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WENN ICH EIN VÖGLEIN WÄR'
もし僕が小鳥だったなら

恋人がそばにいないことのせつなさを歌い上げています。

作詞:J.G.ヘルダーまたはG.C.ディーフェンバッハ、但し民謡の可能性もあり
作曲:J.F.ライヒャルトまたはF.アプト、但し民謡説もあり  
19世紀初頭に成立?

邦題
『夜汽車』
『小鳥ならば』など

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)


◆原歌詞:1〜3番
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
ヴェン イヒ アィン フェークラィン ヴェァ
Wenn ich ein Vöglein wär'

ウンッ アォフ ツヴァィ フルュークラィン へーッ
Und auch zwei Flüglein hätt',

フレーク イヒ ツー ディァ
Flög' ich zu dir.

ヴァィルス アベァ ニヒト カン ザィン
Weil's aber nicht kann sein,

ヴァィルス アベァ ニヒト カン ザィン
Weil's aber nicht kann sein,

ブラィプ イヒ アルヒーァ
Bleib' ich allhier.

1.
もし僕が小鳥だったなら
そして二枚の翼があったなら
君のもとへ飛んでいけるのに
だけれどそれは叶わぬことなので
だけれどそれは叶わぬことなので
僕はここにとどまっている


2.
ビン イヒ グラィヒ ヴァィッ フォン ディァ
Bin ich gleich weit von dir,

ビン イヒ ドホ イム トラォム バイ ディア
Bin ich doch im Traum bei dir

ウンッ レーッ ミッ ディァ
Und red' mit dir.

ヴェン イヒ エァヴァッヘン トゥ
Wenn ich erwachen tu',

ヴェン イヒ エァヴァッヘン トゥ
Wenn ich erwachen tu',

ビン イヒ アラィン
Bin ich allein.

2.
たとえ君から遠く離れていても
夢の中では君のそばにいて
君と語らっている
目が覚めてみると
目が覚めてみると
僕はひとりきり

red'【動詞・一人称単数現在形】 =rede
<reden 話す。
erwachen【動詞・原型】目を覚ます。
tu'【動詞・一人称単数現在形】 =tue 
<tun 助動詞的に機能して、直前の「erwachen」を強調しています。


3.
エス フェァゲーッ カィン ストゥーンッ イン デァ ナハト
Es vergeht kein' Stund' in der Nacht,

ダス ニヒト マィン ヘァツ エァヴァハト
Dass nicht mein Herz erwacht

ウン ダィン ゲデンクト
Und dein gedenkt,

ダス ドゥ ミァ フィール タォゼンッマル
Dass du mir viel tausendmal,

ダス ドゥ ミァ フィール タォゼンッマル
Dass du mir viel tausendmal,

ダィン ヘァツ ゲシェンクッ
Dein Herz geschenkt.

3.
夜の時間は過ぎ去らず
僕の心は夢から覚めない
君が僕に何度となく
君が僕に何度となく
その心を贈ってくれたことを
思い起こすと

tausendmal【副詞】
幾度となく。直訳すると「一千回も」という意味になります。




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 ガイド   『Wenn ich ein Vöglein wär'』はドイツ語圏で長年愛唱されている歌です。この歌の作詞者・作曲者には、三通りの説があります。
〔説1〕
 ドイツの詩人で哲学者でもあったヨハン・ゴットフリート・ヘルダー(Johann Gottfried Herder, 1744 - 1803)が1778年に編纂した『Volkslieder(民謡)』という歌集に載っている歌詞が元になっています。
 メロディーは、1784年に出版された歌集『Liedern mit Melodien zum Gebrauch der Loge(フリーメーソンのための旋律つき歌集)』に載っていた歌の旋律が充てられています。このメロディーの作者は、ドイツの作曲家ヨハン・フリードリヒ・ライヒャルト(Johann Friedrich Reichardt, 1752 - 1814)とみなされています。
〔説2〕
 詞を書いたのは、ドイツの牧師で詩人でもあったゲオルク・クリスティアン・ディーフェンバッハ(Georg Christian Dieffenbach, 1822 - 1901)です。メロディーは、ドイツの作曲家で合唱団の指導者でもあったフランツ・アプト(Franz Abt, 1819 - 1885)です。
〔説3〕
 詞はヨハン・ゴットフリート・ヘルダーによるものですが、旋律はスイス民謡から採ったものであるとする説です。

 この歌が日本で広く知られるようになったのは、昭和22年(1947年)に、『四年生の音楽』という文部省唱歌集(おそらく教科書でしょう)に組み込まれたのがきっかけのようです。詞は勝承夫(かつ・よしお、1902 - 1981)さんによるものです。なぜ「夜汽車」の題と歌詞とが充てられたのかは、当方はあいにく存じません。

 インターネットでぐるりと調べてみたら、ロック調にアレンジしたバージョンが、映画『バンディッツ』のサウンドトラックに入っているという情報が入ってきました。どんな曲調にアレンジされているのか、(怖いもの聴きたさで)ちょっと聴いてみたい気もします。

ひとりごと
 筆者が小学校4年生のときのクラスでは、朝のホームルームの時間に、みんなでリコーダー演奏をするのがならわしでした。今でもあちこちの小学校で行っているようですね、授業時間の前の数分間を割いて、「朝の読書」や「朝の歌」を歌うのに割りあてることを。あれの器楽演奏版、とでも言うのでしょうか。
 「夜汽車」の曲も、その演奏のうちで扱われたものです。短いし、簡単で吹きやすい曲でした。朝っぱらから、こんなに楚々とした節回しの、しかもタイトルが「夜汽車」という曲を演奏するのは、どうにも時差ぼけ気味でなりませんでしたが。


◎参考URL
【歌詞・音源・楽譜】
○http://www.herbert-fritz.de/volksliedertext/wenn_ich_ein_Voeglein_waer.html(解説もあり)

【歌詞・音源】
○http://ingeb.org/Lieder/WennIchE.html(メイン歌詞底本として利用)

【歌詞】
○http://www.singenundspielen.de/id198.htm
○http://imslp.org/wiki/Wenn_ich_ein_V%C3%B6glein_w%C3%A4r_(Abt,_Franz)
○http://www.volksliederarchiv.de/text242.html
○http://www.lyricstime.com/kinderlieder-wenn-ich-ein-v-glein-w-r-lyrics.html

【その他】
○http://de.wikipedia.org/wiki/Johann_Gottfried_Herder
○http://en.wikipedia.org/wiki/Johann_Friedrich_Reichardt
○http://de.wikipedia.org/wiki/Franz_Abt
○http://de.wikipedia.org/wiki/Georg_Christian_Dieffenbach
○http://www.ostpreussen.net/index.php?seite_id=12&bericht=05&kreis=38&stadt=01

MIDI作成ソフト:てきとーシーケンサ Version2.15
ページ最終更新:2010/06/06

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