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FLEUR D'EPINE
いばらの花

私の名前は「いばらの花」。この名を誇りにしています。

作詞:不詳 / 作曲:不詳  / 成立年代不詳

邦題
『いばらの花』など

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)



◆原歌詞:1~5番  バリアントバージョン
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
マ メェァ キ マ ヌゥリ
Ma mère qui m'a nourrie

ナ ジャメ コヌュ モ ノ、オーエ
N'a jamais connu mon nom, ohé

マ メェァ キ マ ヌゥリ
Ma mère qui m'a nourrie

ナ ジャメ コヌュ モ ノ、オーエ
N'a jamais connu mon nom, ohé

 マペル、オ マペル
On m'appelle, on m'appelle,

 マペル フレゥル デピヌ
On m'appelle fleur d'épine,

フレゥル ドゥ ロォズ: セ モ ノ
Fleur de rose: c'est mon nom.

繰り返し

 トララ ラ ララ ララ
 Tralala la lala lala

 トララ ラ ララ ララ
 Tralala la lala lala

 トラララ・ラ ラ・ラ ラ・ラ・ラ
 Tralalala-la la-la la-la-la

1. 
私を養ってくれた母さんも
私の名を全く知らなかった 
私を養ってくれた母さんも
私の名を全く知らなかった 
私の名前は、私の名前は
私の名前はいばらの花
バラの花、それが私の名前です
繰り返し
 トララ ラ ララ ララ
 トララ ラ ララ ララ
 トラララ・ラ ラ・ラ ラ・ラ・ラ

nourrie【動詞・過去分詞女性形】
<nourrir 食物を与える、養う。
connu【動詞・過去分詞】
<connaître 知っている。
épine とげ、いばら。


2.
フレゥル デピヌ、フレゥル ドゥ ロォズ
Fleur d'épine, fleur de rose

セ・タ ノ キ クゥテ シェル、オーエ
C'est un nom qui coûte cher, ohé

フレゥル デピヌ、フレゥル ドゥ ロォズ
Fleur d'épine, fleur de rose

セ・タ ノ キ クゥテ シェル、オーエ
C'est un nom qui coûte cher, ohé

カ・リル クゥトゥ、カ・リル クゥトゥ
Car il coûte, car il coûte,

カ・リル クゥトゥ ル ドゥブル プリ
Car il coûte le double prix

ドゥ ラ ヴァレゥル ドゥ ソ・テクュ
De la valeur de cent écus.

 繰り返し

2.
いばらの花、バラの花
これは高くつく名前です
いばらの花、バラの花
これは高くつく名前です
なぜならこの値段は、なぜならこの値段は
なぜならこの値段は
百エキューの値打ちの二倍するからです
繰り返し

coûte【動詞・三人称単数現在形】
<coûter 費用が掛かる。
coûte cherのかたちで、「高い費用が掛かる」「高くつく」という意味になります。
prix 値段。
écus【経済・複数形】<écu エキュー。
中世フランスの銀貨。銀貨に盾の文様が刻んであったためにこの名前が付けられたもので、語源となった「(中世の)盾」や、「紋章の中の盾形の部分」の意味で用いられることもあります。


3.
ケス ド ク ソ・テクュ
Qu'est-ce donc que cent écus

・ド・ナ ロネゥル ペルデュ、オーエ
Quand on a l'honneur perdu, ohé

ケス ド ク ソ・テクュ
Qu'est-ce donc que cent écus

・ド・ナ ロネゥル ペルデュ、オーエ
Quand on a l'honneur perdu, ohé

カル ロネゥル、カル ロネゥル
Car l'honneur, car l'honneur

カル ロネゥ・レ ル・プリヴィレージュ
Car l'honneur est l’privilège

デ フィエットゥ ドゥ カ・ゾ
Des fillettes de quinze ans.

 繰り返し

3.
百エキューとはいったい何ごとだ
栄誉を失ってしまっているのに
百エキューとはいったい何ごとだ
栄誉を失ってしまっているのに
なぜなら栄誉とは、なぜなら栄誉とは
なぜなら栄誉とは十五歳の若い娘たちの
特権だからです
繰り返し

qu'est-ce donc que【疑問代名詞】いったい何が。
 一般には「qu'est-ce que」の形で用いられますが、ここでは間に副詞の「donc(いったい)」を挟めています。
privilège 特権。
fillettes【複数形】<fillette 若い娘。


4.
ヌ フェ ド パ ト ラ フィェル
Ne fais donc pas tant la fière

 タ ヴュ ィエル オ スヮル、オーエ
On t'a vue hier au soir, ohé

ヌ フェ ド パ ト ラ フィェル
Ne fais donc pas tant la fière

 タ ヴュ ィエル オ スヮル、オーエ
On t'a vue hier au soir, ohé

 タ ヴュ、オ タ ヴュ
On t'a vue, on t'a vue

 タ ヴュ ィエル オ スヮル
On t'a vue hier au soir

 グロ ブゥルジュワ オプレ ドゥ トヮ
Un gros bourgeois auprès de toi.

