ブン
泣いてはならぬ、ジャネットよ
我々がそなたを嫁がせよう
我々がそなたを嫁がせよう


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バリアント その2

8番の歌詞がメイン歌詞と異なっているバリアントがあります。ここでは8番の歌詞のみを取り上げました。
 参照:http://thierry-klein.nerim.net/lapernet.htm

◆原歌詞:8番のみ
 1〜7番はメイン歌詞と同じです。
◆和訳と語句

8.
 ルー・タミ、オ ルートゥ
En route, amis, en route,

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

 ルー・タミ、オ ルートゥ
En route, amis, en route,

ヌゥ レ デポドゥィヨ
Nous les dépendouill'rons,

ヌゥ レ デポドゥィヨ
Nous les dépendouill'rons.

通りすがりに、友達よ、通りすがりに
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
通りすがりに、友達よ、通りすがりに
ふたりを首吊り台から下ろしてやりましょう
ふたりを首吊り台から下ろしてやりましょう


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バリアント その3

 8番以降に異なる内容の歌詞が続いているバリアントがあります。ここでは8〜10番の歌詞のみを取り上げました。
 このバリアントでは、10番まで歌いとおす場合と、9番までで終わらせる場合の二通りの歌い方があります。
 参照:http://www.tetine-et-doudou.com/Comptines-pour-bebe/Ne-pleure-pas-Jeannette.html

◆原歌詞:8〜10番のみ
 1〜7番はメイン歌詞と同じです。
◆和訳と語句

8.
スュ ラ プルュ オテ ブロシェ
Sur la plus haute branche

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

スュ ラ プルュ オテ ブロシェ
Sur la plus haute branche

 ロスィニョル ショ
Un rossignol chantait

 ロスィニョル ショ
Un rossignol chantait.

8.
いちばん高い枝では
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
いちばん高い枝では
ナイチンゲールが歌っていました
ナイチンゲールが歌っていました

9.
イル ショテ レ ルヮジェ
Il chantait les louanges

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

イル ショテ レ ルヮジェ
Il chantait les louanges

ドゥ ピエェ・レ ドゥ ジャネッ
De Pierre et de Jeannette

ドゥ ピエェ・レ ドゥ ジャネッ
De Pierre et de Jeannette.

9.
それは褒め称えて歌っていました
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
それは褒め称えて歌っていました
ピエールとジャネットのことを
ピエールとジャネットのことを

louanges【複数形】賛辞、褒め言葉。


10.
メ トルヮ ルゥヴァトォ パセェル
Mais trois louveteaux passèrent

トラ、ラララララ ラ ラララ ラ ラ
Tra, lalalalala la lalala la la,

メ トルヮ ルゥヴァトォ パセェル
Mais trois louveteaux passèrent

エ レ デポドゥィエル
Et les dépendouillèrent

エ レ デポドゥィエル
Et les dépendouillèrent.

10.
でもオオカミの子が三頭通りかかって
トラ、ラララララ、ラ、ラララ、ラ、ラ
でもオオカミの子が三頭通りかかって
ふたりを首吊り台から下ろしましたとさ
ふたりを首吊り台から下ろしましたとさ

louveteaux【動物・複数形】オオカミの子。


◎各種参考URL
【歌詞・音源】
http://www.momes.net/comptines/personnages/ne-pleure-jeannette.html
http://dispourquoipapa.free.fr/comptine/ct0024.htm
http://thierry-klein.nerim.net/nepleure.htm
http://www.lirecreer.org/biblio/comptines/ne_pleure_pas_jeannette/index.html
http://www.geocities.com/Vienna/Choir/7173/enfants.htm#jeannette

【歌詞・楽譜】
http://pagesperso-orange.fr/olivier.druard/LaClefDesChants/Carnets/Chants/NePleurePasJeannette.htm (音源もあり)
http://bmarcore.club.fr/Tine/E269.html (音源もあり)

【歌詞・解説】
http://www.premiumorange.com/archives-autran/archives/chansons/chansons_enfantines.html#ANCRE50

【歌詞】
http://www.tetine-et-doudou.com/Comptines-pour-bebe/Ne-pleure-pas-Jeannette.html (10番まで)
http://www.teteamodeler.com/vip2/nouveaux/expression/fiche310.asp (10番まで)
http://honneur.be/chants/chants5.pdf (9番まで)
http://fr.wikisource.org/wiki/Ne_pleure_pas_Jeannette (7番まで)

【La Pernetteの歌詞・関連資料など】
http://bmarcore.club.fr/Tine/E301.html
http://thierry-klein.nerim.net/lapernet.htm
http://www.rassat.com/textes_19/La_Pernette.html
http://www.saint-jacques.info/pernette.htm

【Ne Pleure Pas Chaussetteの歌詞など】
http://www.planetanim.com/modules/mysongs/singlelink.php?lid=706
http://www.tabou.be/chant160.php
http://pagesperso-orange.fr/olivier.druard/LaClefDesChants/Carnets/Chants/NePleurePasChaussette.htm

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)
ページ最終更新:2008/09/30

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