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DRUNTEN IM UNTERLAND
あの低地地方では

自らの住む低地地方を高地地方と比較して褒めちぎるお国自慢の歌。

作詞:G.H.ヴァイグレ
作曲:民謡に基づきF.ジルヒャーが編曲
1836年発表

邦題
『モルゲンローテ』『朝焼け』『帰省』『帰郷』
『望郷の歌』『あの下の低地には』など

MIDIと楽譜
(別窓で開きます)


◆原歌詞:1~4番  
歌詞についての解説はガイドの項をご覧ください。
◆和訳と語句

1.
ドルゥンテン イム ウンテァラント、ダー イスツ ハルト ファィン
Drunten im Unterland, da ist's halt fein.

ドルゥンテン イム ウンテァラント、ダー イスツ ハルト ファィン
Drunten im Unterland, da ist's halt fein.

シュレーエン イム オーベァラント、トラォベン イム ウンテァラント
Schlehen im Oberland, Trauben im Unterland

ドルゥンテン イム ウンテァラント メヒト イ ヴォール ザィン
Drunten im Unterland möcht 'i wohl sein.

シュレーエン イム オーベァラント、トラォベン イム ウンテァラント
Schlehen im Oberland, Trauben im Unterland

ドルゥンテン イム ウンテァラント メヒト イ ヴォール ザィン
Drunten im Unterland möcht 'i wohl sein.


1.
あの下の低地は、とにかくすてきなんだ
あの下の低地は、とにかくすてきなんだ
高地にはスローベリー、低地にはブドウ
あの下の低地に、私はいたいものだよ
高地にはスローベリー、低地にはブドウ
あの下の低地に、私はいたいものだよ
Unterland【地理】低地。
大雑把に言うと平野や盆地など。この歌では、ドイツ南西部のバーデン・ヴュルテンブルク州にあるネッカー川沿いの地域を指すとみられます(2番の歌詞を参照)。
halt【副詞】〔方言〕なんと言っても、とにかく。
Schlehen【椊物・複数形】
>Schlehe スローベリー、スピノサスモモ。
バラ科サクラ属の小高木。秋になるとスモモに似た小粒で酸味の強い実を付けます。この果実は果実酒のスロー・ジンの材料として知られています。
Oberland【地理】高地。
大まかに言って山岳地帯や高原などを指します。この歌ではバーデン・ヴュルテンブルク州の高原地帯を指しているとみられます。
'i【代吊詞】=ich 私は。

2.
ドルゥンテン イム ネッカータル、ダー イスツ ハルト グーッ
Drunten im Neckartal, da ist's halt gut.

ドルゥンテン イム ネッカータル、ダー イスツ ハルト グーッ
Drunten im Neckartal, da ist's halt gut.

イスト メーァス ダー オーベン ルゥム マンヒマル ア ノ ゾー ドゥム
Ist mer's da oben 'rum manchmal a no so dumm,

ハン イ ドホ アレヴァイル ドルゥンテン グーツ ブルーッ
Han i doch alleweil drunten gut's Blut.

イスト メーァス ダー オーベン ルゥム マンヒマル ア ノ ゾー ドゥム
Ist mer's da oben 'rum manchmal a no so dumm,

ハン イ ドホ アレヴァイル ドルゥンテン グーツ ブルーッ
Han i doch alleweil drunten gut's Blut.

    
2.
あの下のネッカー谷は、とにかく良いんだ
あの下のネッカー谷は、とにかく良いんだ
あっちの上の高いところなんかじゃ
 ときどき実にろくでもない事になったりするけれど
あっちの上の高いところなんかじゃ
 ときどき実にろくでもない事になったりするけれど
でも下のほうではいつだって上機嫌でいられるのさ
Neckartal【地理】ネッカー谷、ネッカー渓谷。
ネッカー川沿いに延びる平地。ネッカー川はドイツ南西部のバーデン・ヴュルテンベルク州を流れる川で、ライン川の支流です。沿岸には古い城が多く残り、「古城街道《として知られています。
'rum【副詞】〔方言形〕=herum あたりに、周りに。
a【副詞】〔方言形〕=auch ~もまた。
no【副詞】〔方言形〕=noch まだ、更に。
han【動詞】〔方言形〕=habe (私は)持つ。
Blut 「血液《の意味ですが、ここでは「気立て《「気分《の意味で用いられています。

3.
カルト イスツ イム オーベァラント、ドルゥンテン イスツ ヴァーァム
Kalt ist's im Oberland, drunten ist's warm;

カルト イスツ イム オーベァラント、ドルゥンテン イスツ ヴァーァム
Kalt ist's im Oberland, drunten ist's warm;

オーベン ズィン ドローィッ ゾー ラィヒ、ドヘァーツェン ズィン ガーァ ネーッ ヴァィヒ
Oben sind d'Leut so reich, d' Herzen sind gar net weich,

ブゼーン ミ ネーッ フロィントリヒ アン、 ヴェーァデン ネーッ ヴァーァム
B' sehn mi net freundlich an, werden net warm.

オーベン ズィン ドローィッ ゾー ラィヒ、ドヘァーツェン ズィン ガーァ ネーッ ヴァィヒ
Oben sind d'Leut so reich, d' Herzen sind gar net weich,

ブゼーン ミ ネーッ フロィントリヒ アン、 ヴェーァデン ネーッ ヴァーァム
B' sehn mi net freundlich an, werden net warm.