 繰り返し

4.
そんなに偉ぶったりするな
昨日の晩にお前は見られているんだぞ
そんなに偉ぶったりするな
昨日の晩にお前は見られているんだぞ
お前は見られている、お前は見られている
昨日の晩にお前は見られているんだぞ
お前のそばに太ったブルジョワがいたのを
繰り返し

fait la fière【熟語】偉ぶる。
vue【動詞・過去分詞形】<voir 見る。
fillettes【複数形】<fillette 若い娘。


5.
ス ネテ パ・ザ ブゥルジュワ
Ce n'était pas un bourgeois

キ エテ・トプレ ドウ ムヮ、オーエ
Qui était auprès de moi, ohé

ス ネテ パ・ザ ブゥルジュワ
Ce n'était pas un bourgeois

キ エテ・トプレ ドウ ムヮ、オーエ
Qui était auprès de moi, ohé

セテ ロブル、セテ ロブル
C'était l'ombre, c'était l'ombre

セテ ロブル ドゥ ラ ルゥヌ
C'était l'ombre de la lune

キ ロデ オトゥル ドゥ ムヮ
Qui rôdait autour de moi.

 繰り返し

5.
あれはブルジョワではなかったんですよ
私のそばにいたのは
あれはブルジョワではなかったんですよ
私のそばにいたのは
あれは影だったんです、あれは影だったんです
あれは月の影が
私の周りをうろついていたんですよ
繰り返し

rôdait【動詞・三人称単数単純過去形】
<rôder うろつき回る。
autour de...【熟語】~の周りを。

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 ガイド   『Fleur d'épine』はフランス語の愛唱歌です。内容は、フランスの象徴としても用いられる紋章デザイン「フルール=ド=リス (fleur-de-lis)」をテーマにしたものとする説が有力です。
 フルール=ド=リスはボーイスカウト活動の象徴としても使用されており、このためかフランスでは、この歌はボーイスカウトなどがハイキングや登山など野外活動を行うときのスカウトソングの定番として知られています。
 広く親しまれている歌らしく、歌詞や音源はネット上で簡単に入手できるのですが、具体的な発祥地や作者、またこの歌にまつわる歴史的な逸話といったものは見つけることができませんでした。
   民謡では一般的なことですが、この歌には歌詞のバリアントが見られます。ここでは主だった四つのポイントを挙げます。

  1. 歌詞の2行目と4行目に、合いの手のような「ohé」というフレーズが入りますが、バリアントによってはこの「ohé」の入らないものもあります。この「ohé」が抜けることによって、該当する部分のメロディーも脱落します。下に挙げたお薦め音源のうちで、ナナ・ムスクーリの歌唱版がその例に相当します。
  2. 繰り返しの「Tralala la lala lala...」のあとに続けて「tsoin tsoin tsoin tsoin tsoin(チュワン チュワン チュワン チュワン)」という合いの手が入るバリアントがあります。
  3. 歌詞の2番にある「Car il coûte le double prix / De la valeur de cent écus.」の部分は、バリアントによって歌詞の異同が見られます。
     本ページのメイン歌詞に挙げた版では上記の歌詞になっていて「なぜならそれは百エキューの二倍の値打ちがあるからです」という意味を表していますが、歌詞によってはこの部分が
     ・Et qui coûte double et triple / La valeur de cent écus.
       (百エキューの二倍も三倍もの値打ちがある名前だ)
     ・Car il coûte la moitié / De la valeur de cent écus.
       (なぜならそれは百エキューの半分の値打ちがあるからだ)
    といった歌詞に置き換えられているもるがあります。
  4. 歌詞が6番まであるバリアントがあります。このバリアントでは1~5番は上記の歌詞と同じです。該当する6番の歌詞を、下の「バリアント」に記載しました。

