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HORCH, WAS KOMMT VON DRAUSSEN 'REIN
耳を澄ませてごらん、彼方からやって来るのは何だろう

片思い路線まっしぐらの若者の嘆き。

作詞:上詳 / 作曲:上詳  / 19世紀中に成立

邦題
『この山ひかる』『夏の山』
『口笛吹いて』『かなわぬ恋』など

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)


◆原歌詞:1~7番 
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
ホーァヒ、ヴァス コムト フォン ドラォセン ラィン
Horch, was kommt von draußen 'rein

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

ヴィァッ ヴォール マィン ファィンスリープヒェン ザィン
Wird wohl mein Feinsliebchen sein

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

ゲーッ フォァバィ ウン シャォッ ニヒト ラィン
Geht vorbei und schaut nicht 'rein

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

ヴィァツ ヴォール ニヒト ゲヴェーゼン ザィン
Wird's wohl nicht gewesen sein

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

1.
耳を澄ませてごらん、彼方からやって来るのは何だろう?
ホラヒ、ホラホ
もしかして僕のすてきなあの娘かな
ホラヒ、ヤホー
通り過ぎてしまってこちらに寄ってもこないよ
ホラヒ、ホラホ
きっとあの娘じゃなかったんだ
ホラヒ、ヤホー

horch【動詞・単数命令形】
<horchen 耳を澄ます、聞き耳を立てる。
'rein =herein
[分離動詞の前綴りとして]こちらへ、話し手の方へ。
 1行目の「kommt...'rein《、3行目の「schaut...'rein《はそれぞれ「hereinkommen(入って来る)《「hereinschauen(こちらに立ち寄る)《の三人称単数現在形です。


2.
ロィテ ハーベンス オフト ゲザークト
Leute haben's oft gesagt

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

ダス イヒ アィン ファィンス リープヒェン ハープ
Dass ich ein fein's Liebchen hab

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

ラス ズィー レーデン シュヴァィヒ ファィン シュティル
Lass sie reden, schweig fein still

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

カン ィヤー リーベン ヴェーン イヒ ヴィル
Kann ja lieben wen ich will

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

2.
みんなはよくこんな事を言っていた
ホラヒ、ホラホ
僕にはすてきな恋人がいると
ホラヒ、ヤホー
皆にゃしゃべらせとこう、〔僕は〕しっかり黙ってる
ホラヒ、ホラホ
僕の愛したい人を愛すりゃいいのさ
ホラヒ、ヤホー

fein's【形容詞・単数中性形第4格】
=feines<fein 良質の、素晴らしい。
schweig【動詞・一人称単数現在形】(語尾脱落)
<schweigen 黙る。


3.
ロィテ ディ ハーベン ミーァ エァツェールト
Leute die haben mir erzählt

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

ヴァス イヒ フュァ アィン シャツ エァヴェールト
Was ich für ein Schatz erwählt

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

デンク イヒ ミーァ イン マィネム ズィン
Denk ich mir in meinem Sinn

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

マーク エス グーッ ザィン オーデァ シュリム
Mag es gut sein oder schlimm

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

 
3.
連中は僕に話してきかせた
ホラヒ、ホラホ
僕が恋人にどんなのを選んだかを
ホラヒ、ヤホー
僕は、自分の頭の中ではこう考えてる
ホラヒ、ホラホ
こいつは良いものかな、それとも悪いのかなと
ホラヒ、ヤホー

erzählt【動詞・過去分詞】
<erzählen 語る、話して聞かせる。
Sinn 考え、心情。



4.
ザークト ミーァ ロィテ ガンツ ゲヴィス
Sagt mir, Leute, ganz gewiss

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

ヴァス ダス フュァ アィン リーベン イスト
Was das für ein Lieben ist

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

ディー イヒ リーベ、クリーク イヒ ニヒト
Die ich liebe, krieg ich nicht

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

ウン ネ アンドレ マーク イヒ ニヒト
Und 'ne andre mag ich nicht

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

4.
みんな、僕にはっきり言ってくれ
ホラヒ、ホラホ
恋というものがどんな代物かを
ホラヒ、ヤホー
愛する人は僕のところにゃ来ないものだし
ホラヒ、ホラホ
ほかの〔恋人〕なんて欲しくもないよ
ホラヒ、ヤホー

krieg【動詞・一人称単数現在形】(語尾脱落)
<kriegen 手に入れる。
'ne【代吊詞】=eine ひとりの人。


5.
ヴェン マィン リープヒェン ホーホツァィッ ハッ
Wenn mein Liebchen Hochzeit hat

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

イスト フュァ ミヒ アィン トラォエァターク
Ist für mich ein Trauertag

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

ゲー イヒ イン マィン ケメァラィン
Geh ich in mein Kämmerlein

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

トラーゲ マィネン シュメァツ アラィン
Trage meinen Schmerz allein

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

5.
僕の愛する人が結婚式を挙げるときは
ホラヒ、ホラホ
僕にとっちゃ嘆きの日だ
ホラヒ、ヤホー
自分の部屋に入って
ホラヒ、ホラホ
つらさを独りで耐え忍ぶのさ
ホラヒ、ヤホー

Trauertag 悲しみ嘆くための日。
「Trauer(悲嘆)《と「Tag(日)《からの造語です。
trage【動詞・一人称複数現在形】
<tragen 持ち運ぶ、耐え忍ぶ。


6.
ヴェン イヒ ダン ゲシュトーァベン ビン
Wenn ich dann gestorben bin

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

トレークト マン ミヒ ツゥム グラーベ ヒン
Trägt man mich zum Grabe hin

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

ゼツト ミーァ アィネン ラィヒェンシュタィン
Setzt mir einen Leichenstein

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

プランツト ミーァ ドラォフ フェァギスニヒト マィン
Pflanzt mir drauf "Vergissnicht mein"

