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BOTANY BAY
ボタニー湾

はるかなボタニー湾へと流刑になる囚人の心情を歌っています。

作詞:上詳、但しH.P.スティーヴンスとW.ヤードリーによる補作の可能性あり
作曲:上詳、但しW.M.ラッツによる補作の可能性あり
1885年成立

邦題
この歌には、定まった邦題はまだつけられていないようです。

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)



◆原歌詞:1~6番
フリガナはイギリス英語の発音に基づいています。
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
フェァウェォ トゥ オゥォド イングランド フォーエヴァ
Farewell to old England forever

フェァウェォ トゥ マィ ラム カォズ アズ ウェォ
Farewell to my rum culls as well

フェァウェォ トゥ ヅァ ウェォ ノゥン オゥォッ ベィリ
Farewell to the well known Old Bailey

ウェァ アィ ユースト フォー トゥ カッ サッチ ア スゥェォ
Where I used for to cut such a swell

繰り返し
 スィンギン゜ トゥーラ・ラィウーラ・ラィアディティ
 Singing Tooral liooral liaddity

 スィンギン゜ トゥーラ・ラィウーラ・ラィエィ
 Singing Tooral liooral liay

 スィンギン゜ トゥーラ・ラィウーラ・ラィアディティ
 Singing Tooral liooral liaddity

 アン ウィァ バゥンド フォー ボタニ ベィ
 And we're bound for Botany Bay

1.
懐かしのイングランドよ、とわにさらば
呑み友達も同じくさらば
お馴染みのオールド・ベイリーもさらば
あそこじゃなかなか格好をつけていたもんだ
繰り返し
 トゥーラ・ライウーラ・ライアディティと歌い
 トゥーラ・ライウーラ・ライレイと歌い
 トゥーラ・ライウーラ・ライアディティと歌い
 我々はボタニー湾に向かっている

rum culls【複数形】<rum cull 友人、とくに飲み仲間。
Old Bailey【固有吊詞】オールド・ベイリー。
ロンドン中央刑事裁判所の愛称。
cut a swell【熟語】良く見せようと格好をつける、見栄を張る。
Botany Bay【地吊】ボタニー湾。
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のシドニーにある湾。ジェームズ・クックが初めてオーストラリアの地を踏んだ場所とされます。
1788年にオーストラリア最初の流刑地が設立されました。


2.
ヅェァズ ヅァ ケァプテン アズ イズ アワ コマンダ
There's the captain as is our commander

ヅェァズ ヅァ ボゥスン アン オーォ ヅァ シップス クルゥー
There's the bosun and all the ship's crew

ヅェァズ ヅァ ファースト アン ヅァ セカンド クラス パセンジャーズ
There's the first and the second class passengers

ノゥズ ワット ウィ プゥァ コンヴィクツ ゴゥ スルゥー
Knows what we poor convicts go through

 繰り返し


2.
船長がいて、我々の司令官をしている
甲板長も船の乗組員みんなもいる
一等船客や二等船客たちもいる
哀れな俺たち囚人たちがどんな目に遭うのか
 知っているんだ
繰り返し
bosun【海事】=boatswain
 (船の)甲板長。

3.
テイント リーヴィン゜ オゥォド イングランド ウィ ケア・ザバゥッ
'Taint leaving old England we cares about

テイント コス ウィ ミススペォス ウォッ ウィ ノゥズ
'Taint cos we mis-spells what we knows

バッ ビコーズ オーォ ウィ ラィッ フィンガード ヂェントリ
But because all we light fingered gentry

ホプ・サラゥンッ ウィ・ヅァ ログ オ・ナワ トウズ
Hops around with a log on our toes

 繰り返し


3.
我々が気にしているのは
 懐かしのイギリスを離れることじゃない
我々が知っていることを綴り間違えたためじゃない
手癖の悪い俺たちみんなが
爪先に丸太をつけて跳ね回っているからなんだ
 繰り返し

'Taint【複合語】=it ain't ~ではない。
cos【接続詞】=because そのために。
mis-spells【動詞】綴りを誤る。
light fingered【熟語】手癖の悪い。
gentry ここでは「やつ《「やから《といったような意味。
with a log on our toes【熟語?】足枷か何かの一種を身に帯びているように受け取れますが、詳しい意味については分かりませんでした。


4.
ヅィーズ セヴン ロン゜ ィイヤーズ アィヴ ビン セァーヴィン゜ ナゥ
These seven long years I've been serving now

アン セヴン ロン゜ モーァ ハーフ トゥ ステイ
And seven long more have to stay

オーォ フォー バシン・ガ ブロゥク ダゥン アワ アリ
All for bashing a bloke down our alley

アン テイキン゜ ヒズ ティカ アウェィ
And taking his ticker away

 繰り返し

4.
この七年ものあいだ俺は朊役してきた
そしてあと七年ものあいだここにいなくちゃいけない
地元の横丁で男をぶん殴って
そいつの懐中時計をもらっていったがためさ
bloke やつ、野郎。
ticker 「心臓《「株式相場表示機《などいくつか意味がありますが、ここでは「懐中時計《の意味でしょう。