ひとりごと
 フルール=ド=リスについて改めて調べてみました(と申しましてもただのネット検索ですが)。
 フルール=ド=リスはフランスそのものを象徴する文様で、その起源は、ユリやアイリスといった単子葉植物の花をひとまとめにしたもののようです。大切な点は、花の種類の生物学的な識別よりも、フランスやヨーロッパという文化圏でこの文様がどのように扱われて来たかというところにありそうです。
 でも、ユリやアイリスの花や茎には棘なんてありません。もしこの歌がもともと実際にフルール=ド=リスにまつわる内容であるというのなら、植物学的にみて一見関連のなさそうなイバラがどこから登場してユリやアイリスに成り代わってこの歌に歌われるようになったのか、なんらかの歴史的な根拠があるのでしょうが、知りたいところです。

私のお薦めの音源はこちらです。
 ・https://www.youtube.com/watch?v=iCZSh62bhcU (歌手:ドロテ Dorothée)
 ・https://www.youtube.com/watch?v=YuyGa5pgoDU (歌手:ナナ・ムスクーリ Nana Mouskouri)
 ・https://www.youtube.com/watch?v=6Dc-ZDOiu2k (歌手:ギー・ベアール Guy Béart)
 ・https://www.youtube.com/watch?v=HJC2OdvfNOA
 ・https://www.youtube.com/watch?v=QzW7Ox6TaDA
 ・https://www.youtube.com/watch?v=yBaBmWZSpx8
 ・https://www.youtube.com/watch?v=Zrnzr5MDOO0


バリアント

 『ガイド』に示しましたように、この歌には6番の歌詞があるバージョンがあります。
ここでは「ohé」の入るバリアントを取り上げましたが、上記のように歌詞のバリアントによってはこの6番の「ohé」も同様に抜けます。

◆原歌詞:6番のみをとりあげています。 ◆和訳と語句

6.
ラ モラル ドゥ セッ・ティストヮル
La morale de cette histoire,

 ラ スュ ディ・ゾ プルュ タール、オーエ!
On l'a sue dix ans plus tard, ohé !

ラ モラル ドゥ セッ・ティストヮル
La morale de cette histoire,

 ラ スュ ディ・ゾ プルュ タール、オーエ!
On l'a sue dix ans plus tard, ohé !

 ラ スュ、オ ラ スュ
On l'a sue, on l'a sue

 ラ スュ ディ・ゾ プルュ タール
On l'a sue dix ans plus tard

・デ・レプゥザ ル ブゥルジュワ
Quand elle épousa le bourgeois.


トララ ラ ララ ララ
Tralala la lala lala

トララ ラ ララ ララ
Tralala la lala lala

トラララ・ラ ラ・ラ ラ・ラ・ラ
Tralalala-la la-la la-la-la

6.
この物語の教訓は
六年も後になってから知られるようになったんだ、オーエ!
この物語の教訓は
六年も後になってから知られるようになったんだ、オーエ!
知られるようになった、知られるようになった
六年も後になってから知られるようになったんだ
彼女がそのブルジョワに嫁いでから

トララ ラ ララ ララ
トララ ラ ララ ララ
トラララ・ラ ラ・ラ ラ・ラ・ラ

sue【動詞・過去分詞女性形】
<savoir 知る。
épousa【動詞・三人称単数単純過去形】
<épouser 結婚する。


◎各種参考URL
【歌詞・楽譜】
○https://www.chansons-net.com/index.php?param1=EN00476.php(音源もあります)
○https://www.partitions-domaine-public.fr/pdf/11725/Traditionnel-Fleur-d-Epine-Fleur-de-Rose.html
【歌詞・音源】
○http://chansonsdebivouac.com/chanson/fleur-depine
○https://lyricstranslate.com/fr/french-folk-fleur-d%C3%A9pine-lyrics.html
【歌詞のみ】
○https://greatsong.net/PAROLES-ANTHOLOGIE-DE-LA-CHANSON-FRANCAISE,FLEUR-DEPINE,101007636.html(底本として使用)
○https://chantsdefrance.fr/repertoire/chants/fleur-depine-fleur-de
○https://fr.scoutwiki.org/Fleur_d%27%C3%A9pine
○https://www.planetanim.fr/chant/fleur-depine/
○https://lyricstranslate.com/en/french-folk-fleur-d%C3%A9pine-lyrics.html
○http://www.toujourspret.com/techniques/expression/chants/F/fleur_d%27epine.php
○https://tra-son.fr/chants/trason_fleur-depine.php
○http://www.wikitrad.org/Page/Fleur_d%27%C3%A9pine
○https://www.cancioneros.com/lyrics/song/738553/fleur-d-epine-chansons-enfantines
○http://www.toujourspret.com/techniques/expression/chants/F/fleur_d'epine.php
○https://www.tra-son.fr/chants/trason_fleur-depine.php
○https://www.scouttoujours.fr/chants/fleur-depine

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)
ページ最終更新:2025/11/16

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