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WALTZING MATILDA
荷包み担いで旅をする

オーストラリア人の反骨精神を歌い、同国の第二の国歌とも呼ばれます。

作詞:A.B.パターソン、但しM.コウワンによる補作版あり
作曲:C.マクファーソン、但しM.コウワンによる補作版あり  
1895年著作、1903年補作

邦題
『ウォルツィング・マチルダ』
『ウォルシング・マチルダ』など

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)



◆原歌詞:1〜4番   オリジナルバージョン
フリガナはイギリス英語の発音に基づいています。
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
ワンス ア ヂョリ スワグマン カンプッ バィ ア ビラボン゜
Once a jolly swagman camped by a billabong

アンダ ヅァ シェィド オヴ ア クーリバー トリー
Under the shade of a Coolibah tree

アン ヒ サン゜ アズ ヒ ウォチト
And he sang as he watched

アン ウェィテッ ティォ ヒズ ビリ ボィルド
And waited till his billy boiled

ユゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
You'll come a-waltzing Matilda with me

 繰り返し

 ウォルツィン゜ マチォダ、ウォルツィン゜ マチォダ
 Waltzing Matilda, Waltzing Matilda

 ユゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
 You'll come a-waltzing Matilda with me

 アン ヒ サン゜ アズ ヒ ウォチト
 And he sang as he watched

 アン ウェィテッ ティォ ヒズ ビリ ボィルド
 And waited till his billy boiled

 ユゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
 You'll come a-waltzing Matilda with me

1.
むかし一人の陽気な放浪者が
沼川のほとりで野宿していた
ユーカリの木の木陰で
そして彼は、自分の茶沸かしが沸くまで
見て待ちながら歌った
お前も、俺と一緒に荷包み担いで旅に来ないか
繰り返し
荷包み担いで旅しよう
荷包み担いで旅しよう
お前も、俺と一緒に荷包み担いで旅に来ないか
そして彼は、自分の茶沸かしが沸くまで
見て待ちながら歌った
お前も、俺と一緒に荷包み担いで旅に来ないか
swagman【豪方言】荷物の包みを持って歩く放浪者・旅行者。
billabong【豪方言】川が分流してできた流れで、流れ込む先の無いもの。
拙訳では、「沼川」としてみました。
Coolibah tree【豪方言】ユーカリの木。
Coolabah treeとも綴ります。
billy【豪方言】野外でお湯やお茶を沸かすのに使う、手のついた金属の容器。
拙訳では「茶沸かし」としました。
Matilda【豪方言】旅行者が身の回りの品を入れておく包み。
Waltzing Matildaのかたちで、「Matildaを担いで放浪または旅をする」という意味を表します。


2.
ダゥン ケィム ア ヂャンバク トゥ ドリンク アッ ヅァッ ビラボン゜
Down came a jumbuck to drink at that billabong

アプ ヂャンプッ ヅァ スワグマン アン グラブド ヒム ウィヅ グリー
Up jumped the swagman and grabbed him with glee

アン ヒ サン゜ アズ ヒ シャヴド
And he sang as he shoved

ヅァッ ヂャンバク イン ヒズ タカバグ
That jumbuck in his tuckerbag

ユゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
You'll come a-waltzing Matilda with me

繰り返し

2.
ヒツジが1頭、沼川で水を飲みに下りてきた
放浪者は跳び上がり、喜び勇んで捕まえた
そして彼は、そのヒツジを
食糧袋に押し込みつつ歌った
お前も、俺と一緒に荷包み担いで旅に来ないか
繰り返し
jumbuck【豪方言】ヒツジ。語源は、"jump up"の崩れた発音と言われています。
shoved【動詞・過去形】
 <shove 押す、乱暴に入れる。
glee 喜び、歓喜。
tuckerbag【豪方言】食糧を入れて持ち運ぶ袋。

3.
アプ ロゥッ ヅァ スクォタ マゥンテッ オン ヒズ サラブレッ
Up rode the squatter mounted on his thoroughbred

ダゥン ケィム トルーパーズ ワン トゥー スリー
Down came troopers one two three

フゥズ ヅァッ ヂャンバク
Whose that jumbuck

ユゥヴ ゴッ・ティン ヅァ タカバグ
You've got in the tuckerbag?

ユゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
You'll come a-waltzing Matilda with me

繰り返し

3.
牧場主が、純血種の馬にまたがってやって来た
騎馬警官もやって来た、ひとり、ふたり、三人と
お前が食糧袋に入れている
そのヒツジは誰のものだね?
お前も、俺と一緒に荷包み担いで旅に来ないか
繰り返し
squatter【豪方言】牧場主。特に、大規模な牧場の経営者を指します。
thoroughbred 純血種の馬。
troopers 騎馬警官。


4.
アプ ヂャンプッ ヅァ スウォグマン アン スプラン゜ イントゥ ヅァ ビラボン゜
Up jumped the swagman and sprang into the billabong

ユゥル ネヴァ カチ ミ アラィヴ セッ ヒ
You'll never catch me alive said he

アン ヒズ ゴゥスト メィ ビ ヘァーッ
And his ghost may be heard

アズ ユゥ パス バィ ヅァッ ビラボン゜
As you pass by that billabong

ユゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
You'll come a-waltzing Matilda with me

繰り返し

4.
放浪者は跳びあがり、沼川に跳びこんだ
俺は生きたままじゃ絶対捕まらんぞ、と言って
そして、その沼川のそばを通れば
彼の幽霊が言うのが聞こえるかもしれない
お前も、俺と一緒に
荷包み担いで旅に来ないか、と
繰り返し

このページのてっぺんへ  オリジナルバージョン



 ガイド   この歌の歌詞は、オーストラリアのジャーナリストで弁護士でもあったバンジョー・パターソン(Banjo Paterson、本名はアンドリュー・バートン・パターソン〔Andrew Barton Paterson〕、1864〜1941)が1895年に書いたものといわれています。
 メロディーは大きく分けて3パターンあり、複数の作曲者が考えられています。
 最初の作曲者であることがほぼ明らかと言って間違いないのが、クリスティナ・マクファーソン(Christina Macpherson、1864〜1936)という女性です。スコットランド民謡の『Thou Bonnie Wood of Craigielea(クレイギリーの美しい森よ)』という曲の演奏を耳にして覚えていたのを、パターソンに教えたものが、メロディーの元になったそうです。1895年に初めて歌われたこのバージョンは、現在では「クイーンズランド版(Queensland version)」として知られています。
 また、マリー・コウワン(Marie Cowan、?〜1919)という女性が、1903年に、お茶のコマーシャルソングとして、マクファーソンの書いたメロディーを大幅に編曲し、歌詞にも手を入れています。こちらは、「ヴィクトリア版(Victoria version)」として知られ、現在最も広く歌われているメロディーです。メイン歌詞として上に挙げているのも、このヴィクトリア版の歌詞です。
 このほか、19世紀にオーストラリアで流行した『The Bold Fusilier(勇敢な歩兵)』という曲があり、ヴィクトリア版は、この歌のメロディーとよく似た曲なので、ヴィクトリア版『ウォルツィング・マチルダ』は、『The Bold Fusilier』のアレンジであるという説もあります。

 さて、当サイトでは『Waltzing Matilda』のMIDIを2つ用意しました。これは、上記のように、『Waltzing Matilda』にはメロディーが少なくとも3種類存在するためです。
 ひとつは、コウワンの編曲による、世界的な知名度を誇る「ヴィクトリア版」で、日本でもこれはお馴染みでしょう。もうひとつは、マクファーソンの曲に近い「クイーンズランド版」で、バンジョー・パターソンのオリジナルの歌詞にはこちらのほうがよく合います。
 起源が同じひとつの旋律とは思えないほど、すっかり別物になっていることがお分かりになると思います。なお、三つめのメロディーのMIDIは、クイーンズランド版に類似するメロディーですので、省きました。

 歌詞に使用されている語彙の解説は、オーストラリア国立図書館のウェブサイト内の以下のURL先を参照しました。
 http://www.nla.gov.au/epubs/waltzingmatilda/3-Meanings.html

ひとりごと
 正直言って、翻訳するのが意外と難しい!いや、それはそれとしておいといて。
 クリスティナ・マクファーソンが、たまたま訪ねた友人の家で、友人の婚約者のパターソンと出会ったのが、ふたりが知り合うきっかけになったようです。もしこの二人が出会わなかったら、ウォルツィング・マチルダは歌われることがなかったかもしれない。そう考えると、運命の不思議さをちょっぴりだけ感ぜずにはいられません。

 調査の裏話。「Waltzing Matilda」を解説した優れたサイトとして、以下の二つのサイトがあります。
 ・オーストラリア国立図書館の「Who'll Come a Waltzing Matilda with Me?」
    http://www.nla.gov.au/epubs/waltzingmatilda/index.html
 ・自称「Waltzing Matildaについては最初にして最高であるサイト」こと、Roger Clarke氏の「Roger Clarke’s Waltzing Matilda Home-Page」
    http://www.anu.edu.au/people/Roger.Clarke/WM/
 いずれも情報の質量ともに優れてはいるのですが、「クイーンズランド版」の定義が異なっています…。
 前者は、マクファーソン版ともヴィクトリア版とも異なる旋律を「クイーンズランド版」と定義しているのに対し、後者は、マクファーソンが施した曲のことを「クイーンズランド版」としています。何も分からないこちらは、途惑うしかありません。いや、別にいいんですけれど。