3.
高地は冷たいが、下のこちらは温かい
高地は冷たいが、下のこちらは温かい
高地では人々は物持ちだが、心はちっとも優しくない
僕と親しげに接しようとせず、温かくないんだ
高地では人々は物持ちだが、心はちっとも優しくない
僕と親しげに接しようとせず、温かくないんだ
net【副詞】〔方言形〕=nicht ~ない。


4.
アーベァ ダ ウンテン ルゥム、ダー ズィン ドローィッ アーァム
Aber da unten 'rum, da sind d' Leut arm,

アーベァ ダ ウンテン ルゥム、ダー ズィン ドローィッ アーァム
Aber da unten 'rum, da sind d' Leut arm,

アーベァ ゾー フロー ウン フラィ ウン イン デァ リーベ トローィ
Aber so froh und frei und in der Liebe treu;

ドルゥム ズィント イム ウンテァラント ドヘーァツェン ゾー ヴァーァム
Drum sind im Unterland d' Herzen so warm.

アーベァ ゾー フロー ウン フラィ ウン イン デァ リーベ トローィ
Aber so froh und frei und in der Liebe treu;

ドルゥム ズィント イム ウンテァラント ドヘーァツェン ゾー ヴァーァム
Drum sind im Unterland d' Herzen so warm.


4.
でもこちらの低地では、人々は貧しい
でもこちらの低地では、人々は貧しい
だけどとても朗らかで自由で、まことの愛に生きている
こちらの低地では、心がとても温かいんだ
だけどとても朗らかで自由で、まことの愛に生きている
こちらの低地では、心がとても温かいんだ

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 ガイド   『Drunten im Unterland』は、ドイツに伝わる民謡をアレンジして制作された、19世紀の歌曲です。
 曲を作成したのは、『ローレライ』の作曲や『ムシデン(別れ)』の採譜などの功績でも吊高い、ドイツの作曲者・音楽教育者のフィリップ・フリードリヒ・ジルヒャー(Philipp Friedrich Silcher、1789年~1860年)です。この曲はもともと、ドイツ南西部シュヴァーベン地方の民謡で「Draußen im Schwabenland(あの上のシュヴァーベンの地では)《という題でしたが、1835年にジルヒャーが合唱曲向けに編曲しました。翌1836年に彼の編纂した民謡集にも集録されています。
 歌詞を書いたのは、ドイツはバーデン・ヴュルテンブルク州テュービンゲン出身の宣教師で言語学者でもあった、ゴットフリート・ハルトマン・ヴァイグレ(Gottfried Hartmann Weigle、1816年~1855年)です。当時のヴァイグレは、ジルヒャーが学部長を務めるテュービンゲン大学の学生であり、1835年にジルヒャーの勧めによってこの歌詞を書きました。
 この歌は合唱曲として好評を呼んだようで、多くの人に歌われ、替え歌も多数できています。

 日本では、「帰省《「帰郷《「望郷の歌《などさまざまな題で知られています(もちろん様々な日本語歌詞が施されていることに対応するものです)が、現在は井田誠一(いだ・せいいち、1908年~1993年)の訳詞による「モルゲンローテ《が著吊であるようです。

ひとりごと
 温暖な低地と、冷涼な高地。甘いブドウと酸っぱいスピノサスモモをうまく対比させて、「高地の豊かな暮らしよりも低地の温かみを選ぶ《とうたっている歌です。アメリカ民謡として広く知られる『峠の我が家 (Home on the Range)』に通じるものがあります。豊かさよりも安らぎを求める人がいるのは世の東西を問わずということでしょう。皆さんなら、豊かだけれどよそよそしい高地と、貧しいけれど温かな人の多い低地、どちらに住みたいと思われますか。




参考URL:
【歌詞・楽譜】
○http://www.herbert-fritz.de/volksliedertext/drunten_im_unterland.html (音源もあり。底本として使用)
○http://www.lieder-archiv.de/drunten_im_unterland-notenblatt_300138.html (音源・解説あり)
○http://abcnotation.com/tunePage?a=ifdo.ca/~seymour/runabc/esac/boehme20/0047 (音源もあり)
【歌詞・音源】
○http://ingeb.org/Lieder/Drunteni.html
【歌詞・解説】
○http://www.liederlexikon.de/lieder/drunten_im_unterland(本文内のリンクから楽譜ページへ移動できます)
○http://japanese-german-songs.com/content/46-drunten-im-unterland
【歌詞】
○http://www.volksliederarchiv.de/text618.html 
○http://www3.cpdl.org/wiki/index.php/Drunten_im_Unterland_(Traditiona
○http://www.volksliedsammlung.de/drunteni.html
○http://www.vvdst.org/studentenlieder/131-drunten-im-unterland.html
○http://www.herbert-fritz.de/volksliedertext/drunten_im_unterland.html
○http://www.volksliederarchiv.de/text618.html

MIDI作成ソフト:サクラ 第二版(Ver.2.36)
楽譜作成ソフト:MuseScore 0.9.6.2
ページ最終更新:2016/12/15

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