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

6.
そして僕が死んだら
ホラヒ、ホラホ
僕はお墓に運んでいかれる
ホラヒ、ヤホー
僕のために墓石を据えて
ホラヒ、ホラホ
そこにワスレナグサを椊えてくれ
ホラヒ、ヤホー

Vergissnicht mein【椊物】ワスレナグサ。
ムラサキ科ワスレナグサ属の草本の総称。吊称を直訳すると「私を忘れるな《となります。愛する人との別れなどの懐かしい思い出のシンボルとして扱われます。
一般には「Vergissmeinnicht《と綴られますが、ここでは2行前の「Leichenstein《と韻を踏ませるために語要素の順を入れ替えています。



7.
ヴェン イヒ ダン イム ヒンメル ビン
Wenn ich dann im Himmel bin

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

イスト マィン リープヒェン アォホ ダリン
Ist mein Liebchen auch darin

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

デン エス イスト アィン アルテァ ブラォホ
Denn es ist ein alter Brauch

ホラヒィ ホラホォ
Hollahi Hollaho

ヴァス ズィヒ リープト、ダス クリークト ズィヒ アォホ
Was sich liebt, das kriegt sich auch

ホラヒィ ィヤホォ
Hollahi jaho

7.
それから僕が天国に行ったら
ホラヒ、ホラホ
ぼくの恋人もそこに来るよ
ホラヒ、ヤホー
なぜって、古いならわしがあるからさ
ホラヒ、ホラホ
お互い愛する者は、お互いを手に入れることもできるのだってね
ホラヒ、ヤホー

Brauch 慣習、習俗、ならわし。


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 ガイド   『Horch, Was Kommt von Draußen 'Rein』は、19世紀に作られたとされるドイツ南部の民謡です。発祥地はドイツ南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州の一部であるシュヴァーベン地方またはバーデン地方です。
 オーストリアの作曲家グスタフ・マーラーが25歳の時に完成させた作品『Lieder eines Fahrenden Gesellen(邦題:さすらう若者の歌)』の第1曲「Wenn Mein Schatz Hochzeit Macht(邦題:恋人の婚礼の時)《にはこの民謡の影響が見られ、この歌を下敷きにして書かれたものだという説があります。
 近年でも、マヌエラ(Manuela、1943 - 2001)やネーナ(Nena、1960 - 存命)といった歌手によってレコード化されるなど、親しまれている楽曲です。
 この歌は英語圏でも知られています。1958年のBBCの子供向けラジオ番組「Singing Together《では、英国の歌手グラディス・ウィットレッド(Gladys Whitred、1919 - 1985)の訳詞により『Holahi』の英題で紹介されています。またほかにもボーイスカウト向けの歌詞などがあるようです。
 日本語では、阪田寛夫(さかた・ひろお、1925 - 2005)さんによる作詞の『この山ひかる』や、串田孫一(くしだ・まごいち、1915 - 2005)さんによる作詞の『夏の山』、また『口笛吹いて』『かわいいあの子』などのタイトルで知られています。

 2番の歌詞にある「dass ich ein fein's Liebchen hab《は、バリアントによっては「Dass ich kein fein's Liebchen hab(僕にはすてきな恋人なんていないと)《となっているものがあります。また同様に、6番の歌詞の「setzt mir einen Leichenstein《が「setzt mir keinen Leichenstein(僕のために墓石など置かないで)《となっているバリアントがあります。

ひとりごと
 この歌は成就しない恋のことを歌っていますが、それにしては朗らかなメロディーです。若者の「いつかは恋が叶うだろう《という明るい期待を表現しているのか、それともただ単に、もともと別の歌だったものに新しい歌詞がはめ込まれただけなのか。いずれかは分かりかねます。
 ここでは男性からの視点で歌詞を翻訳しましたが、YouTubeなどで音源を参照すると、上記のマヌエラやネーナの歌唱版をはじめ、女性が歌っているバージョンも数多く見つかります。歌の中では主人公の性別は表現されていないので、男女どちらの視点からでも歌えるわけですが、男性視点、女性視点、それぞれで歌の雰囲気が微妙に変わってくるように思えませんか。




◎参考URL
【歌詞・音源】
○http://ingeb.org/Lieder/HorchWas.html
【歌詞・楽譜】
○http://www.labbe.de/liederbaum/index.asp?themaid=34&titelid=481
○http://www.deutschland-lese.de/index.php?article_id=12
○http://www.gundis-music.de/thomas/arrangements/a25.html
○http://www.traditional-songs.com/download_score.php?country=Germany&name=Horch,%20was%20kommt%20von%20draussen%20rein
○http://www.singenundspielen.de/id136.htm
【歌詞・音源】
○http://www.kulturumsonst.com/volkslieder/horch_was_kommt.php
【歌詞】
○http://www.volksliederarchiv.de/text316.html (底本として利用)
○http://www.musicanet.org/robokopp/Lieder/horchwas.html
○http://www.rcaguilar.com/lieder/texte/horchwas.htm 
○http://www.cazoo.org/folksongs/hwkvdr.html
○http://www.volkslieder-songarchiv.de/text_akkorde.php?lied=horch_was_kommt_von_draussen_rein
○http://www.strusel007.de/liederbuch/Volkslieder/Horch_was_kommt_von_draussen_rein.html
○http://www.volksliedsammlung.com/horchwas.html

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)
楽譜作成ソフト:MuseScore 0.9.6.2
ページ最終更新:2012/06/07


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