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LA BONNE AVENTURE
すてきな冒険

赤ちゃんにとっての素敵な冒険とは…。

作詞:不詳、但しオリジナル歌詞はP.ドゥ・ロンサールの説あり 
作曲:A.ドゥ・ブルボン(推定)  / 16世紀半ば成立

邦題
この歌には、定まった邦題はまだ付いていないようです。

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)



◆原歌詞:1〜3番  バリアント  オリジナル
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
ジュ スュィ ア プティ プゥポ
Je suis un petit poupon

ドゥ ボヌ フィグュレ
De bonne figure

キ エメ ビャ レ ボンボ
Qui aime bien les bonbons

エ レ コフィテュレ
Et les confitures.

スィ ヴゥ ヴゥレ モ ドネ
Si vous voulez m'en donner,

ジュ ソレ ビャ レ モジェ
Je saurai bien les manger

ラ ボ・ナヴォトュル オ ゲ
La bonne aventure ô gué,

ラ ボ・ナヴォトュレ
La bonne aventure.

1. 
ぼくは小さな赤ちゃん
いい顔してる
キャンディと
ジャムが大好きさ
もしみんながぼくにあげたいなら
きっと食べちゃえる
すてきな冒険だ、わあい
すてきな冒険だ

poupon 赤ちゃん。
 バリアントによっては、この語が「garçon(男の子)」となっているものもあります。
confitures【複数形】ジャム。日本で言うジャムやマーマレードなどを含みます。
saurai【動詞・一人称単数単純未来形】
 <savoir 〜することができる、すべを心得ている。
gué【間投詞】うわ、わあい。
 「gué」は本来「浅瀬」の意味ですが、ここでは間投詞として使用されているようなので、この訳語を選択しました。


2.
ローァスク レ プティ ガーァソ
Lorsque les petits garçons

 ジョティ エ サージェ
Sont gentils et sages,

 レゥァ ドネ デ ボ
On leur donne des bonbons,

ドゥ ベレズ・ィマージェ
De belles images,

メ コ イル ス フォ グロ
Mais quand il se font gronder

セ ル フゥエ キル フォ ドネ
C'est le fouet qu'il faut donner.

ラ トリス・タヴォトュル オ ゲ
La triste aventure ô gué,

ラ トリス・タヴォテュレ
La triste aventure.

2.
小さな男の子たちが
おとなしくていい子にしていたら
みんながキャンディーや
綺麗な絵をくれる
でも、叱られるときには
きっと鞭をくれるんだ
悲しい冒険だ、わあい
悲しい冒険だ

gronder【動詞・原形】叱る。


3.
ジュ セレ サージ エ ビャ ボ
Je serai sage et bien bon

プゥル プレ・ラ マ メェレ
Pour plaire à ma mère,

ジュ ソレ ビャ マ レソ
Je saurai bien ma leçon

プゥル プレ・ラ モ ペェレ
Pour plaire à mon père.

ジュ ヴュ ビャ レ コ
Je veux bien les contenter

エ スィル ヴュロ モブラセ
Et s'ils veulent m'embrasser,

ラ ボ・ナヴォトュル オ ゲ
La bonne aventure ô gué,

ラ ボ・ナヴォトュレ
La bonne aventure.

3.
素直でとてもいい子にしていよう
母さんに好かれたいから
勉強したことをよく覚えておこう
父さんに好かれたいから
ふたりをすっかり満足させてあげたいな
それでもしふたりがぼくにキスしてくれたら
すてきな冒険だ、わあい
すてきな冒険だ

plaire【動詞・原形】〔plaire à 〜 の形で〕〜の気に入る。
embrasser【動詞・原形】キスをする。

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 ガイド   この歌は、今日ではわらべ歌として親しまれていますが、もとは16世紀なかばの『Si le Roi M'avait Donné(もし王様がわしにくださったなら)』という歌が、近世になって新しい歌詞を付けられたものです(オリジナル歌詞参照)。題名は『La Bonne Aventure Ô Gué』ともいいます。
 作曲は当時のヴァンドーム公だったアントワーヌ・ドゥ・ブルボン(Antoine de Bourbon、1518〜1562)と言われています。アントワーヌはフランスとナバラ(ナヴァール)国王のアンリ四世(Henri IV、1553〜1610)の父親です。
 一説によると、アントワーヌがヴァンドーム公として暮らしていた城の名称が「ボナヴァンチュール城(Château de Bonnaventure)」で、ロアール川の浅瀬(フランス語でgué)のそばに建っていたことから、歌の題名を「La Bonnavanture au gué(浅瀬のそばのボナヴァンチュール城)」と同音の「La Bonne Aventure Ô Gué(素敵な冒険だ、わあい)」に引っ掛けて名付けたともいわれています。
 原曲『Si le Roi M'avait Donné』の歌詞は、同時代の詩人ピエール・ドゥ・ロンサール(Pierre de Ronsard、1524〜1585)によって書かれたという説がありますが定かではありません。この歌詞は、喜劇役者で劇作家のモリエール(Molière、1622〜1673、本名はジャン=バチスト・ポクラン〔Jean-Baptiste Poquelin〕)が、代表作『Le Misanthrope(邦題:人間嫌い)』のなかで主役のアルセストのセリフに用いています。

ひとりごと
 なんと言うか、ずいぶんと率直に心情を吐露している歌であって、コメントのつけようがありません…。とりあえず、この赤ちゃんにはいい子になって素敵な冒険を満喫してもらいましょう。
 モリエールのほうは、そもそも戯曲そのものに対する関心が薄いため(チェーホフの『桜の園』すら読んだことがない)、筆者は読んだことがないのですが、このページを作成していたらなんだか読みたくなってきました。  






バリアント

 メイン歌詞と一部が異なるバリアントがあります。異なっているところを緑の背景で示しました。なお、3番はどのバリアントでも同じだったので省略しています。

◆原歌詞:1・2番のみ(3番は省略) ◆和訳と語句

1.
ジュ スュィ ア プティ ガーァソ
Je suis un petit garçons

ドゥ ベレ フィグュレ
De belle figure

キ エメ ビャ レ ボ
Qui aime bien les bonbons

エ レ コフィテュレ
Et les confitures.