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オリジナル

 こちらに挙げてあるのが、バンジョー・パターソンによる、オリジナルの歌詞です。
 「クイーンズランド版」のほうの旋律に合わせて歌うように書かれている歌詞なので、この歌詞で歌われる際は「クイーンズランド版」のMIDIをプレイしてください。


◆原歌詞:1〜4番 ◆和訳と語句

1.
オゥ ヅェァ ワンス ウォズ ア スワグマン カンプッ イン ヅァ ビラボングス
Oh there once was a swagman camped in the billabongs

アンダ ヅァ シェィド オヴ ア クーリバー トリー
Under the shade of a Coolibah tree

アン ヒ サン゜ アズ ヒ ルクト アッ ヅィ オゥォッ ビリ ボィリン゜
And he sang as he looked at the old billy boiling

フゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
Who'll come a waltzing Matilda with me

 繰り返し

 フゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ マィ ダーリン゜
 Who'll come a-waltzing Matilda my darling

 フゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
 Who'll come a-waltzing Matilda with me

 ウォルツィン゜ マチォダ アン リーディン゜ ア ウォタバグ
 Waltzing Matilda and leading a waterbag

 フゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
 Who'll come a-waltzing Matilda with me

1.
昔、沼川で野宿していた放浪者がいた
ユーカリの木の木陰で
そして彼は、使い込んだ茶沸かしが沸くのを
見つつ歌った
誰が、俺と一緒に
荷包み担いで旅に出るんだ?

繰り返し
 誰が荷包み担いで旅に出るんだ、
 いとしいお前よ?
 誰が、俺と一緒に
 荷包み担いで旅に出るんだ?
 荷包み担いで旅に出て、
 水入れ袋を引っ張っていく
 誰が、俺と一緒に
 荷包み担いで旅に出るんだ?


2.
アプ ケィム ヅァ ヂャンバク トゥ ドリンク アッ ヅァ ウォタホゥォ
Up came the jumbuck to drink at the waterhole

アプ ヂャンプッ ヅァ スワグマン アン グラブド ヒム イン グリー
Up jumped the swagman and grabbed him in glee

アン ヒ サン゜ アズ ヒ プッ ヒム アウェィ イン ヅァ タカバグ
And he sang as he put hime away in the tuckerbag

ユゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
You'll come a-waltzing Matilda with me

繰り返し

2.
ヒツジが、泉で水を飲みにやってきた
放浪者は跳び上がり、喜び勇んで捕まえた
そして彼はヒツジを食糧袋に入れつつ歌った
お前も、俺と一緒に
荷包み担いで旅に来ないか
繰り返し
waterhole 水たまり、(砂漠などにある)水飲み場。
歌詞の内容を考慮し、拙訳では「泉」としてみました。

3.
アプ ケィム ヅァ スクォタ ア・ラィディン゜ ヒズ サラブレッ
Up came the squatter a-riding his thoroughbred

アプ ケィム ポリースメン ワン トゥー スリー
Up came policemen one two three

フゥズ イズ ヅァッ ヂャンバク ユゥヴ ゴッ・ティン ヅァ タカバグ
Whose is the jumbuck you've got in the tuckerbag?

ユゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
You'll come a-waltzing Matilda with me

繰り返し

3.
牧場主が純血種の馬に乗ってやって来た
警察官がやって来た、ひとり、ふたり、三人と
お前が食糧袋に入れている、
そのヒツジは誰のだね?
お前も、俺と一緒に
荷包み担いで旅に来ないか
繰り返し



4.
アプ スプラン゜ ヅァ スウォグマン アン ヂャンプッ イン ヅァ ウォタホゥォ
Up sprang the swagman and jumped in the waterhole

ドラゥニン゜ ヒムセォフ バィ ヅァ クーリバー
Drowning himself by the Coolibah

アン ヒズ ヴォィス カン ビ ヘァーッ
And his voice can be heard

アズ イッ スィングス イン ヅァ ビラボングス
As it sings in the billabongs

フゥル カム ア ウォルツィン゜ マチォダ ウィヅ ミ
Who'll come a-waltzing Matilda with me

繰り返し

4.
放浪者は跳び上がり、泉に飛び込んで
ユーカリの木のそばで溺れ死んだ
そして、彼の声が沼川の中で歌っているのが
聞こえることがある
誰が、俺と一緒に
荷包み担いで旅に出るんだ、と
繰り返し


参考URL
http://www.nla.gov.au/epubs/waltzingmatilda/3-versions_of_WaltzingMatilda.doc(メイン歌詞・オリジナル歌詞両方の底本として使用)
http://alldownunder.com/oz-u/songs/waltzing-matilda-2.htm
http://www.nla.gov.au/epubs/waltzingmatilda/3-Meanings.html
http://www.nla.gov.au/epubs/waltzingmatilda/index.html
http://www.anu.edu.au/people/Roger.Clarke/WM/
http://www.ausinternet.com/ettamogah/waltzing.htm

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36) (両バージョンとも)

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