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GENTIL COQUELICOT
可愛いヒナゲシ

ナイチンゲールのメッセージが意味深長な歌。

作詞:不詳 / 作曲:不詳  / 18世紀頃成立

邦題
『ひなげし』など

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)



◆原歌詞:1〜8番
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
ジェ ドゥソデュ ド モ ジャルダ
J'ai descendu dans mon jardin

ジェ ドゥソデュ ド モ ジャルダ
J'ai descendu dans mon jardin

プゥ・リ ケュイル デュ ロマラ
Pour y cueillir du romarin.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

1.
私は自分の庭へと下りていった
私は自分の庭へと下りていった
ローズマリーを摘みに
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく

cueillir【動詞】〜を摘む、摘み取る。  
romarin
【植物】ローズマリー、マンネンロウ。
地中海地方に自生する、シソ科の潅木です。古来、おもに女性の疾患に対する薬用とされてきました。
葉は料理用のハーブとして日本でもお馴染みです。
Mesdames =madame
奥さま、ご夫人。


2.
プ・リ ケュイル デュ ロマラ
Pour y cueillir du romarin

プ・リ ケュイル デュ ロマラ
Pour y cueillir du romarin

ジョ・ナヴェ パ ケュイ トルヮ ブラ
J'en avais pas cueilli trois brins,

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

2.
ローズマリーを摘みに
ローズマリーを摘みに
三本も摘まないうちに
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく

brins
【複数形】(植物の)芽生え、柔らかな茎。


3.
ジョ・ナヴェ パ ケュイ トルヮ ブラ
J'en avais pas cueilli trois brins

ジョ・ナヴェ パ ケュイ トルヮ ブラ
J'en avais pas cueilli trois brins

 ロスィニョル ヴァ スュ マ マ
Qu'un rossignol vint sur ma main.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

3.
三本も摘まないうちに
三本も摘まないうちに
ナイチンゲールが私の手元へ飛んできて
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく

rossignol
【動物】ナイチンゲール、夜鳴きウグイス。



4.
 ロスィニョル ヴァ スュ マ マ
Qu'un rossignol vint sur ma main.

 ロスィニョル ヴァ スュ マ マ
Qu'un rossignol vint sur ma main.

イル ム ディ トルヮ モ・ゾ ラタ
Il me dit trois mots en latin.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

4.
ナイチンゲールが私の手元へ飛んできて
ナイチンゲールが私の手元へ飛んできて
ラテン語で三つの文句を言ってくれた
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく

mots 【複数形】(短い)言葉。「手紙」の意味もあります。


5.
イル ム ディ トルヮ モ・ゾ ラタ
Il me dit trois mots en latin.

イル ム ディ トルヮ モ・ゾ ラタ
Il me dit trois mots en latin.

ケ レ・ゾメ ヌ ヴァロ リャ
Que les hommes ne valent rien.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

5.
ラテン語で三つの文句を言ってくれた
ラテン語で三つの文句を言ってくれた
男なんてぜんぜん価値は無いと
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく

valent 【動詞・三人称複数現在形】
価値がある。



6.
ケ レ・ゾメ ヌ ヴァロ リャ
Que les hommes ne valent rien.

ケ レ・ゾメ ヌ ヴァロ リャ
Que les hommes ne valent rien.

エ レ ガルソ オコル ムヮ ビャ
Et les garçons encore moins bien.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

6.
男なんてぜんぜん価値は無いと
男なんてぜんぜん価値は無いと
そして若い男は輪をかけてろくでもないと
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく

moins 【形容詞・比較級】
より少ない、(他の形容詞に付いて)より〜ではない。


7.
エ レ ガルソ オコル ムヮ ビャ
Et les garçons encore moins bien.

エ レ ガルソ オコル ムヮ ビャ
Et les garçons encore moins bien.

デ ダメ イル ヌ ム ディ リャ
Des dames, il ne me dit rien.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

7.
そして若い男は輪をかけてろくでもないと
そして若い男は輪をかけてろくでもないと
女に関してはなんにも言ってくれなかった
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく


8.
デ ダメ イル ヌ ム ディ リャ
Des dames, il ne me dit rien.