スィ ヴゥ ヴゥレ モ ドネ
Si vous voulez m'en donner,

ジュ ソレ ビャ レ モジェ
Je saurai bien les manger

ラ ボ・ナヴォトュル オ ゲ
La bonne aventure ô gué,

ラ ボ・ナヴォトュレ
La bonne aventure.

1. 
ぼくは小さな男の子
ハンサムな顔してる
キャンディと
ジャムが大好きさ
もしみんながぼくにあげたいなら
きっと食べちゃえる
すてきな冒険だ、わあい
すてきな冒険だ

2.
ローァスク レ プティ ガーァソ
Lorsque les petits garçons

 ジョティ エ サージェ
Sont gentils et sages,

 レゥァ ドネ デ ボ
On leur donne des bonbons,

ドゥ ジョリ イマージェ
De jolies images,

メ コ イル ス フォ グロ
Mais quand il se font gronder

セ ル フゥエ キル フォ ドネ
C'est le fouet qu'il faut donner.

ラ トリス・タヴォトュル オ ゲ
La triste aventure ô gué,

ラ トリス・タヴォテュレ
La triste aventure.

2.
小さな男の子が
おとなしくていい子にしていたら
みんながキャンディーや
かわいい絵をくれる
でも、叱られるときには
きっと鞭をくれるんだ
悲しい冒険だ、わあい
悲しい冒険だ





オリジナル

 この歌の元歌である『Si le Roi M'avait Donné(もし王様がわしにくださったなら)』の歌詞を、下に挙げました。この歌詞は、モリエールの戯曲『人間嫌い』で、主役のアルセスト(Alceste)のせりふとして用いられています。

◆原歌詞:1〜2番 ◆和訳と語句

1.
スィ ル ルヮ マヴェ ドネ
Si le roi m'avait donné

パリ サ グロド ヴィレ
Paris sa grande ville

エ キル ムュ ファルュ キテ
Et qu'il m'eût fallu quitter

ラムゥル ドゥ マ ミーェ
L'amour de ma mie

ジョレ ディ・トォ ルヮ オ
J'aurais dit au roi Henri

ルプレネ ヴォトル パリ
Reprenez votre Paris

ジェム メュー マ ミ、オ ゲ
J'aime mieux ma mie, ô gué

ジェム メュー マ ミーェ!
J'aime mieux ma mie!

1. 
もし王様がわしに
ご自分のでかい街パリを下さってても
わしのいとしい女の想いを
捨てなきゃならなかったとしたら
わしはアンリ王様に申し上げちまったろう
ご自分のパリをお引き取りくだされと
わしは自分のいとしの人のほうが好きなのさ
いとしの人のほうが好きなんだ

eût【動詞・三人称単数単純過去形】
 <avoir 〜を持つ、有する。
mie〔古語〕いとしい女性。
roi Henri【人名】アンリ王。
 ここでは、アントワーヌ・ドゥ・ブルボンと同時代のフランス国王のアンリ二世(1519〜1559)だと思われます。


2.
オーァ ル ルヮ ヌマ パ ドネ
Or le roi n'm'a pas donné

パリ サ グロド ヴィレ
Paris sa grande ville

メ イル マ ファルュ キテ
Mais il m'a fallu quitter

ラムゥル ドゥ マ ミーェ
L'amour de ma mie

エ ジェ ディ・トォ ルヮ オ
Et j'ai dit au roi Henri

レセムヮ ムゥリィリ・スィ
Laissez-moi mourir ici

ジェ ペルドュ マ ミ オ ゲ
J'ai perdu ma mie ô gué

ジェ ペルドュ マ ミーェ
J'ai perdu ma mie.

2.
さて、王様はわしに
ご自分のでかい街パリを下さらなかったし
わしのいとしの人の想いは
捨てなきゃならなかった
わしはアンリ王様に
ここで死なせてくれと申し上げたよ
わしはいとしの人を失っちまったからな
いとしの人を失っちまった

参照URL
http://www.paroles.net/chanson/11732.1
http://bmarcore.club.fr/Tine/E163.html
http://www.comptines.net/comptines/aventure.htm
http://www.geocities.com/Vienna/Choir/7173/enfants.htm#labonav
http://lespapas.com/z%20chanson%20a026.htm
http://thierry-klein.nerim.net/labonnea.htm
http://fr.wikipedia.org/wiki/Antoine_de_Bourbon
http://www.comedie-francaise.fr/histoire/moliere_misanthr.php#sources
http://en.wikisource.org/wiki/Castles_and_Cave_Dwellings_of_Europe/Chapter_VI
http://fr.wikisource.org/wiki/Le_Misanthrope

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)
ページ最終更新:2008/03/24

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