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IL PLEUT, IL PLEUT, BERGÈRE (L'ORAGE)
雨だよ、雨だよ、羊飼いの娘さん(雨嵐)

嵐に見舞われた羊飼いの娘を自宅に泊めてやる話。

作詞:P.ファーブル・デグランティーヌ
作曲:V.シモン  / 1780年発表

邦題
この歌には、定まった邦題はまだ付いていないようです。

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)



◆原歌詞:1〜6番
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
イル プレゥ、イル プレゥ、ベァジェーレ
Il pleut, il pleut, bergère,

プレス テ ブロ ムゥト
Presse tes blancs moutons;

アロ スゥ マ ショミェーレ
Allons sous ma chaumière,

ベァジェレ、ヴィト アロ
Bergère, vite, allons :

ジョ スュ ル フュヤージ
J'entends sur le feuillage,

ロォ キ ト・ベ グロ ブルュィ
L'eau qui tombe è grand bruit :

ヴヮスィ ヴヮスィ ロラージェ
Voici, voici l'orage;

ヴヮラ レクレェル キ ルュィ
Voilà l'éclair qui luit.

1. 
雨降りだよ、雨降りだよ、羊飼いの娘さん
きみの白いヒツジたちをせかせなさい
私のわらぶき小屋に行きましょう
羊飼いの娘さん、早く行きましょう
私には聞こえます、木の葉の上に
水が落ちて大きな音を立てているのが
ほら、ほら、嵐が来たよ
稲妻が光っているよ

presse【動詞・二人称単数命令形】<presser
 急がせる、せきたてる。
chaumière わらぶき屋根の家。
feuillage (木に茂っているひとまとまりの)葉。
luit【動詞・三人称単数現在形】<luire
 光る、輝く。


2.
トュ ル トネェレ
Entends-tu le tonnerre ?

イル ルゥル オ・ナプロショ
Il roule en approchant;

プロ・ザ・ナブリ、ベァジェーレ
Prends un abri, bergère,

ア マ ドルヮッ、オ マーァショ
À ma droite, en marchant :

ジュ ヴヮ ノトル カバーヌ
Je vois notre cabane...

エ ティャ、ヴヮスィ ヴェニール
Et, tiens, voici venir

マ メェレ エ マ セゥ・ラヌ
Ma mère et ma sœur Anne,

キ ヴォ レタブル ウゥヴリール
Qui vont l'étable ouvrir.

2.
雷の鳴るのが聞こえるかい?
近づきながら轟いているよ
雨風をしのぎなさい、羊飼いの娘さん
私の右側に、歩きながら
私たちの小屋が見える
そして、ほら、こちらに来たよ
私の母と私の妹のアンヌが
家畜小屋を開けに行くところだよ

abri 避難場所、覆いのある場所。
cabane (粗末な)小屋。
étable 家畜小屋。


3.
スヮル、ボスヮル、マ メェレ
Bonsoir, bonsoir, ma mère;

マ セゥ・ラヌ ボスヮル
Ma sœur Anne, bonsoir;

ジャメヌ マ ベァジェーレ
J'amène ma bergère

プレ デ ヴゥ プゥァ ス スヮル
Près de vous pour ce soir.

ヴァ トゥ セシェ、マ ミ
Va te sécher, ma mie,

オプレ ドゥ ノ ティゾ
Auprès de nos tisons;

セゥル、 フェルュィ コパーニィ
Sœur, fais-lui compagnie.

トレ、プティ ムゥト
Entrez, petits moutons.

3.
ただいま、ただいま、母さん
妹のアンヌよ、ただいま
私の羊飼いを連れてきたよ
今夜のところはそばにいさせましょう
体を乾かしておいで、きみ
うちの燠火のそばで
妹よ、彼女についていてやっておくれ
お入り、子羊たちよ

bonsoir【間投詞】こんばんは、ただいま。
 この語は夕方以降に挨拶するとき使われる語です。一般に「こんばんは」と訳されますが、ここでは自宅に帰ってきた主人公が家族に向かって投げかける言葉なので「ただいま」と訳しました。
sécher【動詞・原形】乾かす。
tisons【複数形】(薪・焚き火などの)燃えさし、燠火(おきび)。
compagnie 一緒にいること。


4.
スヮニョ ビャ、オ マ メェレ
Soignons bien, ô ma mère,

 ト ジョリ トルゥポォ
Son tant joli troupeau;

ドネ ブルュ ドゥ リティエレ
Donnez plus de litière

ア ソ プティ アニョ
À son petit agneau.

セ フェ アロ プレ デレ
C'est fait : allons près d'elle.

エ ビャ!ドク トゥ ヴヮラ?
Eh bien ! Donc te voilà ?

 コーァセ ケ・レ ベル
En corset qu'elle est belle !

マ メェレ、ヴヮィエラ
Ma mère, voyez-la.