デ ダメ イル ヌ ム ディ リャ
Des dames, il ne me dit rien.

メ デ ドムヮゼレ ボクゥ ドゥ ビャ
Mais des d'moiselles beaucoup de bien.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

ジョティ コクリコ、メダメ
Gentil coq'licot, Mesdames.

ジョティ コクリコ、ヌヴォ
Gentil coq'licot nouveau.

8.
女に関してはなんにも言ってくれなかった
女に関してはなんにも言ってくれなかった
けれど若い女性は素晴らしく良いと
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく
かわいいヒナゲシ、奥さま
かわいいヒナゲシ、新しく

d'moiselles= demoiselles
【複数形】若い女性、未婚の女性。

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 ガイド   18世紀中ごろの、フランス・トゥーレーヌ地方で生まれた民謡です。
 突然現れて主人公の手に載ってくるナイチンゲールといい、そのナイチンゲールが告げた、男女を論じる言葉(しかもラテン語)といい、どことなく奇妙な歌詞で、性的な内容を暗喩しているのだとも言われています。
 また、歌詞に出てくるローズマリーには、女性が植えるとよく育つという民間伝承があり、ここから察すると、ローズマリーが3本も摘めなかったこの歌の主人公(おそらく女性)の家では、女性があまり良い立場になかったのかもしれません。そこでナイチンゲールが、「男は当てにしちゃ駄目、独り身の女のほうがいいよ」とアドバイスしに来たという見方もできます。
 NHK『みんなのうた』で1967年に放送されたようです。

ひとりごと

 この歌は、キリスト教にこじつけてみることも可能です。 鮮紅色のヒナゲシは、磔刑に処されたイエスの流した血の中から咲いたという伝説があり、ローズマリーは、イエスの母親であるマリアが、まだ乳児のイエスを抱いてエジプトに逃れる途中で、服をローズマリーの茂みに掛けたところ、ローズマリーの花が青く変わったという伝説があります。ですから、歌の女性は、イエスと深いかかわりのある木の枝を摘みながら、イエスの血の象徴が咲いているのを近くに見ていた(おそらく)というわけです。
 そうすると、ナイチンゲールは、キリスト教とどういうつながりが出てくるのでしょうか。また、この女性の正体は、誰なんでしょうか…?
 すみません、ただやってみたかっただけです。むしろ、女性がヒナゲシになぞらえられていると見做すほうが抵抗ないかもしれませんね。

 筆者がこの歌を初体験したのは、小学校の時分にNHK教育テレビの学校音楽番組で視聴したときです。「♪ひなげし コクリコ かぶりを ふってた…」という日本語歌詞が妙に耳にこびりついたまま、20年近くたってしまいました。
 そして、たまたまネットで行き当たりばったりに歌を探していたとき、偶然再会したものです。懐かしさついでに、ここにピックアップして紹介することにしてしまいました。
 当時は海外の歌だなんてことは知らず、「『コクリコ』って、頭を振る擬態語のこと?」と思い込んでいたものです。勘違いだと気付いたのは、中学校で与謝野晶子の短歌を学んでからのことでした。
  〜ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟〜
 ちなみに、「ひなげし コクリコ」でネット検索すると、上記のNHKで放送された日本語歌詞がいくつか引っかかってきます。
 ≫どうでもいい話…「コクリコ(coquelicot)」の名称は、ニワトリの鳴き声の擬音(すなわち「コケコッコー」)に由来するそうです。花が真っ赤なのを、ニワトリのとさかに見立てたのかもしれません。

参考URL:
http://bmarcore.club.fr/Tine/E120.htm
http://www.teteamodeler.com/vip2/nouveaux/expression/fiche285.asp
http://www.jecris.com/g-h-i/gentil-coquelicot.html
http://ourworld.compuserve.com/homepages/Thierry_Klein/gentilco.htm
http://auxpetitesmains.free.fr/chansoncoqlicot.htm
http://home.scarlet.be/lmdp/118coquelicot.html
http://www.angelfire.com/journal2/flowers/r.html

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)

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