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ALLES NEU MACHT DER MAI
五月はすべて新しく

明るく楽しい五月を喜ぶ歌。

作詞:H.アーダム・フォン・カンプ
作曲:不詳  / 1829年成立(1818年説も)

邦題
『五月はすべて新しく』
『五月はものみなあらたに』ほか

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)

◆原歌詞:1〜3番
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
アッレス ノィ、マハト デァ マィ
Alles neu, macht der Mai,

マハ ディ ゼーレ フリシュ ウンッ フラィ
Macht die Seele frisch und frei

ラスト ダス ハォス、コムト ヒンナォス
Laßt das Haus, kommt hinaus,

ヴィンデッ アィネン シュトラォス!
Windet einen Strauß!

リングズ エァグレーンツェッ ゾンネンシャィン
Rings erglänzet Sonnenschein,

ドゥフテンッ プランゲッ フルーァ ウンッ ハィン
Duftend pranget Flur und Hain;

フォーゲルザン゜、ヘーァネァクラン゜
Vogelsang, Hörnerklang

テント デン ヴァルト エントラン゜
Tönt den Wald entlang.

1.
五月は全てを新たにする
魂を、はつらつした自由なものにする
家をあとにして出て行こう
花束を作ろう!
周りでは日の光が輝いている
野原も林も香りをたてて輝いている
鳥の歌と、角笛の音が
森に沿って響き渡る

windet 【動詞・二人称複数現在】
(花輪など)を編む。
erglänzet  
【動詞・三人称単数現在】輝く、きらめく。
pranget   
【動詞・三人称単数現在】光り輝く。
Flur  野原。
Hain  (小さな)森。
entlang  【前置詞】〜に沿って。


2.
ヴィァ ドゥァヒツィーン ザーテン グルューン
Wir durchzieh'n Saaten grün,

ハィネ、ディ エァゲッツェン ブルューン
Haine, die ergötzend blüh'n,

ヴァルデスプラハト ノィ ゲマハト
Waldespracht neu gemacht,

ナハ デス ヴィンテァス ナハト
Nach des Winters Nacht.

ドァト イム シャッテン アン デム クヴェル
Dort im Schatten an dem Quell

リーゼルン ムンテァ、ズィルベァヘル
Rieselnd munter, silberhell,

クラィン ウンッ グロース ルート イン モース
Klein und Groß ruht im Moos,

ヴィー イム ヴァィヒェン ショース
Wie im weichen Schoß.
2.
渡り歩いていこう、緑の芽生えや
楽しく花咲いている林を
森の壮麗さも、冬の夜以来
生まれ変わったようだ
あそこの泉にさす影に
快活に、銀色に輝いてせせらいでいる
小さく、大きく、コケの中にやすらう
あたかも柔らかい膝の中のように

durchzieh'n =durchziehen   
【動詞・一人称複数現在】〜を渡り歩く、突き抜けて通る。
ergötzend 【動詞・現在分詞】
〜を楽しませる、喜ばせる。
Waldespracht  
(Wald + Pracht)森の壮麗さ。
Quell  泉。
rieselnd  【動詞・現在分詞】
(川などが)静かに流れる。
silberhell  【形容詞】
銀のように輝いている。
Schoß  ひざ、太腿の上側。


3.
ヒーァ ウン ドーァト、フォァト ウンッ フォァッ
Hier und dort, fort und fort,

ヴォー ヴィァ ツィーエン オァッ フュァ オァッ
Wo wir ziehen Ort für Ort

アッレス フロィト ズィヒ デァ ツァィッ
Alles freut sich der Zeit,

ディ フェァユンクト、エァノィッ
Die verjüngt, erneut,

ヴィデァシャィン デァ シェップン゜ ブルューッ
Widerschein der Schöpfung blüht

ウンス エァノィエァンッ イム ゲムューッ
Uns erneuernd im Gemüt.

アッレス ノィ、フリシュ ウンッ フラィ
Alles neu, frisch und frei

マハト デァ ホールデ マィ
Macht der holde Mai.

3.
ここでもかしこでも、絶え間なく
我々はあちこちと移っていく
みな、この季節を喜ぶ
ふたたび若々しく蘇ったこの季節を
創造物の反射が花栄えている
我々の心によみがえってくる
すてきな五月は、全てを
新しく、はつらつと自由にするのだ

Ort für Ort  あちこちと。
Widerschein 反射、反映。
Schöpfung
 創造、(神様の)創造物(すなわち世界)。



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 ガイド   この歌は、ノルトライン・ヴェストファーレン州ミュールハイムの詩人だったヘルマン・アーダム・フォン・カンプ(Hermann Adam von Kamp、1796〜1867)が1829年に書いたもので、1807年出版の民謡集『Fahret Hin』に載っていた曲に、新たな歌詞を施したものです(1818年の作詞という説もあるようです)。 同じくドイツ民謡の『ちょうちょ』(『小さなハンス』)と同一のメロディーです。
 『ちょうちょ』に関する他の事については『小さなハンス』のページにほんの少しだけ詳しく書いています。

ひとりごと

 ドイツの児童文学者オトフリート・プロイスラー(Otfried Preußler、1923〜存命)の童話『大どろぼうホッツェンプロッツ』(原題:Der Räuber Hotzenplotz、邦訳は偕成社より出版)の冒頭では、二人の少年、ゼッペルとカスパールが、カスパールのお婆さんの誕生日プレゼントに、この曲の鳴るコーヒーミルを贈ったことが記されています。なんと、コーヒーを挽くと、そのたびにこの『五月はものみな新たに』を奏でるとか。ひとつ欲しいものです(^^)。
 でも、お婆さんは、この素敵なコーヒーミルを、大泥棒のホッツェンプロッツに奪われてしまうんですよね。そのコーヒーミルを取り戻すためにホッツェンプロッツの根城に向かったゼッペルとカスパールに起きた大事件(ネタバレ防止のためあらすじは伏せておきます)を考えると、うーん…いささか迷ってしまいます。

 ところで、ここのMIDIは、『小さなハンス』のものとは大幅に雰囲気の異なる編成にしてみました。どちらが皆さんに好んでいただけるでしょうか。

参考URL
http://ingeb.org/Lieder/AllesNeu.html
http://www.lwl.org/literaturkommission/alex/index.php?id=00000003&letter=K&layout=2&author_id=00000149&SID=6633f8e2093bc3f164cdf6785fa8eff9
http://www.kerria.de/cithara/Info29.pdf#search=%22%22alles%20neu%22%22Adam%20von%20Kamp%22%22
http://www.deutscheslied.com/de/search.cgi?cmd=search&srch_Titel=A*&start=4000

MIDI作成ソフト:てきとーシーケンサ Version2.15

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