4.
よく世話をしてやりましょう、ああ、母さん
彼女のこんなにかわいいヒツジたちを
寝藁をもっと敷いてやりましょう
彼女の小さな子ヒツジに
支度ができた、彼女のところに行きましょう
いやあ!きみ、そこだったのかい?
コルセットを着けるとなんて美しい!
母さん、彼女をごらんなさい

troupeau 家畜の群れ。
 ここではもちろんヒツジの群れをさしています。訳出も「ヒツジたち」としました。
litière (家畜の)寝藁、敷き藁。


5.
スゥポ、プロ セテ シェゼ
Soupons, prends cette chaise

トュ スラ プレ ドゥ ムヮ
Tu seras près de moi;

ス フロボォ ドゥ メレェゼ
Ce flambeau de mélèze

ブルュルラ ドゥヴォ トヮ
Brûlera devant toi;

グゥッ ドゥ ス レェタージ
Goûte de ce laitage;

メ トュ ヌ モジェ パ?
Mais tu ne mange pas ?

トュ トゥ ソ ドゥ ロラージ
Tu te sens de l'orage.

イ・ラ ラセ テ パ
Il a lassé tes pas.

5.
夕食にしましょう、この椅子を使って
きみは私のそばにしよう
このカラマツの松明が
きみの前で燃えるから
このクリームの味をみてくれ
でもきみは食べてないね?
嵐が気になるのかい
足取りがそわそわしてしまってるよ

soupons【動詞・一人称複数現在形】
<souper 夜食をとる。
 方言によっては「夕食をとる」の意味にも使われます。ここでは後者の意味で翻訳しました。
flambeau 松明(たいまつ)。
mélèze【植物】カラマツ。
laitage 乳製品。
 この訳語では事務的過ぎるので、ここでは「クリーム」と意図的に変更してみました。
lassé【動詞・三人称単数現在形】<lasser
 退屈させる、(気持ちなどを)挫く。


6.
エ ビャ!ヴヮラ タ クゥシ
Eh bien ! Voilà ta couche,

ドーァスィ ジュスク・ソ ジューァ
Dors-y jusques au jour;

レセムヮ スュ タ ブゥシ
Laisse-moi sur ta bouche

プロ・ダ ベゼァ ダムゥァ
Prend un baiser d'amour.

ヌ ルゥジィ パ、ベァジェーレ
Ne rougis pas, bergère,

マ メェ・レ ムヮ、ドゥマ
Ma mère et moi, demain,

ヌゥ・ズィロ シェ ト ペェレ
Nous irons chez ton père

ルュィ ドゥモデ タ マ
Lui demander ta main.

6.
それじゃあ!ここがきみの寝床だ
日が昇るまでおやすみ
きみの口に
愛を込めた接吻をさせてくれ
赤くならないで、羊飼いの娘さん
母と私は明日になったら
きみの父さんの家に行って
きみの手が欲しいと彼に伝えよう

couche〔古語で〕寝床、しとね。
rougis【動詞・二人称単数命令形】<rougir
 赤面する、(顔などを)紅潮させる。

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 ガイド   この歌の歌詞は、18世紀の喜劇役者のフィリップ・ファーブル・デグランティーヌ(Philippe Fabre d'Églantine、1750〜1794)によって、1780年に書かれました。もともとはファーブルが彼のオペレッタ『Laure Et Pétrarque(ロールとペトラルク)』のために書き下ろしたもので、原題を『L'Hyménée(結婚)』といいます。今日知られているタイトルは、詩の一行目から取られたものです。
 曲は、バイオリニストのヴィクトール・シモン(Victor Simon、生没年未詳)によって書かれました。
 現在のフランス語圏では、子どもの歌として広く知られているようです。

 フィリップ・ファーブル・デグランティーヌは、本名をフィリップ・フランソワ・ナゼール・ファーブル(Philippe François Nazaire Fabre)といいます。この歌を書いたことで現在まで名を残しているほか、フランス革命暦の各月の名前を考案したことでも知られています。彼はフランス革命期の政治家でもあり、1794年にフランス東インド会社に関する汚職事件のかどで逮捕され(実際には彼がこの事件にかかわっていたという証拠はないのですが)、同じ年に処刑されています。

ひとりごと
 愛らしい中にもなんとなく艶めいた雰囲気をかもし出している歌です。原作の『Laure Et Pétrarque』のあらすじを知らないので、この登場人物たちの関係や今後について何も言うことができないのですが、たぶん主人公は羊飼いの娘に好意を持っているのでしょう。羊飼いの娘も、主人公のことを悪しからず思っているように見られます。歌の最後の場面から、この二人がやがて結婚しそうである様子が感じられます。なんとも牧歌的でいいじゃあないですか。



◎各種参考URL
【歌詞・音源】
http://www.lirecreer.org/biblio/comptines/bergere/index.html
http://thierry-klein.nerim.net/ilpleuti.htm

【歌詞・解説】
http://www.rassat.com/normale/page_30/princip.html
http://www.linternaute.com/musique/chanson/selection/chansons-populaires/4.shtml
http://bmarcore.club.fr/Tine/E129.htm
http://www.premiumorange.com/archives-autran/archives/chansons/chansons_enfantines.html#ANCRE29

【歌詞】
http://dispourquoipapa.free.fr/comptine/ct0009.htm
http://www.paroles.net/chanson/15962.1

【各種資料】
http://fr.wikipedia.org/wiki/Il_pleut,_il_pleut,_berg%C3%A8re
http://fr.wikipedia.org/wiki/Fabre_d%27%C3%89glantine

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)
ページ最終更新:2008/09/30

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