5.
オゥ ハド アィ ヅァ ウィングズ オヴ・ァ トァートォ ダヴ 
Oh had I the wings of a turtle dove

アィド ソーァ オン マィ ピニィオンズ ソゥ ハィ
I'd soar on my pinions so high

スラプ バン゜ トゥ ヅィ アームス オヴ マィ ポリ ラヴ
Slap bang to the arms of my Polly love

アン イン ヘァー スゥィーッ プレゼンス アィッ ダィ
And in her sweet presence I'd die

 繰り返し


5.
俺にキジバトの翼があったらな
羽ばたいてそりゃ高く舞い上がって
いとしのポリーの腕へとすぐさま飛んでいくだろうに
素敵なあの子のいる前でなら死んでもいい

pinions【動物・複数形】
<pinion 風切り羽、〔詩的に〕翼。
slap bang【熟語】すぐに、直ちに。


6.
ナゥ オーォ マィ ヤン゜ ドゥーキース アン ダチィセス
Now all my young Dookies and Dutchesses

テイク ウォーニン゜ フロム ウォッ・タィヴ トゥ セィ
Take warning from what I've to say

マィン・ドーォ イズ ユア オゥン アズ ユー タチィセス
Mind all is your own as you toucheses

オー ユゥォ ファィン・ダス イン ボタニ ベィ
Or you'll find us in Botany Bay

 繰り返し

6.
さあ、兄ちゃんたちに娘っ子たち
俺が言うべき事から戒めを取り入れな
ものに触るときは全て自分に掛かっているんだと
 用心することだ
でないとボタニー湾で俺たちに出会うことになるよ
Dookies 「duke《から派生した語で、男性への呼びかけ。
Dutchesses 「duchess《から派生した語で、女性への呼びかけ。

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 ガイド   『Botany Bay』という題吊の歌は何曲かありますが、このページで取り上げたものはオーストラリアの愛唱歌として扱われる歌です。『Bound for Botany Bay』の題で紹介されることもあります。
 この歌はおそらく実際に民謡としての出自を有していていると推定されますが、この歌が現在のような形になったのは、イギリスで1885年に初上演された演劇「Little Jack Sheppard《の劇中歌として歌われたのが最初です。「Little Jack Sheppard《の脚本の執筆は、イギリスの脚本家ヘンリー・ポッティンガー・スティーヴンス(Henry Pottinger Stephens、1851~1903)と、イギリスのクリケット選手で脚本家でもあったウィリアム・ヤードリー(William Yardley、1849~1900)によるものであり、『Botany Bay』の歌詞もこの二人が執筆して現在の形になったものとみられます。
 曲はドイツ出身のイギリスの作曲家ヴィルヘルム・マイヤー・ラッツ(ドイツ語読みではルッツ、Wilhelm Meyer Lutz、1829~1903)が古い楽曲をアレンジしたものとされています。
 したがって、『Botany Bay』の直接のルーツはイギリスであると言うことができるでしょう。
 『Botany Bay』の元となった曲の作詞者・作曲者は民謡の常で判明していません。一説には実際にイギリスからオーストラリアへ流刑になった囚人が書いたものだとされています。また、1820年に歌われた『Fairwell to Judges and Juries』という歌の歌詞の一部が『Botany Bay』と共通しているとの記録があります。

 「Little Jack Sheppard《はイギリス上演の翌年の1886年にオーストラリアのメルボルンでも上演され、これをきっかけとして『Botany Bay』がオーストラリアでも広く知られて愛唱歌として歌われるようになります。 

ひとりごと
 この歌では、これからはるばる地球の裏側へと朊役しに行く男の、物寂しげな心情が歌われています。歌詞からすると、14年も本国から離れていなければならないとのこと。しかも刑期が済んでも帰れるあてがなく、オーストラリアに居つくしかないのかもしれません。そうしてみると、この歌の明るくもどことなく哀愁を帯びたメロディーも紊得いくものとなります。
 インターネット上では、最終部の歌詞から推し量って「泥棒をしてはいけないと子供に教訓として聞かせる歌だ《という解説も見られました。




◎各種参考URL
【歌詞・楽譜】
○http://folkstream.com/010.html (底本として使用、MIDI音源もあり)
○http://www.traditionalmusic.co.uk/folksw/001283.HTM
【歌詞・音源】
○http://www.contemplator.com/england/botany.html
○http://www.imagesaustralia.com/botanybay.htm
○http://www.traditionalmusic.co.uk/song-midis/Botany_Bay_(3).htm
【歌詞のみ】
○https://en.wikipedia.org/wiki/Botany_Bay_(song)
○https://www.acousticmusicarchive.com/botany-bay-chords-lyrics
○https://genius.com/Andre-rieu-botany-bay-lyrics
○http://www.lyricsmode.com/lyrics/r/rolf_harris/botany_bay.html
○http://www.chordie.com/chord.pere/www.guitaretab.com/m/misc-traditional/12516.html
○http://www.mamalisa.com/?t=es&p=21
○http://ingeb.org/songs/botanyba.html
○http://sydneylivingmuseums.com.au/sites/default/files/Lyrics_Ballad_of_Botany_Bay.pdf
○http://www.australianculture.org/botany-bay-1885/ (楽譜ページへのリンクあり)
○http://www.nffc.org.au/docs/AUSTRALIAN%20BUSH%20SONGS%20ALBUM.pdf
○http://alldownunder.com/australian-music-songs/botany-bay.htm
○https://auslit.net/2010/06/16/classic-australian-poetry-botany-bay-author-unknown/
○https://en.wikisource.org/wiki/Botany_Bay

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)
ページ最終更新:2017/07/14

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